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アジア・ポップカルチャーNOW!【vol.9】

大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー

CRF_choco.jpgチョコレート・リサーチ・ファシリティのオリジナル・フレーバー・チョコ。
その数100種類以上!

 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』……子どもの頃、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。

第9回
デザイナー

Chris Lee (クリス・リー)

 クリス・リーは、シンガポールのデザイン界の兄貴分だ。大樹の陰によらない独立系、クライアントはグローバル、評価は国際的。けれど、あくまでシンガポールという”ローカル”に根ざした活動を続けている。「地元のクリエイターたちのプラットフォームになれば」と、2005年にオープンしたデザイン・ショップ「アサイラム(精神病棟の意)」は、ガイドブックに載るほどの人気店だし、09年には”チョコレートが好きすぎて”、自分でチョコレート専門店「チョコレート・リサーチ・ファシリティ」を作ってしまった。材料や味の選定から、パッケージ、ショップインテリア、BGMに到るまで、クリスのこだわりが全面展開した、いわば彼自身の「アイデアのショーケース」。各国のデザイン関連の賞を総ナメにし、シンガポール・デザイン・プレジデント・アワードという快挙をもたらした。

 そう、クリスは、シンガポールの若手クリエイターにとっての憧れであり、勇気をくれる存在なのだ。彼がチェアマンを務めるNPO「ザ・デザイン・ソサエティ」が今年1月に開催した設立イベントの会場には、クリス・カット(短髪)&クリス・ファッション(黒の細身のジャケット&黒ぶちメガネ)の”ミニ・クリス”が多数”出現”したという。

 大の日本びいきでもあるクリス。

kamenrider.jpg『仮面ライダー(1)』
(石ノ森章太郎 著/
中央公論社刊)

「テレビっ子だった子どもの頃の自分は、ほぼ、ガンダム、ウルトラマン、ドラえもん……でできていた。10代はチェッカーズや(松田)聖子ちゃんという、ポップミュージックがそれに加わったんだ」

また、日本のコミックはクリスの考え方に大きな影響を与えたという。

「自分でも、仮面ライダーを主役に、いろんなストーリーを考えてはマンガを描いていた」

現在は、日本のクリエイターたちから精神的なインスピレーションを得ることが多い。

「何をやるにしても、その道でベストになろうというモチベーションが素晴らしい。日本のアーティストやデザイナーは、自分たちの仕事に、確信的なアイデンティティを持っていると思う」

クリスにとっての永遠のアイドルは、コム デ ギャルソンの川久保玲氏。

「彼女は長年に渡ってファッションの境界を押し広げてきた。いまでも彼女の創る服は素晴らしいし、服だけではなくて、パッケージから、ブランドのイメージ、ショップ、展示まで、全ての要素に対する強いディレクションがある。すごく尊敬しています」

BBH.jpgクリスがインテリアを手がけた広告代理店Bartle Bogle Hegartyの上海オフィス。
Salad-shop.jpgサラダレストラン「Salad Shop」のインテリア。

 クリスのスタジオの活動も、グラフィック、インテリア、オンラインと、分野を越えて多岐に渡っており、常時両手でも足りないほどのプロジェクトを抱えている。11月には、これまでの活動や、仕事への考え方をまとめた本が出版される予定だ。
 

MAD-wine-lowres_1.jpgオーストラリアのM.A.Dワイン
(ラベルデザイン)。

 ところで今、シンガポールでは、日本食が大流行。中でも「ラーメン」は、有名店の出店も相次ぎ、かなりの市民権を得ている。そして何を隠そう、クリス兄貴、実はこてこての「ラーメンおたく」なのである。ブームになる何年も前から、自分の足と舌を使って東京中のラーメンを開拓してきた。現在、東京のラーメン事情に最も詳しいシンガポール人と言っても過言ではないだろう。シンガポールのデザイン業界では、東京に来る前には、クリスの「ラーメン指南」を受けることが必須事項になっているとか(!?) 。ちなみにクリスの今一番のおススメは恵比寿と原宿にあるAFRI。

「ここのつけ麺は、絶対試す価値あり! チャーシューには驚くよ〜。長らく”マイ・ラーメン・ランキング”の一位の座を占めていた一風堂は、この間シンガポールに支店ができちゃってさ…。そうそう、東京のラーメンと言えば……」。

 クリスの”ラーメン・リサーチ・ファシリティ”の設立も近い?
(取材・文=中西多香[ASHU])

Chris-Lee_portlait.jpg

クリス・リー(アサイラム)
国内でデザインを学び、外資系広告代理店を経て1999年にデザインスタジオ「アサイラム」設立。05年にはオフィスの上に同名のデザイン・ショップをオープン。独自のセレクションによる世界中のデザインのショーケースに惹かれ、集まる若者は多い(現在は移転のため、一時休業中)。オリジナルのプロダクトやCDレーベルを持ち、出版の企画も進行中。国内外のクライアントのブランディングや空間デザイン、展覧会のキュレーションなど、活動は幅広い。09年、チョコレート専門店「Chocolate Research Facility」オープン。同年より、デザインNPO「ザ・デザイン・ソサエティ」チェアマン。09年シンガポール・デザイン・プレジデント・アワード受賞。<http://www.theasylum.com.sg/v3/#>

なかにし・たか
アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com >
オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>

仮面ライダー (1)

テレビ版とは一味違います。

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最終更新:2012/04/08 23:19
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