選ばれし500名が舞浜サーバーに集結! いい意味で大きなウェットダメージが!?
#アニメ #イベント
幕張メッセでは「C3×HOBBY キャラホビ 2010」、さいたまスーパーアリーナでは「Animelo Summer Live 2010 -evolution-」が開かれていた、まさにその8月29日。ディズニーリゾート内にある東京ベイホテル東急──この時点での”舞浜サーバー”──には、およそ500人のセレブラントが集まっていた。「ゼーガペイン Blu-ray BOX 発売記念イベント 2学期直前! ゼーガペイン夏祭り@舞浜サーバー」に参加するためだ。彼、彼女らは、『ゼーガペイン』Blu-ray BOX購入者のうち、運よく当選メールを受け取ることができた選ばれし者たちなのである!
ひとくちに500人と言っても、ホテルのロビーにひしめくと、少々身動きが取りづらく、受付に手間取るほどの人数。「数百人の幻体データを生かし続けるとサーバーに負荷がかかる」とはこういうことなのだろうなと、妙に納得してしまう。
『ゼーガペイン』は2006年、2クールに渡って放映された、カルトな人気を誇るロボットアニメ。DVDの売上がさほど芳しくなくBlu-ray化が危ぶまれたが、ファンの商品化要望を受けてBlu-ray BOX発売にこぎつけた経緯がある(※現在は申込受付終了)。つまりこのイベントには、作品寿命を伸ばし続けてくれるファンへの恩返しという色合いが強かった。
ファンが着席したあと、”幕張サーバー”からデータ転送されてきたとおぼしき報道陣が最後尾に陣取ると、ほどなくイベントは始まった。
第1部はトークショー。下田正美監督とともに登壇したソゴル・キョウ役の浅沼晋太郎、カミナギ・リョーコ役の花澤香菜は舞台となる舞浜南高校の制服を着用し、演じているキャラクターそっくりの出で立ち。ふたりとも髪型を極限までキャラに近づけていたが、それにとどまらず、花澤に至ってはお酢ダイエットで体を引き締めていた! 涙ぐましい努力の甲斐あって、どこからどう見てもリアルカミナギ。これには共演の浅沼も「実体化した!」と驚きを隠せなかった。
実体化と言えば、コスプレ以外の手段としてフィギュアがあるが、以前アルターから発売され、廃盤となっていたカミナギ・リョーコのフィギュアが再販されることが決まり、これまた場内がどよめく騒ぎに。なんと既に金型が消滅してしまっており、ポーズを再考して一から作り直すというから、これはもはや新作同様。このような復活(リザレクション?)商品化は稀なケース。これも『ゼーガペイン』の特異な人気をあらわすバロメータと言えるかもしれない。
瞬間最大風速的にその期の放映を終え、DVDを発売したら商品寿命が尽きるケースが多い近年のアニメシーンにあって、大のつくヒットを飛ばしたわけでもないのにじわじわと支持率を上げ続ける『ゼーガペイン』が、一風変わった存在であることは間違いない。今春から始まったBS11での「再放送」を観てBlu-ray BOXを購入した視聴者もいる。9月2日から始まるアニマックスの放送でも、セレブラントを増やす結果になるはずだ。
白眉だったのは休憩を挟んだあとの第2部。浅沼が自らオリジナルエピソードの脚本を執筆し、花澤と朗読劇「ゼーガペインリーディング『消されぬ思い』」を演じたのだが、これは余興などではまったくなく、本気の芝居だった。四年ぶりだというのに当時の声が憑依した演技(もちろん演劇としての深みも加わっている)。アニメ本編の「その後」を描いたストーリーは、正当な続編を舞台で演じてしまったかのような出来栄えだった。
ここに人気の秘密が垣間見える。作品を構成する一つひとつの要素が真剣に芸術であろうとし、絶望的な状況でいかに生きるかという死生観を真正面から捉え、伝えようとする決意が、視聴者にも伝わるのだろう。役者にそこまで力を傾注させる何かが『ゼーガペイン』にはある。
朗読劇の結末から間断なく、ROCKY CHACKが演奏する『ラストブルー』につながる瞬間には鳥肌が立った。
大きく捉えればエレ・ポップの正当なる継承者であるROCKY CHACKは幻のユニットでもあり、「あまりLIVEをやらない」(noe)、「というか、全くやらない」(山下太郎)。
『ラストブルー』のあと、プロデューサーの保刈久明をギターに加えたトリオ編成で『and you』『リトルグッバイ』を演奏、計3曲のステージを終えたが、これが世にも珍しい瞬間であったことは言うまでもない。
カンタベリー系的なニュアンスが登場人物の心情によくマッチしたいい楽曲群だが、LIVEの緊張感でまた別のグルーヴが生まれ、オーディエンスも素直にノっていた。
「さいたまに負けていないかなと。こっちに来てよかったでしょ!?」というMCの煽りが煽りに思えないくらいの貴重な演奏だった。
閉幕後にはギリギリになって駆けつけた幡池裕行(企画・デザイン)が進行中のスケッチを披露する場面も。放映が終わり4年が経っても、いまだ関係者の創作意欲が熱くたぎったままの『ゼーガペイン』。今後に何かがあるのではと期待させるイベントだった。
(取材・文・写真=後藤 勝)※文中敬称略
◆「ゼーガペイン」公式サイト→special→スタッフコラムにて浅沼晋太郎(キョウ役)、花澤香菜(カミナギ役)のイベント終了後コメントを掲載中
<http://www.zegapain.net/>
待ちきれない!
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