サブカル好き必見! 何かとマニアック過ぎる「F-Files図解シリーズ」
#本 #サブカルチャー
今までの雑学本ではテーマになりにくかった、人の想像力や創作力、幻想力を刺激するありとあらゆるジャンルについて、分かりやすく、マニアックに紹介してくれる面白いシリーズ本がある。
「F-Files図解シリーズ」と名付けられたそれは、ファンタジー書籍の老舗として知られる新紀元社刊の人気シリーズ。2005年10月に第一巻となる『近代魔術』が発売され、以後、『クトゥルフ神話』『錬金術』『UFO』『中国武術』など、これまでに27冊を発売。そのジャンルは多岐に渡り、澁澤龍彦から矢追純一、はたまたミリタリー、ゲームオタクまで、実にさまざまなファンたちを虜にしているのだ。
一つひとつの項目は見開き2ページで完結し、左ページに解説、右ページに図解という形式で簡潔にまとめられているが、読み応えは十分。例えば最新刊の『悪魔学』では、悪魔とはそもそも何なのかという概念解説から始まり、悪魔学基礎編・発展編、魔女の悪魔学、グリモワールの悪魔学と続く。
また、少々マニアック過ぎる解説もこのシリーズの魅力だ。
「悪魔を召喚するにはどんな準備が必要か?」という章では、
「最初にすべきことは断固たる決意を固めることである。悪魔を操縦するのは並大抵のことではないからである。(中略)そして、悪魔を呼び出す直前の1週間は女人との関係を断つなどして身を清めなければならない。食事は1日2回とし、食事の前には主に祈りをささげなければならない」
また、『特殊警察』の中の「狡猾な犯人との人質交渉は?」では、
「犯人を退屈させないように注意する。(中略)良心の呵責は期待できないため、投降をうながしても意味はない。犯人をうまくおだてて気を緩ませ、自尊心をくすぐりながらもミスを誘発させる会話術が人質交渉チームには求められる」
はたまた、『近接武器』「武器がない! そのときどうする?」では、
「どんなショボイ武器であっても、素手で戦うよりはマシである。(中略)農作業用の『鎌』はそのままでも武器として使えるし、『出刃包丁』はダガーの代わりに、『テーブルナイフ』や『フランクフルトの串』はスローイングナイフや手裏剣のように投げることが可能だ」
などなど、残念ながら日常生活でなかなかそんな機会にはお目にかかれないが、妙に実用的な解説が繰り広げられる。
このシリーズの担当編集である新紀元社・川口さんによると、もともとファンタジーゲームに出てくる用語やアイテムなどの元ネタを解説する「Truth In Fantasy」というシリーズがあり、そのファン層を中心に、ゲームファン以外にも親しみやすく、手軽に手に取ってもらえるようにと作られたのが、このシリーズだという。
「編集はわたし以外にも何人かいて、それぞれが興味のあるテーマを取り上げているので、こんなにジャンルがバラバラなんです。とくにシバリはないので、他社さんでは敬遠されるテーマでも扱えるんです。たとえば、死後の世界について解説している『天国と地獄』なんかは、この作りだからこそできたものだと思います。とにかく分かりやすさにこだわってつくっていますが、こういったテーマをこんなに詳しく書いて、いったい誰が得するのかと思うことも……(苦笑)」
読者層はテーマごとにガラリと変わるものの、下は小学生から上は50~60代までというから実に幅広い。1冊にかかる制作期間は著者によってまちまちだが、2カ月のものから数年を費やしたものまであるという。ちなみに、これまでで一番売れたのは、『ハンドウェポン』と『北欧神話』とのこと。
サブカル好きにはたまらない、この絶妙なテーマチョイス。版型もB5変形と、図解というわりには持ち運びに便利なサイズだ。このシリーズでゲームや映画、コミックなどの元ネタが分かれば、今までと違った、ツウな楽しみ方ができるかも!?
(文=編集部)
・新紀元社
<http://w3.shinkigensha.co.jp/books/F-Files.html>
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