名優たちが夢の競演 この秋はオールスターキャスト映画に注目!
#映画 #邦画
主役級の有名俳優が豪華に顔を揃えるオールスターキャスト映画は過去にも数多く作られてきたが、中には一部俳優がごくわずかなシーンで顔を見せる程度の、本筋には大して絡まない役に起用される例も少なくない。だが今回紹介する邦画2本はいずれも、ベテランから若手まで多彩な人気スターたちが、極限状況の舞台で命を懸けて戦う役どころを演じ切る、見どころたっぷりの話題作だ。
ジャンルを選ばない多作派ながら、過激なバイオレンス描写で海外にもファンが多い三池崇史監督の『十三人の刺客』(東宝配給、公開中)は、1963年に封切られた集団抗争時代劇のリメイク作品。江戸時代末期、罪なき民衆に無法な振る舞いと殺傷を繰り返していた明石藩主、松平斉韶(稲垣吾郎)の暴政を訴えるため家老が切腹。この事件を受け、幕府内で極秘裏に斉韶暗殺が画策され、御目付役の島田新左衛門(役所広司)が命を受ける。早速刺客集めにとりかかった新左衛門の前に、かつて剣の腕を競い今は斉韶の警護を司る鬼頭半兵衛(市村正親)が立ちはだかる……。
刺客として選ばれた俳優は役所のほか、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、高岡蒼甫、伊原剛志、松方弘樹など。ベテラン勢の岸部一徳、平幹二朗、松本幸四郎に、女優陣の吹石一恵と谷村美月。
やはり圧巻は、200を超える明石藩の手勢と13人の刺客が宿場町で激突する後半。先回りして宿場町を要塞化した個性派揃いの刺客団が、高所からの弓矢攻撃、火薬を使った派手な爆破などあの手この手で、暴君に盲従する多勢の敵をなぎ倒していく場面の高揚感はたまらない。刺客たちの得意の武器を活かした痛快な戦いぶりと、凄惨な死にざま。そして、いよいよ終盤の”頂上対決”へ――。
一方、現代の推理サスペンス劇に豪華キャストが結集したのが、『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(ワーナー・ブラザース映画配給、10月16日公開)。『ザ・リング2』(05年)でハリウッドデビューを果たしたホラーの名手・中田秀夫監督による、米澤穂信のベストセラー小説の映画化だ。
「時給11万2000円のアルバイト」という求人広告に応募した男女10人が、外部と隔絶された「暗鬼館」という施設に招かれる。仕事内容は「ある実験」の被験者になり、24時間、7日間監視されるというもの。鍵のかからない個室、それぞれに用意された凶器、「探偵ボーナス」「犯人ボーナス」などのルール。2日目に1人が射殺体で発見され、疑心暗鬼に陥った参加者たちは恐怖の殺人ゲームに否応なく巻き込まれていく……。
ゲームの参加者に扮するのは、藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみ、阿部力、武田真治、平山あや、石井正則、片平なぎさ、北大路欣也といった個性豊かな演技派俳優たち。唯一新人で抜擢された大野拓朗は、ホリプロ企画の男子大学生を対象とした新人俳優オーディションでグランプリに輝いた注目株だ。
推理モノのファンを喜ばせる小道具や仕掛けの数々と、謎解きとサバイバルが同時進行するスリリングな展開。じわじわと恐怖をあおり、過激な殺害場面で衝撃を与える演出も、ホラーを得意とする中田監督ならでは。
この10月は、すでに当コーナーで紹介した『大奥』(公開中)や、次回取り上げる予定の『エクスペンダブルズ』(10月16日公開)も含め、偶然にもオールスターキャスト映画が大集合する。名優たちの豪華な競演を満喫できる各作品を、映画館の大スクリーンでじっくり見比べる好機と言えそうだ。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
『十三人の刺客』作品情報
<http://eiga.com/movie/54797/>
『インシテミル』作品情報
<http://eiga.com/movie/55381/>
こちらも豪華。
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