自分の素材を使い分ける天才……「山本ひかるの《センス》」
#アイドル #木嶋のりこ #アイドル的アイドル思考法
アイドルたちは、ほかのアイドルをどう見ているんだろう…? そんな疑問にお答えする連載「アイドル的アイドル思考法」。自他共に認める業界一の「アイドル通アイドル」木嶋のりこが、アイドルの魅力のすべてを語り尽くします!
「素材の使い方は自分次第」
一見、料理か何かの話に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。私はグラビアや芝居の仕事をする時、こんなことを思うのです。
自分の体や声を磨いて、その素材を良くしたとしても、使い方や見せ方で良くも悪くもどんな形にだって変化する……最終的には自分の持っている《センス》だと。
彼女に出会ってから、私はさらにそれを強く感じるようになりました。
初めてアイドル雑誌で彼女を見た時は、ふわっとした印象を受けました。まるで天使のような空気感が魅力的で、「きっと癒し系な女の子なんだろうなぁ」と頭の中で妄想を膨らませました。そして、動いている彼女が見てみたいと思うようになったのです。
彼女のファーストDVD『Sweetness』で、まず私の中に入り込んできたのは、彼女の声。ファンに向けてメッセージを伝えるその声は、まさに思い描いていた通りの癒し系。そしてそのあとの笑顔も、雑誌で見た天使のままだったのです。
心地良いストーリー仕立てのムービーは、私を引き込んだまま進んでいきます。
しかし、進んでいくにつれて、私の感じた《ふわっ》としたそのイメージは、次第に変化していきました。
女の子の日常を描いたそのストーリーの中で彼女は、可愛らしいだけでなく、コミカルな表情や動き、リアルな話し方など、さまざまな姿を魅せるのです。最初の印象からは想像していなかった、ポップでキレのあるしぐさに、私はますます彼女の虜になりました。
たとえセリフのない場面でも、彼女のしぐさからはさまざまな感情が読み取れ、見ている方の妄想を掻き立てるのです。
ただ、クマのぬいぐるみを見つめるだけのシーンでも、ニコッと笑うだけではなく、一瞬だけくしゃっと表情を歪ませる……。まるでそのぬいぐるみに話しかけているような姿が、愛らしく、リアルさも感じさせます。
そんな魅力的な姿は、彼女がヒロインとして活躍した、『仮面ライダー W』でも同様に見られました。
誌面での印象とは違う、コメディ色に染まった彼女……。
こちら側の妄想とリアルの狭間を駆け巡る彼女を見ていると、いつの間にか笑顔になってしまうのは言うまでもありません。
(アミューズソフトエンタテインメント)
そんな彼女を見ていて私は思いました。
彼女は、自分の素材を使い分ける天才だと。
同じ瞳なのに、同じ口なのに、同じ体なのに、同じ声なのに……彼女のセンスある使い方次第で、何通りもの姿を魅せてしまう。
その《センス》が、私を虜にさせたのです。
よく、自分の表情や動きを、鏡の前で練習するアイドルの話を聞きます。私も経験があるのですが、そうすることで客観的に自分を見られるようになるのです。
きっと、写真に写った自分を見て、「あれ、もっと笑っていたと思ったのに……」「こんな表情してたっけ?」と思った経験がある方もいると思います。
身体のどの筋肉を動かすとどんな風に動くのか、それを知った上で、どんな使い方ができるのか、さらに、どんなパターンがあって、自分にはどれが合っているのか……。
私は、彼女から学ばせて頂きました。
これからも、数多くの芝居の中で、彼女のそのセンスが、彼女自身をさまざまな色に染めていくことでしょう。
(文=木嶋のりこ)
●きじま・のりこ
1988年、長野県生まれ。05年「制コレ」7テイルズ獲得。女優として『片腕マシンガール』(07)、『ピョコタン・プロファイル』(08=主演)。舞台『月葬(げっそう)』(09)。
ブログ「木嶋のりこのハッピーオムライス」
http://ameblo.jp/noriko-kijima/
公式HP「木嶋食堂」
http://mentaiman.com/attraction/kijima/index.html
贅沢な一枚です。
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