「演奏者にとっては過酷すぎる……」3時間は長すぎ!? コンサート長時間化の背景
#音楽
夏フェスシーズン真っ盛りの今、各地ではバンドや歌手による単独公演も盛んに行われている。CDの売り上げ低迷が続く中、コンサート興行は公演数・チケット売上高ともに比較的好調を維持しており、音楽産業において唯一の成長セクターとも言われているようだ。
「かつてはCDのプロモーションのためにコンサートを行うアーティストがほとんどでしたが、今ではその意味合いが逆転。ここ数年は、夏フェス前にCDを出して話題づくりをし、夏から秋にかけて長期のツアーに出て稼ぐというパターンが定着しました」(マネジメント関係者)
コンサート興行を重視する傾向が強まった結果、今のJポップ界では一つのトレンドが生まれているという。コンサートの長時間化である。各種のコンサートを長年観続けてきた音楽雑誌編集者が苦笑気味に話す。
「90年代まではアンコールを含めても2時間以内で終わるコンサートがほとんどでした。10年ほど前から長時間化が目立つようになり、ここ数年は”3時間超え”が当たり前となりましね。楽曲演奏数は増えればスタッフの負担も増えますが、今はファンに満足して帰ってもらうことが演者側の最大のテーマ。お得感を演出することで、リピーターを増やす狙いもあるはずです。また、客にたくさん汗をかいてもらい、タオルやTシャツなどのグッズを買って帰ってほしいとの思惑もあるでしょう」
こうしたコンサートの長時間化は若手・中堅にとどまらず、ミスチルやゆず、aiko、HYといった大物アーティストにも見られる傾向で、もはやJポップの送り手の間では「1時間台のコンサートでは客が納得しない」との見方もあるほどだ。
もっとも、最近ではリハーサルやコンサート中にノドを痛めたり、体調を崩すアーティストも少なくない。この2年間に限っても、flumpoolの山村隆太(10年4月)がリハーサル中にノドを痛めたのをはじめ、w-inds.の慶太(09年8月)、藤木直人(09年7月)、ミスチルの桜井和寿(09年3月)が、ノドの不調を訴えてコンサートを中断、もしくは延期している。もちろん、個々の不調要因はさまざまであるが、コンサートの長時間化が多くのアーティストに負担を掛けているのは間違いない。
「連日3時間以上も演奏していたら、体調に異変が起きるのも無理はありません。最近では医療スタッフをツアーに同伴させるケースもあるほどで、演奏者にとっては過酷なロードレースとなっている感もあります」(前出のマネジメント関係者)
音楽業界のビジネスモデルの変化に伴って起きた、コンサートの長時間化という現象。多くのファンにとってはうれしいことであるが、ファンの一部からは「長時間立っていると、足が痛くなって興ざめする」との声があるのも事実。どこかで歯止めが必要なのかもしれない。
(文=石田和宏)
こんな本が出ちゃう時代。
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