【TGS2010】日本ゲーム大賞は『DQIX 星空の守り人』が3部門獲得!!
#ゲーム #TGS
◆メジャーメーカーの大ブースがバンバン
9月16日から千葉・幕張メッセで開幕した東京ゲームショウ2010は、各メーカーとも大作ゲームをド派手に展開。ここ数年の傾向を反映して、中小が整理され、再編成が進んでいることをうかがわせる。それに伴い、業界が再び勢いを取り戻しているように映る。
セガブースは『戦場のヴァルキュリア3』など”セガっぽい”タイトルをアピールする一方で、三上真司氏(元『バイオ ハザード』シリーズプロデューサー)の監督作『ヴァンキッシュ』、いま最も俗世間への訴求要素が高い『龍が如く』シリーズを前面に押し出していた。
『龍が如く OF THE END』『クロヒョウ 龍が如く 新章』の描き出す新宿ハードボイルド小説系ゴッタ煮感は健在のようで、コンパニオンのスタンダードから外れたキャバ嬢プッシュのPRも好感度大。写真を見てお分かりのようにサービス満点だ。
左は実甘子(みかこ)氏。高杉晋作が……。
コーエーテクモブースでは幕末&坂本龍馬ブームのさなか、アドベンチャーゲーム『維新の嵐 疾風龍馬伝』のトークイベントを開催。プロデューサー北見健氏のほか、芸能界からも幕末ファンの実甘子(みかこ)氏、雑誌「RYOMA」(主婦の友社)編集部の坂本龍馬氏(史実の人物と同姓同名!)が登壇した。
注目は現代的なキャラクターデザイン。実甘子氏が気になるという「岡田以蔵」「高杉晋作」はかなりイマ風の絵柄で描かれたイケメンになっている。NHK大河ドラマ『龍馬伝』のキャスティングや無双シリーズの登場人物を思えば驚くことではないのかもしれないが、やはり時代の要請によるものか!? 「これ誰? ボタン」でキャラのプロフィールを呼び出せるというのも、幕末の知識があやふやなユーザーには大助かり。
◆姿勢が面白すぎるカプコン
ゲームの”外側”に気合が入っていて面白いのがカプコン。JR海浜幕張駅では改札をくぐる前の構内で”ゲームクリエイターの保護に全力で取り組むカプコンの”「ゲームクリエイター剥製展」を開催。
これはプランナー、ディレクター、ゲームエンジンプログラマー、プロジェクトマネジャーの”剥製”に扮した役者さんが静止パフォーマンスをするというもの。機械仕掛けの剥製という設定で、ボタンを押すと「心の叫び」とともに感情の発露を表現した大仰な動きを抑えめにし、ピタリと止まる演技をしていた。なお心の叫びは録音で、常に同じセリフを繰り返している。
カプコンブースはもちろん『モンスターハンターポータブル 3rd』がイチオシ。まるで集会所のような100名弱収容の「YUKUMO MURA」が出現、ビジネスデイなのに長蛇の列ができ、多くの入場者がシングルプレイ、マルチプレイを各々楽しんでいた。
野菜が並ぶ食堂? 状のセットはゲーム中の世界がそのまま具現化したようで、PSPに触れる者をハンター気分にさせてくれる。ユーザーにはうれしいもてなしだった。
◆タイトル多すぎコナミKJP
小島秀夫監督率いる小島プロダクション(KJP)は13時からスペシャルステージを展開。『メタルギアソリッド ピース ウォーカー』のスネーク(大塚明夫)が「昭和ブルース」、カズヒラ・ミラー(杉田智和)が「港のヨーコヨコハマヨコスカ」を唱うCD「平和と和平のブルース」をはじめとする関連商品を紹介した。
「カズが下手という設定で杉田さんに唄ってもらった」と小島監督。声優界きっての異能演技派だけに、ちょっとズレたMC入りのヴォーカル曲が様々な意味で波紋を巻き起こすことは間違いなさそう。
の松山重信プロデューサー(中央)。
右は小島秀夫監督、左は声優の菊地由美氏。
3D版『メタルギアソリッド スネークイーター』が2011年に発売決定の報のあとは、シリーズ最新作『メタルギア ソリッド ライジング』の実演。メインウェポンが刀である今作は、対象物を斬ったあと、断面が自動生成されるのがセールスポイント。スイカやボウリングピンの断面が色鮮やかに描かれ、驚くほどリアルな切れ味が表現されていた。
さらにTGSのメインタイトルとなる『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』の紹介では、7分半にも及ぶ日本語版トレーラーを初公開。スペイン・Mercury Steam社の手になる「日本人の我々にも通じるものがある繊細なグラフィック」満載のデモが、小島監督直々の編集により、超大作映画の予告編のように生まれ変わっていた。
ホラーファンタジーアクションゲームの真祖『悪魔城ドラキュラ』が『ゴッド・オブ・ウォー』などのフォロワーに応えるべく「リ・ボーン」した新たなるキャッスルヴァニアは、大いなる話題作となりそうだ。
◆日本ゲーム大賞に新機軸!
昨年度のビデオゲームに贈られるゲーム界最高の栄誉「日本ゲーム大賞」は誰の手に輝いたか。
「すれちがい通信」によるユーザー同士の交流が注目を浴びた『DQIX 星空の守り人』は、作品としてはベストセールス賞と優秀賞を獲得。さらに個人としてはシナリオライターの堀井雄二氏が経済産業大臣賞を授与され、見事三部門の受賞作に輝いた。
そんななか、『DQIX 星空の守り人』を含む11の優秀賞作品から大賞に選ばれたのは『NewスーパーマリオブラザーズWii』。順当と言えば順当すぎる結果だが、それには選考サイドも気がついているようで、今回から「ゲームデザイナーズ大賞」が新設された。
これはマスに向けたセールスの結果ではなく、純粋にイノベーション、独創性を評価した賞で、自身がゲームデザイナーである各選考委員に10点を与え、好きなように割り振ってもらうというやり方でスコアの集計を行った。
壇上に立つディレクターのデビッド・ケイジ氏。
あまたあるビデオゲーム作品のなかからゲームデザイナーズ大賞に選ばれたのは、ユーザー投票70位ながら2位以下に圧倒的な差をつけて選考委員集計1位に輝いた『HEAVY RAIN~心の軋むとき~』(Quantic Dream開発)。
登場人物の心の動きを表現するためでもある細かなアイコン・アクション──車のキーを回すのももどかしく、ドライブに出るまでがひと苦労──が印象的なアドベンチャーゲーム。事故で家族関係にひびの入った父子家庭の描写から始まる、よくできた映画のように現実的で奥深いシナリオは、ゲームによるストーリーテリングの可能性を大きく切り拓いた作品だと言える。
セールス重視ではない部門賞の新設は、ゲーム業界が健全に機能していることの証かもしれない。日本ゲーム大賞選考委員長の養老孟司氏はビデオメッセージで自己評価・点検ができているゲーム業界を励まし、「自分のモチベーションを実現することがゲームをクリエイトすることだ」という言葉を残した。
まだまだゲームには可能性がある。希望を感じさせる初日だった。
(取材・文・写真=後藤 勝)
納得!
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