『THE OUTSIDER第13戦』伝説の横浜決戦、舞台裏密着レポート!!
#格闘技 #前田日明 #THE OUTSIDER
リングス・前田日明主催の不良系格闘技イベント『THE OUTSIDER(アウトサイダー)第13戦』が11日、横浜文化体育館で開催された。今大会の目玉は、それぞれ5対5で行われた「アウトサイダー×在日米軍」「アウトサイダー×ZST」という豪華対抗戦の2本立て。結果は、対米軍が4勝1敗、対ZSTが1勝4敗に終わった。各試合の詳細は他媒体の報道にお任せして、日刊サイゾーでは、沖縄からはるばるやってきた在日米軍ファイターを中心に、舞台裏の選手たちの言動をレポート!
●対米軍・先鋒戦
三枝美洋(千葉)
vs
ザ・グレート(キャンプフォスター・海軍)
三枝はその昔、千葉の有名暴走族で頭を張っていた男。今でこそ更生したが、かつては札付きのワルだった。外国人との喧嘩経験もあるそうで、今回の対米軍にも臆する気配はまるでなし。
一方のザ・グレートは、果たしてどんな男なのか。自らを「偉大」と名乗るぐらいだから、相当な自信家なのだろうか。試合前の選手控え室で、ザ・グレートを直撃した。
──ちょっとお話を聞かせてください。
「OK、構わないよ」
──相手の三枝選手の印象は?
「ビデオで2回ほど見たけど、正直、よく分からないな。まあ、グッド・ファイターなんじゃないか」
──三枝選手は元暴走族。グレートさんも立派な刺青が入っていますが、さてはギャングのメンバーだった?
「ノー! 僕もバイクは好きだけど、集団で走ったりはしてないなぁ。なんせ僕が育ったのはノースカロライナの片田舎。人口800人程度の小さな街だから、ギャングなんか組みようがないんだよ(笑)。バイクの他には、釣りやレスリングに夢中になった活発な少年ではあったけど、僕は決して悪ガキじゃないね」
──ストリート・ファイトの経験は?
「そんなガキみたいなことやらないよ」
──今日はお客さんがいっぱい入りました。この中で戦う心境は?
「イッツ・ナイス! 素晴らしい雰囲気だ。結果はどうなるか分からないけど、まあ、ぶっ倒すよ!」
しかし、試合開始早々、ザ・グレートは拳の骨折を訴えてリングから退散。
これには勝者の三枝もガッカリ。「下らない試合」と吐き捨てた。
●対米軍・次鋒戦
山田史博(神奈川)
vs
ザ・ビースト(キャンプシュワブ)
身長は162cmと小ぶりだが大胸筋の発達ぶりがハンパじゃない、ザ・ビースト。”アメリカン武勇伝”を期待して試合前にインタビューを試みたが……。
──見るからに強そうですね。どういう少年時代を送ってきたのでしょう?
「7歳のときから、ハウス・クリーニングやペンキ塗りなど、いろんな肉体労働をやってきたよ。だから体が強いんだ」
──少年時代はバッド・ボーイ?
「ノー。アイム・グッド・ボーイ」
──本日の対戦相手の山田選手は、神奈川の暴走族の元リーダーですが。
「俺はイリノイ州のただの男さ。でも、暴走族だろうがなんだろうが、恐れることは何もないね」
──見るからにビーストって感じの体型ですが、街で喧嘩を売られたことは?
「アイ・ウォーク・アウェイ。街で絡まれたら、相手にしない。無視して立ち去るよ(笑)」
──ビーストさんの強さを象徴するエピソードは?
「ないね」
──火事場から子どもを救ったとかは?
「アイム・ノット・ヒーロー。残念ながら、そんな話は一つもないよ」
受け答えは終始淡々。米軍に帯同している通訳からも「彼はチームの中で一番クール」と評された、ザ・ビースト。
しかし、いざ試合が始まると興奮状態で大暴走。力任せのスープレックスで山田をブン投げたまではいいが、禁止されている頭部へのヒザ蹴りを見舞ってしまい、あっという間の反則負け(山田は眼窩底骨折)。試合には敗れたが、ビーストという看板に偽りがないことを証明した。
●対米軍・中堅戦
黒石高大(神奈川)
vs
サンボ(嘉手納基地・空軍)
黒石は大会直前の記者会見でこう語っていた。「米軍や外人が強いというのは単なる幻想。あんなの全然強くない」と。この言葉をそのまま伝えたら、対戦相手はどのようなリアクションをするだろう? 試合前のサンボを直撃!
──対戦を控えた今の心境をお聞かせください。
「リラックスしているよ。とても楽しみ」
──昨晩は何をした?
「米軍チームのみんなでダーツバーに行ったよ。楽しかった」
──今日の対戦相手の黒石選手は横浜のギャングのリーダーだが、彼と戦う恐怖心は?
