ドリームワークス歴代トップ評価を獲得! 3Dファンタジー『ヒックとドラゴン』
8月に入り、夏休み映画の公開もいよいよ後半戦。夏休みと言えば家族で楽しめるアニメ映画が定番で、先月封切られたディズニー/ピクサーの『トイ・ストーリー3』、スタジオジブリの『借りぐらしのアリエッティ』が興行でも元気。しかし、なにもアニメはディズニー/ピクサー、ジブリだけじゃない。この2作に負けず劣らず、家族で楽しめるオススメアニメが、ドリームワークス・アニメーションSKGのファンタジー『ヒックとドラゴン』(8月7日 新宿ピカデリー他全国で公開)だ。
『リロ&スティッチ』(03)のディーン・デュボア&クリス・サンダース監督が、英国人作家による児童書をCGアニメ化。遠い昔、北方の海に浮かぶバーク島に暮らすバイキングの一族は、家畜を奪いに来るドラゴンたちとの戦いを長年繰り広げていた。荒くれのバイキングたちを束ねる偉丈夫の族長を父に持つ、なぜかひ弱で頼りない息子ヒック。村の役に立ちたいとの思いから、新奇な武器を発明してはドラゴン退治に挑戦するものの、いつも失敗してばかり。
そんなヒックの前に、天敵のドラゴン・トゥースが現れる。一度も捕らえられたことのない伝説的なドラゴンだが、ヒックの武器により翼の一部に傷を負い、人里離れた山奥で飛べなくなっていた。初めは互いに警戒する「ふたり」だったが、次第に距離を縮め、密かに友情を築いていく。ふたりの絆は、やがてバイキング一族の運命をも変えていくのだった……。
自信を持てず疎外感に悩む主人公が、他者と出会い、友情を築き、才能を開花させる過程で精神的に成長していくという筋書きは、ファンタジー作品で定番とは言え、家族で安心して楽しめる大切な要素。手に汗握る大冒険の後に、ヒックが経験する「喪失」も、ほろ苦い香辛料のようにハッピーエンドをピリッと締めていて、リスクを取ることの痛みと成長することの喜びを絶妙な味付けで教えてくれる。
ドリームワークスSKGと言えば、かつてディズニーの映画部門トップだったジェフリー・カッツェンバーグが、経営陣との確執から同社を離れてスティーブン・スピルバーグ監督らと設立したスタジオ。そんな経緯もあって、ドリームワークス・アニメーションの作品群はアンチ・ディズニー的な毒気を含むことが多く、アクの強いキャラクター造形が観客に敬遠されることもあったが、本作は物語もキャラも親しみやすく、幅広い年代に受け入れられる内容に。世界的に有名な映画批評サイト「ROTTEN TOMATOES(ロッテントマト)」による全米マスコミの集計で、ドリームワークス・アニメ歴代トップの98%という驚異的な高評価を獲得している。
3Dでも上映される『ヒックとドラゴン』は、ドリームワークスとインテルの提携による「イントゥルー3D」技術が導入された第2弾。第1弾の『モンスターVSエイリアン』(09)から3D映像の立体感と奥行き感が大幅に向上しているのが一目瞭然だ。ヒックがトゥースの背中に乗って大空を駆けめぐるダイナミックな楽しさから、毛髪や毛皮、金属の繊細な質感の美しさにいたるまで、3D映像の魅力を堪能できる作品としてもオススメしたい。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ヒックとドラゴン』作品情報
<http://eiga.com/movie/54255/>
『ヒックとドラゴン』作品情報 ディーン・デュボア&クリス・サンダース監督インタビュー
<http://eiga.com/movie/54255/interview>
これはこれで面白い。
【関連記事】
ジブリVS.ピクサー 日米国民的アニメ映画、夏の陣!
うだるような暑さもスカッと爽快! SFリアルバトルアクション『プレデターズ』
男性顔負け! アンジーがクールにキメるスパイ・アクション『ソルト』
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事