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レアアースだけじゃなかった! 尖閣問題がもたらすオタク産業大変動の可能性

 尖閣諸島問題に端を発して、コジれまくっている日中関係。ハイテク製品に欠かせないレアメタルの輸出規制は、広く注目を集めている。レアメタルに限らず、今や中国はあらゆる産業にとって不可欠な生産拠点。もちろん、オタク産業も例外ではない。微妙な日中関係にオタク産業の現場はどうなっているのか?

 日本向けのレアアース輸出停止がマスコミを騒がせた、9月下旬。中国にオタク向けグッズを発注している業者にも、騒動が起きていた。何の前触れもなく、一部の荷物が輸入されなくなってしまったのだ。原因は、中国側で通関業務が停止してしまったこと。

「中国ではこれまでも、突然理由なく通関が止まってしまうことは、何度かありました。なので、いつものことだとは思う反面、長引けば冬のコミックマーケットあたりに影響が出るのではないかと、不安な声も流れていました」(オタク向けグッズを扱う業者)

 現在、輸入は再開されているものの、仮に停止状態が続けば冬のコミックマーケットで扱われる同人誌以外のグッズが姿を消し、企業から同人サークルまで大きな打撃を受けたことは間違いない。

 ただ中国では、突然、税関が輸出品にストップをかけるのは「時々、起こりえること」。話を聞いた業者も、以前にキャラ物のトートバックを中国現地の工場に発注した際、輸出段階で突然、現地の税関にストップをかけられ困惑したことがあるという。

「後から分かったのですが、麻薬の密輸に利用されているのではないかと、疑われていたようです。ところが、理由も教えてもらえないので、注文主に満足いく説明ができず困りましたね」(同)

 このあたりが、日本とは大きく違うところ。日本側の税関の場合、何らかの疑いで水際でストップさせても、理由はある程度説明してもらえるもの。非常に官僚主義的な対応なのだが、一方で「ある程度のことはカネを握らせればなんとかなる場合も……」と言われるのだから、不思議な国である。

 もう一つ気になるのは、尖閣諸島問題は現地の業者とビジネスを行う上でなんらかの障害となっているのではないか、ということ。

「それはまったくありません。中国人はビジネス面では非常にドライ。もちろん、内心では”尖閣諸島は中国の領土だ”と思っているかも知れませんけど、自分のビジネスには無関係の問題だと思っているし、商売の相手(日本人)には、そんな話題は持ち出しませんよ」(同)

 日中双方で「愛国心」を錦の御旗に騒いでいる人々が注目されているが、所詮、彼らは外野で騒いでるだけ、ということだ。

 とはいえ、尖閣諸島問題が今後のビジネスに、まったく影響を与えないとは限らない。そもそも、他国とのビジネスには商習慣から政治体制の相違まで、さまざまなリスクがあるもの。これまで「近い」「安い」で持て囃されてきた中国はリスクの高い部分もあることに、多くの人々が気づいてしまったからだ。

「人件費の面では、特定の技術職を除けば、中国の人件費は未だに安く押さえられている。とはいえ、輸入がストップしてしまった一件で、一国に依存すると危険だということを、多くの人が知ってしまった」(同)

 これは、中国に取って大きなダメージ。もちろん、すぐに生産拠点をごっそり移動させることは不可能だ。とはいえ、今回の騒動以前から既に中国以外に生産拠点を求める動きは進んでいる。その一つが近年、経済発展が目覚ましいインドだ。

「フィギュアなどの金型を成形する技術は高い。それ以上に、コストが安く製品の質が高いのが布製品です。オタク産業に限らず、世界的に布製品の生産の中心はインドになりつつあります」(同)

 そのうち、インドに抱き枕の巨大な生産工場が立ち上がったりするのだろうか。

 現在、オタク向けグッズは安価な海外工場で生産するものの、主な市場は日本国内。方やテレビゲームの場合は、もはや日本企業が世界各国に拠点をつくり、市場を築いている。工場が中国から、他国へ拡散することでオタグッズも海外市場が生まれることになるかも知れない。
(取材・文=昼間たかし) 

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最終更新:2010/11/14 15:00
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