「別に。ギャングは見慣れてるから」
──というのは?
「俺はメキシコ系アメリカ人3世なんだけど、まわりにギャングのメンバーがいっぱいいたんだよ。俺は一味じゃないけどね」
──ご出身は?
「テキサス。正直、あまり治安のいいエリアじゃなかった。俺も高校時代ぐらいまではしょっちゅう喧嘩していたよ」
──喧嘩の戦績は?
「ほとんど負けたことがないな。俺、フットボールやってたから、背は低い(173cm)けど強いんだよ」
──「米軍なんか強くない」と黒石選手は言ってますが。
「ハハッ。いいんじゃない? 人にはそれぞれ意見があって」
と、サンボは余裕綽々の構え。
一方、試合直前の黒石はというと、バックステージの椅子に腰掛け、鬼気迫る表情で精神集中。声をかけられる雰囲気ではなかった。会場の横浜は黒石の地元であるため、絶対に負けられないというプレッシャーと戦っているように見えた。
その気迫の差が勝敗を分けたのだろうか。ゴングが鳴ると黒石は、膝蹴りの連打でサンボを秒殺KO。爽快極まりない形でアウトサイダー軍の勝ち越しを決めた。
続く副将の庵野隆馬(神奈川)もメイヘム(嘉手納基地・空軍)を下し、「完封なるか」という期待も高まったが、最後の最後にアメリカの怪物が待ち受けていた……!
●対米軍・大将戦
出田源貴(福岡)
vs
ライオン(キャンプフォスター・海軍)
自らを「百獣の王」と名乗るだけのことはある。なにしろゴツい。そして怖い。控え室でのオーラは別格だ。
試合直前、米軍の大将・ライオンに恐る恐る近付いてインタビューを試みた。
──いやはや、とんでもなく太い腕をしてますね。
「腕周りは20インチ(約51センチ)。ちなみに胸囲は54インチ(約137センチ)だ」
──その見事なボディーはどうやって手に入れた?
「フロリダで3年間やったパワー・リフティング。それがベースだね。あとはプロテイン」
──ストリート・ファイトの経験は?
「アメリカにいたころは、しょっちゅうやったな」
──結果は?
「オール・ウィン! 全勝さ」
──さすがライオン。今日の抱負は?
「ボクシングでぶちのめす!」
──出田選手の情報は?
「相手が誰だろうが関係ない。ぶちのめす!」
一方の出田は試合前にこう語った。「外国人とやるのは初めて。正直、怖いです」。とかなんとか言いつつ勝ってしまうのがいつも出田なのだが、この日はまったく勝負にならず、ライオンの餌食となってしまった。一方的に殴られ続け、立ったまま失神状態に追い込まれた出田は、タンカで運ばれ病院送りに……。
弱肉強食の掟に従い出田をたいらげたライオンは、試合後、涼しい顔でこう語った。
「出田はパンチが遅すぎる。柔道のテクニックはあるのかもしれないけど、打撃がダメだな」
この男を倒せる日本人アウトサイダーは果たしているのだろうか……?
米軍との対抗戦は4勝1敗に終わったが、パワーの差をまざまざと感じる場面も多く、手放しでは喜べない団体戦勝利となった。
●対ZST・副将戦
アパッチ小次郎(福岡)
vs
島村裕(ZST)
アウトサイダーのエース級を惜しみなく投入した、プロ団体ZSTとの対抗戦。結果は1勝4敗。唯一、プロに土をつけたのは、「勝っても負けてもアウトサイダーは引退」と宣言していた34歳のアパッチ小次郎だ。自らもフラフラになりながら、三度のダウンを奪う劇的勝利。精も根も尽き果てたのか、試合後のアパッチは歩くのもままならず、客席の床に倒れ込んだまま号泣した。
待つこと10分。泣きやんだアパッチに話を聞く。
──すごい試合でしたね。
「……(相手が)強かった。でも勝てた」
──涙のワケは?
「セコンドの声、リングサイドの選手の声、お客さんの声が試合中ずっと聞こえてきたから……。何度も心が折れそうになったけど、みんなの声があったおかげで、なんとかやれました」
──「今日でアウトサイダーは最後」とのことですが、勝ったから続けたくなるのでは?
「いや、勝っても負けてもやめると決めてました。格闘技そのものはやめませんが」
──今日はこのあとはどうするんですか?
「飛行機で九州に帰ります。いま何時ですか? ヤバい! 急いで帰らないと!」
本当に急いで帰ってしまったらしく、表彰式には不参加だったアパッチ。サイゾー賞を含む4賞は代理人に手渡された。おめでとう! そして、さようなら!
次回アウトサイダーは12月4日(土)、東京・ディファ有明にて開催決定。チケット購入、選手募集などの詳細はリングス公式サイト(http://www.rings.co.jp)にてご確認あれ!
(取材・文/岡林敬太)
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これが闘う男の背中。
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