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笑瓶流コミュニケーション術。ジェネレーションギャップを埋める『雑談力』

zatsudan.jpg『雑談力』(KKベストセラーズ)

 「これだから”ゆとり”は……」という言葉をよく目にする。これは相手を揶揄すると同時に、自分はもう若くない、オヤジである、という敗北宣言でもあるのではないだろうか。「これだから今の若いモンは……」という文句は、法隆寺、古代エジプト、アッシリアの遺跡にも落書きが残っているほど。どうもジェネレーションギャップは数千年前から存在していたようだ。

 いつの世も、オヤジにとって若いモンは量りがたいもの。『雑談力』は、笑福亭笑瓶師匠が、若者とのコミュニケーションに悩むオヤジたちのために書いた新書だ。バラエティー番組などで長く活躍してきた笑瓶師匠が、若者と接するときの心構え、会話術、口説き方などを、全6章にわたり、分かりやすく伝授してくれる。関西弁の語りもそのままに、楽しく、気楽に読める内容となっている。

 若者と接するときに何が重要か? 師匠が繰りかえし説くのは「等身大の自分でいる」こと。老眼も白髪も価値観も、オヤジらしくありのままさらけ出せばいい。話についていくために若者言葉を使ったり、カラオケで若者の歌を歌ったりしなくてもいい。「オヤジの歌、歌っていい?」「愚痴、言っていい?」と、そのつど前置いて言っておくだけで、相手の印象も全然違ってくるという。

 面白いのが「駅前のマック」の話。初対面の女の子に「出身どこ?」という話を振って、全然知らない駅名が返ってきても「ああ、あそこ、駅前にマックあるよね?」と答えれば、大体どこの街でもマックはあるから「はい、ありますあります!」と、グッと距離が縮まった感じになる。他愛もないことでも、言い方次第でコミュニケーションとして成立する。

 しかし、オヤジであるということは、上司として、先輩として振る舞わなければならないということでもある。コミュニケーションを取りたがらない若者に対しても、部下として入ってきたからには、「コイツはダメだ」と切り捨てず、何とかコミュニケーションを取らなければならない。上司のほうが経験値も豊富なのだから、若者との付き合い方も結局は上司の裁量にかかっていると言える。

オヤジにとってはもちろん、上司との付き合い方に困っている若者も、”オヤジ”が何を考えているのかがよく分かるコミュニケ-ション作法の良書だ。笑瓶師匠の話術に、ただただ頭が下がるばかりである。
(文=平野遼)

・笑福亭笑瓶(しょうふくてい・しょうへい)

1956年、大阪生まれ。大阪芸大芸術学部文芸学科卒業後、笑福亭鶴瓶に師事。修行中に、『突然ガバチョ』『ヤングタウン土曜日』(ともに毎日放送)でレギュラーを得て、関西での人気を揺るぎないものにする。87年、東京に拠点を移し、『鶴ちゃんのぷっつん5』(日本テレビ)のウィッキーさん役、『ものまね王座決定戦』(フジテレビ)のサリーちゃんのよしこちゃんのものまねで絶大な人気を得る。現在『噂の!東京マガジン』(TBS)、『大阪ほんわかテレビ』(よみうりテレビ)、『気ままにクラシック』(NHK-FM)、『大竹まことゴールデンラジオ!』(文化放送)、新番組『すっぽんの女たち』(テレビ朝日)にレギュラー出演するなど、幅広く活躍中。

雑談力

笑瓶、さすがだね。

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最終更新:2010/08/16 18:00
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