金賢姫で韓国に借りを作った政府は8月15日にトンデモ「政府談話」を出す!?
#政治 #韓国 #自民党 #平沢勝栄
1987年の大韓航空機爆破事件実行犯で、北朝鮮元工作員の金賢姫(キム・ヒョンヒ)が20日、日本政府の招聘で来日した。23日までの滞在中、拉致被害者の家族らと面会したが、拉致に関する新情報は出てこなかった。一方、115人の命を奪ったテロリストを超法規的措置で入国させたことや、多額の国費を投入したVIP扱いでの厚遇に、野党や一部世論からは非難の声が上がっている。今回の金元工作員招聘に先立ち、政府は今年4月にも、黄長◆(火へんに華=ファン・ジョンヤプ)元朝鮮労働党書記を日本へ招聘したが、黄元書記は拉致被害者家族との面談で「共に闘いましょう」などと語ったのみで、このときも新情報は出ていない。
一体なぜ、日本政府は金元工作員を日本へ呼んだのか? 中井洽拉致問題担当相の目的はなんだったのか? 02年から04年まで、いわゆる「拉致議連」に事務局長として携わり、拉致問題を長く見続けている自民党・平沢勝栄代議士に、一連の”騒動”の見方を聞いた。
――今回、金賢姫を韓国から呼んだ目的はなんだったのでしょうか。
平沢勝栄議員(以下、平沢) 中井大臣の「私は拉致問題に取り組んでいますよ」というアリバイ作りじゃないですか。金賢姫にはこれまでも捜査当局がソウルに行って徹底的に話を聞いているので、新しい情報が出るはずがないことは誰もが分かっていた。分かっていながら、莫大な国家予算を使って呼んだ。パフォーマンス以外の何ものでもない。民主党の中に同じように考えている人が何人もいますよ。
――今回の招聘でどのくらいの費用が使われたのでしょうか。一部報道ではチャーター機に1,000万円、金賢姫本人への報酬が1億ウォン(約750万円)とも報じられていますが。
平沢 政府が一切答えていないので正確な金額は今の段階では分かりません。前の国会で、4月に黄元書記を招致したときの経費についても、自民党の小野寺(五典)議員が追求したわけですが、そのときも政府はまったく答えませんでした。
――何の効果も期待できないと知りながら韓国から呼び寄せ、結果的に多額の国家予算が使われたわけですが、税金の無駄遣いということ以外に弊害は考えられますか。
平沢 今回、金賢姫を呼んだことで韓国政府に大きな借りを作ってしまった。実は、一番の問題はそこなんです。借りを作ったことで、今後の日韓外交で無理難題をふっかけられる可能性がある。さしあたって考えられるのが、日韓併合100年目を迎える今年、菅総理名義で発表すると政府が明らかにしている「政府談話」です。この談話の内容が韓国側寄りになる可能性が非常に高い。
――民主党が民団(在日本大韓民国民団)から選挙応援を受け、外国人地方参政権付与に熱心であることは前回(参照記事)お聞きしました。ただでさえそんな状況ですから、今回の「政府談話」は95年の「村山談話」(終戦50周年を迎えて当時の村山総理が発表した談話)を大きく踏み超える韓国寄りの内容になるのではと囁かれているわけですが。
平沢 民主党は民団から選挙応援を受けているうえに、今回大きな借りを作った。たとえば1965年に結んだ日韓基本条約で解決済みの話をぶり返すなんてことも考えられる。事実、仙谷(由人)官房長官は今月7日の会見で、政府として新たに「個人補償」を検討していくなんてことを言い出している。言われるがままに韓国の要求を飲み、それが総理談話に盛り込まれる恐れもある。今後日本は、竹島の問題でも強く出ることができないでしょう。
――そもそも金賢姫は大韓航空機を爆破した元死刑囚であり、親北政策をとっていた韓国の政治的配慮で特赦されはしましたが、テロリストであることに変わりはないはずですが。
平沢 まったくその通りで、そもそも金賢姫は入国を拒否すべき人物です。今回のことで日本がテロリストに弱い国だということを世界に示してしまった。金賢姫というのは、よその国から見たら、大量殺害を実行した「テロリスト」以外の何者でもない。それを日本政府が超法規的措置で入国させ、国賓扱いで厚遇したと世界へ発信された。中井大臣や岡田外務大臣などは「金賢姫においでいただくことを……」なんて最大級の敬語で表現している。私が会った外国メディアや大使館の人間は、心底あきれていましたよ。
――宿泊先は軽井沢の鳩山前総理の別荘でした。
平沢 仮にオバマ大統領が、キャンプ・デービッドにテロリストを国賓扱いで呼んだらどうなりますか。115人を殺した犯人を、チャーター機を使って軽井沢の別荘へ泊め、終わってから「富士山が見たい」というので遊覧飛行までしている。それに、115人の被害者の遺族の気持ちも全く無視しています。事実、韓国の遺族はかなり怒っていると聞いています。要するに中井大臣は自分の点数のことしか考えていないのでしょう。
――金賢姫来日は中井大臣主導で進められたのですか? 外務省などの関わりは?
