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羞恥心がいつしか快感に……? Mにはたまらん『リアル桃鉄』潜入レポ

momotetsu.jpg『第6回リアル桃鉄』リアルタイムブログより

 ゲームの中に自分が入って冒険を楽しみたい……ゲーム好きならこんな妄想をしたことがある人は多いはず。『リアル桃鉄』は、そんな願望を満たせるイベントである。このイベントは、人気ゲーム『桃太郎電鉄』シリーズを、実際の首都圏JRを使ってやろうというもの。6年前から毎年夏に開催されており、8月21日(土)に行われた『リアル桃鉄2010』に筆者も参加してきた。6年前は1対1の戦いだったのが、年々口コミでファンや参加希望者が増え、今回は過去最多の16チーム(32人)が参戦した。

■早朝から夕方まで辱められ、その様子をネット上に拡散されるイベント

 イベントは7時~17時までぶっ通しで、以下のようなルールで進められる。

1.各チームが任意のJR駅にスタンバイ
2.ゲームマスターがランダムに目的地を決定する
3.各自サイコロを振り、出た目の数だけ駅を移動する
4.移動したら指令カードを引く
5.カードの指令内容を実行する
6.指令カードをやっている様子(写メや動画)を、リアルタイムブログに投稿する
7.目的地に到着するまで3~6を繰り返す
8.目的地に到着したらスコアを計算する(現在地から目的地までのJR運賃をマイナス)。目的地から最も離れた場所にいる下位3チームは貧乏神Tシャツを着用
9.タイムアップ(17時頃)まで2~8を繰り返す
10.タイムアップ時に最もスコアの低いチームは罰ゲーム

 指定された目的地に向かって、サイコロの出目の分だけ駅を進む点はゲームの桃鉄と同じ。ただ、『リアル桃鉄』の場合、上記の4~6で行う指令カードが曲者で、【太い眉毛カード】(味付け海苔やマジックなどでまゆげを太くする。幅3cm以上。誰かがゴールするまで)や、【思春期カード】(コンビニでエロ本を買って公園で読む)など、できれば公衆の面前でやるのは御免被りたい内容のものばかり。

 また、どこかのチームが目的地に辿り着いた時点で、目的地から遠かった3チームは、”貧乏神”となり、参加者がそれぞれ手作りした恥ずかしいデザインの貧乏神Tシャツを着なければならないのだ。

1.jpgなかには”Tシャツ”の形状をしていないゴザ製の貧乏神Tシャツを着たチームも……。
電車内にこんなのがいたら、絶対に関わりたくない。

 それにしても、首都圏JRの駅を眉毛を太くして移動したり、貧乏神Tシャツを着たり、体力的にしんどかったりと、常に恥と疲労と隣り合わせのこのイベント、もはや苦行としか思えない。主催の椎名隆彦さん(しーなねこさん)は、「参加した方はみんな『辛かった』と口を揃えて言います。ただ、あれだけ辛かったり恥ずかしい思いをしたのに『またやりたい』というリピーターが多いので、イタ気持ちいいというか、修行のようなものなのかもしれません。優勝すると何か賞品がもらえるわけでもないですし、自らを辱める行為をひたすらこなすだけの後ろ向きなイベントですね」と淡々とした面持ちで言う。

 参加者は、サイコロの出目や指令カードの内容に四苦八苦する様子をそれぞれ写メや動画で撮り、携帯からリアルタイムブログ(http://realmomo.com/round6/blog/)にアップするので、PC前にいるだけで参加者を笑い者に……いや、ともに喜びや苦しみを分かち合うことができる。さらに、今回から初の試みで、下北沢のカフェバー「スローコメディファクトリー」に本部を置き、実況班がリアルタイムブログを見ながら参加者の起こす行動やハプニングをいじりつつ、USTREAMで生中継を行った。それを見ている視聴者がTwitter上で反応することで、リアル桃鉄の実況生中継が拡散していき、ピーク時にはUSTREAM視聴者が150人にも上ったそう。

■リアル桃鉄の醍醐味は、勝ち負けではない?

