「メディアを疑え! 好奇心を持て!!」”不肖・宮嶋”が若者世代へ送るメッセージとは!?
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「不肖・宮嶋」こと、報道カメラマンの宮嶋茂樹氏。写真週刊誌「フライデー」(講談社)専属カメラマンを経てフリーになるや、東京拘置所収監中の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚の車椅子姿や、ロシア外遊中の金正日の姿を撮影するなど、数々のスクープを連発。他方、コソボやアフガン、イラクなどの戦場を渡り歩き、『不肖・宮嶋 死んでもカメラを離しません』(祥伝社)など、戦地ルポの著書も数多い。
地べたを這いつくばるような取材を続け、現場主義一辺倒で来た宮嶋氏の目に、今の日本のメディアはどう写るのだろうか。
「相撲の賭博問題で日本中が揺れたわけだけど、メディアの言っていることはきれいごとばかり。力士が暴力団とつるんでいたなんて、現場の記者はみんな知っていたはず。見て見ぬふりをしてきたくせに、初めて知りましたとばかりに一斉に叩いている。芸能界と暴力団のつながりも同じ。情報には裏があるということを、見る側は常に意識するべきでしょうね」
報道の世界にどっぷりつかってきた宮嶋氏だからこそ感じる情報への猜疑心。その思いで書いた『不肖・宮嶋 メディアの嘘、教えたる!(14歳の世渡り術)』(07年刊/河出書房)は、内容の一部が高校の国語入試問題にも使われている。
「若い世代には特に報道を疑って見て欲しい。辻元(清美)議員が社民党の離党会見で美しい言葉を並べていたけど、あんなの権力志向の強い女が与党へ入るための戦略。でも、あれを見た子どもは『この人、いい政治家かも』なんて勘違いするかもしれない。教えるべき教師は組合活動が忙しいし。僕の本を解説書として『世の中は裏がある』と感じてくれれば、書いた甲斐がある」
”裏がある”のはワイドショーや国内ニュースだけではない。宮嶋氏が自らの海外での取材経験を振り返る。
「ある番組でカンボジアを取材したら、『スポンサーが大手飲料メーカーなので画面にビールの看板を写すな』と局から指示が出た。食事のシーンではジュースのビンを全部どかして撮影しましたよ。報道の重要さよりスポンサーの意向が第一義。それがいいか悪いかではなく、そういうことが裏で起こっているということ。純粋な報道なんてないわけで、誰かが得をするからその情報が流れている。若い人はそれを知っておくべきでしょう」
インターネットが普及し、断片化された情報が氾濫する時代だからこそ、問題を多面的にとらえて咀嚼する力が問われていると、宮島氏は考えている。はたして今の世代にその力は期待できるのだろうか。
「バイトで若い子を使うことがあるんだけど、みんなびっくりするくらい好奇心がないね(笑)。情報を咀嚼する以前の問題。僕はゆとり教育の弊害だと思っている。まずは身近なことから関心を持てばいい。仮にサッカーが好きなら、贔屓のチームがどんな問題を抱えていて、上手な選手がなぜ試合に出られないかとかね」
メディア業界を騒がせている「書籍の電子化問題」についても、これまで40冊を超える著書を出している宮嶋氏にとっては逼迫した問題だ。
「先日もある出版社から、『iPad向けの写真集を出しませんか』という打診がきた。たしかに、今は電車で新聞読んでいるサラリーマンが全然いない。携帯やiPhoneばかり見ている。嫌でも時代を感じますね」
紙媒体に閉塞感を感じつつも、一方で「けっこう楽観的」でもあるという。
「紙の書物が全部正しいなんて言わないけど、一定の信用性という担保はあると信じてますよ。それに、人は必ずしも便利なものに飛びつくとは限らないからね」
紙をめくりながら折り目をつけ、残りのページ数を確認しながら読むという習慣は、合理性とは別の次元で、決して無視できない要素というわけだ。宮嶋氏が続ける。
「iPadも便利でいいのかもしれないけど、できれば僕の写真は紙やインクの質感を感じながら見てほしいなぁ。僕がパソコンとファミコンの区別もつかない古い人間だからかもしれないけど(笑)」
(文=浮島さとし)
世の中ウソだらけ~。
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