平沢 今回の件は完全な中井大臣の主導です。企画、演出すべて中井氏。動いているのは内閣官房の拉致対策室。彼が「やれ!」と命令して突っ走っているだけ。外務省は逆にカンカンに怒っていますよ。その理由は3つ。まず効果がない、次にテロリストを国賓待遇で入国させるなんて世界的に例がない、そして韓国に大きな借りを作ると。だから、今回の件では外務省は距離を置いています。動いているのは警察庁と内閣官房ですが、中井氏が国家公安委員長という警察のトップなので仕方なしにやっているだけです(脚注:中井大臣は国家公安委員長を兼務)。
――中井大臣といえば、国家公安委員長でありながら”知人”の女性に赤坂議員宿舎のカードキーを渡して日常的に出入りをさせていたスキャンダルが週刊誌で報道されました。
平沢 女性問題はセキュリティ上も大問題で、本来なら罷免ものです。最近出た写真週刊誌の「フライデー」にも、金賢姫のVIP扱いへの批判記事が出ました。その記事のことで「フライデー」編集部に警察庁からクレームがいったそうです。「なんでこんな記事載せるんだ」と。「フライデー」側が突っぱねたら、「抗議しないと大臣から怒られるので、一応しておきました」と答えたそうです。とんでもない国家公安委員長に警察組織が振り回されているわけですよ。
――大臣が自分の点数稼ぎのために多額の国費を使い、その結果、日韓問題において国益を損なわせ、かつ出版社に圧力をかけたとしたら大問題です。そもそも中井氏は拉致問題に熱心に取り組んできた人なんでしょうか。
平沢 小泉訪朝前は全然です。拉致問題なんて全然関心がなかった人です。拉致問題担当大臣になってからも、今年の1月くらいまで一度も対策本部の事務局に顔を出してなかったことが報道されている。問題を理解していないから、今回の招致も「世論を喚起できた」なんてことを言っている。世論喚起の時期はとっくに過ぎています。早く具体的な解決に向けて動けというのが今の世論です。そのためには北朝鮮と接触して問題解決を図るしかない。場合によっては、中井大臣が自分で北朝鮮へ乗り込んで話をするべきです。そういうことを何もしないで、金かけてパフォーマンスばかりしている。そんなことで解決できる問題だと思ったら大間違いです。
――今回の動きに「拉致議連」はからんでないのですか。
平沢 今回の金賢姫招聘は政府の独断だと思います。私自身、一時期、議連の事務局長として携わりましたが、議連の活動に疑問を感じ、今は距離を置いています。今の議連は「家族会」と完全に一体となってやっている。「一体」と聞くと聞こえはいいが、何をするにも意見を聞いてからやる。この問題は、金正日と日本のトップが会うしか解決法はないんです。しかし、金正日は自分にプラスにならなければ絶対に解決に向けて動こうとしないでしょう。相手を騙してエサをまいて、解決してからエサをとりあげるという方法だってある。交渉にはいろいろな駆け引きが必要なんです。家族の意見を聞きながら動いていては、現実には解決できないんですよ。
――政府は拉致問題解決へ向けて何をすべきですか。
平沢 今の政府が解決できるとは思えませんが、まずはトップとトップで会わなければなりません。菅首相と金正日が会うべきです。そのためには水面下で具体的な準備をする。それが中井大臣の仕事です。それを一刻も早く始めるべきなんです。ただ、そういうビジョンは中井大臣には一切ないでしょう。先日、私はラジオ番組に出てこの問題について話したんですが、番組に届いた数百というメールやファックスは、一通残らず「今回の金賢姫の招聘はおかしい」という批判的意見でした。テレビなどが政府迎合の報道をしていても、国民はしっかり事実を見透かしていますよ。
(文=浮島さとし)
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