 ところで、ゲームの桃鉄をやったことのある方なら分かるかと思うが、あのゲームはとにかく”絶対勝ちたい!”という気持ちにさせられる。戯れのつもりで対戦したカップルがいつしか真剣勝負になり、負けた方が不機嫌になって大喧嘩に……という話を何度も聞いたことがある。そのため、『リアル桃鉄』でも、熾烈かつ汚い大人の戦いが繰り広げられるのだろうと思っていた。しかし、いざやってみると、どうやら勝ち負けではなく、いかに恥ずかしい指令カードをこなし、その様子を高みの見物をしているUSTREAM視聴者の皆々様に笑っていただくかという点に、リアル桃鉄の存在意義があるように思えた。もちろん、大変な目に遭う指令カードは、やる側にしてみればたまったものではないし、筆者もイベント開始直後は”笑い”の要素などいらないから、平和にゴールしたいと切に願っていた。だが、人はピエロが好きだ。公衆の面前で愚かな行為をするプレイヤーこそ、観戦者の求めているものである。イベント中、ブログにアップされた自分の醜態を肴に、観戦者の方々がTwitterで盛り上がってくれる様子を、駅の移動中にiPadで見ているうちに、恥がいつしか快感に変わっていったのだった。

■しーなサイゾーチームが首都圏JRの駅周辺で晒した醜態

 そこで、筆者のチーム「しーなサイゾー」(しーなねこさんと筆者のペア)が、身を挺してこなした指令カードの一部を紹介したい。

 しーなねこさん担当【沢尻エリカード】@矢向駅:尻を片方出して写真を撮る(銅像の尻とか、桃とか、尻のような何かでも可)。

 さすがに誰しも公衆の面前で尻を出したくないだろうという配慮から、”尻っぽい何か”でもよいという逃げ道が用意されている。ただ、他のチームに遅れを取らないためには、タイムロスは少しでも避けたい。尻の代用品を探す時間すら惜しい。嫌がるしーなねこさんの抵抗を押し切り、「早く尻出してくださいよ! 負けるじゃないですか!」と無理矢理尻を出させ、無事指令カードをこなした。

momo2.JPGこのカードを引いた時刻は7:48。駅のホームで尻を出す
しーなねこさん(アラサー)の写真をテキパキと撮る私。
これは一体なんのプレイだろうか?

アサイ(=筆者)担当【噴水カード】@吉川駅:噴水を見つけて、手か足を水にひたす。噴水がなければ口から水を噴水のように噴き上げる。


 炎天下でうだるような暑さの8月なかば。自ら噴射した水を浴びても、ちっとも気持ちよくなかった。噴水は本物に限る。

アサイ担当【でんぐり返しカード】@日進駅:サイコロを振って出た目の数だけ駅付近ででんぐり返しをする。


 駅のホームで3回でんぐり返し。コンクリートが首の骨に当たって非常に痛かった。マット運動はマットのない場所でやるものではない。

しーなねこさん&アサイ担当【いちごカード】@大宮駅:いちごを買ってかわいく食べる。

momo3.jpgしーなねこさんのいちご姿。
momo4.jpgアサイのいちご姿。

 実況班は、しーなねこさんの苺を食べる姿について「好きな子の縦笛を舐めてるみたい」と批評し、アサイについては「自分がかわいく見える角度を完全に心得てる。小憎たらしい!」とのコメント。褒められているんだか、けなされているんだか……。

アサイ担当【ラッコちゃんカード】@浦和駅:地面に仰向けに寝て、お腹の上に乗せた貝を叩いて割るしぐさをしばらくする。かわいく。

 イベントも終盤に差し掛かった頃に引いたラッコちゃんカード。疲労と眠気のピークで、筆者の心から”恥じらい”の4文字は消え去さっていた。浦和駅のホームで堂々とラッコちゃんになりきる24才童顔小柄の筆者を、痩せ型メガネのアラサーであるしーなねこさんが黙々と撮影する様子に、周りの人は触れてはいけないものとして視線すら送ってこなかった。

 イベント終了後、しーなサイゾーチームはどこのチームよりも珍プレー好プレーが際立っていた、と名誉だか不名誉だか分からないお言葉をいただき、なんだか人間として一皮むけたような気持ちでいっぱいになった。参加者の大半は20代後半~30代前半だとのこと。大の大人が、1日中シラフで奇怪な行動をするイベントが6年も前から続いているなんて、日本は平和で何よりである。今回はUSTREAM&Twitterの効果で、過去最高の盛り上がりを見せたため、来夏からはより規模を拡大して、複数開催も視野に入れているそう。もし、首都圏JR駅周辺でおかしなことをしている大人を見かけ方は、「日本が平和な証拠だ」と生暖かい目でスルーしてあげてほしい。
(取材・文=朝井麻由美)

リアル桃鉄2010公式サイト
<http://realmomo.com/>

リアル桃鉄2010 USTREAM実況録画
<http://www.ustream.tv/channel/realmomo>

リアル桃鉄2010 togetter 当日のタイムライン
<http://togetter.com/li/44003>

桃太郎電鉄20周年

羞恥心が拭えない人はこちらで。

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最終更新:2010/09/09 19:59
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