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『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』吉田正樹 テレビバラエティーは死なず

yoshidamasaki.jpg伝説のプロデューサー・吉田正樹氏。

 吉田正樹と言えば、テレビバラエティーの歴史に名を刻む伝説のプロデューサーである。ディレクターとしては『夢で逢えたら』『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』などを手がけ、ダウンタウンやウンナンを世に送り出した。1998年には、「コント冬の時代」に『笑う犬の生活』を立ち上げて、その後のフジテレビのコントバラエティーの礎を築いた。

 そんな彼は、09年1月にフジテレビを退社し、現在はワタナベエンターテイメント会長、吉田正樹事務所代表を務めている。そこではテレビに限らない幅広いエンタテイメントコンテンツの企画・制作に携わっているのだ。

 7月14日、吉田正樹の著書『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ 「笑う犬」プロデューサーの履歴書』(キネマ旬報社)が発売された。これは、彼が自身のフジテレビ時代の体験を振り返って、そのときの思い出を語るという内容。『ひょうきん族』のADとしてスタートした下積み時代から、『やるやら』打ち切りのきっかけとなった事故の一件まで、フジテレビで濃密な26年を過ごした彼が、自らの身に起こったすべてを赤裸々に告白している。この本を出したきっかけについて本人に尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。

吉田「テレビやお笑いを愛する人たちのために書いた本です。彼らにとって役に立つような一次資料を残そうと思ったんです。言葉は何かに定着しないと意味を持たない。活字になると僕個人の手を離れていろんな人のもとに届く。それがいいかなと思いました」

 フジテレビには「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズに象徴されるような、独自の文化がある。それが具体的にはどういうことなのか、どこからそれが生まれたのか、ということに関しても、著書の中で明確に述べられている。

吉田「『フジテレビのDNAを受け継いで……』とかって、みんな割と軽々しく言うんですけど、それをきちんと考えた人はあんまりいない。それはフジテレビの若い社員が80年代に故・鹿内春雄(元・フジテレビ副社長)さんから頂いて現・日枝会長や、その後進が育てた気持ちだと思います。どんなにふざけたことをやっていても、自分たちはテレビで意味のあることを発信しているんだという過剰なまでの自己肯定と、徹底的なエンタテイメント性。結局そういうことなのかなと」

 鹿内春雄が生み出した「フジテレビのDNA」は、『オレたちひょうきん族』のディレクター達から下の世代の吉田正樹に受け継がれた。そして、吉田もまた、それを次の世代に受け渡す立場になったのだという。

吉田「僕は僕で、自分のバトンを誰かに渡すことになった。それが片岡飛鳥であり、小松純也であると。現在で言えば、宮道Pや神原Pかな……。これは『葵徳川三代』みたいな、フジテレビ版の大河ドラマですよ。じゃあ僕は秀忠か。一番報われないなあ(笑)」

 著書の中には、吉田の盟友・内村光良との対談も収録されている。この本の中ではウンナン以外にも、ダウンタウン、とんねるずなど、フジテレビの90年代を支えた「お笑い第三世代」と呼ばれる大物芸人たちのパーソナリティーの違いについても述べられている。

吉田「とんねるずに関して素晴らしいと思うのは、とにかく石橋貴明のプロデューサー性が卓越していることなんだよね。番組がどういう形で成り立っているのか、視聴者や局や、スポンサーが何を求めているかっていうのが分かるんです。その上で、ある企画が当たるか当たらないかを直接舵取りできる。そんな人はほかにいないですよ。それに対してウッチャン(内村光良)なんかは、どんな仕事もとても一生懸命やってくれる。たとえ死に至る道だと分かっていても、がんばって歩いてくれる。その後ろ姿は切ない(笑)そこが好きなんですけど(笑)。あと、ダウンタウンに関しては、僕は普通に話しやすい人達だと思っています。特に松本(人志)の場合は、信者がいっぱいいるじゃない。それは、お笑いを愛していない人が、松本を神格化することで逆にお笑いをつまらなくしていると思う。見る前から『さすがは松本さん!』っていうのは、正しい笑いの見方ではないよね。もっとあたたかく平たく見てあげて欲しい」

 最後に、「この本の読者として求めているのは誰なのか?」という問いを投げると、吉田は間髪入れずにこう答えた。

吉田「すべてのテレビを楽しもうと思っている人たちに読んでいただきたいですね。いわば、人生のひとこまの中でテレビを一度は愛したことがある人たち。そういう人に読んでいただけると、そうだったのか、と思ってもらえるんじゃないかな」
(取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田)

●『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』刊行記念 対談トークイベント
■日時:7月31日(土)
【1回目】13:30~/【2回目】15:00~
■会場:紀伊國屋書店 新宿本店(9階特設会場)
■ゲスト:
【1回目】ビビる大木(お笑い芸人)
『笑う犬』シリーズのレギュラー出演者だったビビる大木さんが、収録当時の思い出などを吉田さんと語ります。『笑う犬の冒険』でレギュラー起用が決まった理由とは!?

【2回目】小松純也
(フジテレビジョン 編成制作局 バラエティー制作センター 副部長)
『笑う犬』シリーズや『平成日本のよふけ』といった、吉田さんプロデュース番組で鬼才ぶりを発揮した吉田班きっての才人が、”師”吉田正樹を語ります。

■参加方法:
紀伊國屋書店新宿本店にて対象書籍をご購入のお客様のうち、ご希望の方を先着順で整理券を配布いたします(1回目と2回目どちらかをお選びください。整理券はなくなり次第、配布終了となります)。
詳しくは紀伊國屋書店ホームページにて
< http://www.kinokuniya.co.jp/01f/event/event.htm#shinjukuhonten_6>

■対象書籍:
「人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ ~『笑う犬』プロデューサーの履歴書~」キネマ旬報社刊/1,680円(税込)
■販売場所:紀伊國屋書店 新宿本店1F
■販売開始日:7月15日(木)/電話予約も可能です

●お笑いトークラリーpresents
「笑う犬の告白 ~人生で大切なことは全部お笑いで学んだ~」
【日時】8月4日(水) OPEN 18:30 / START 19:30
【出演】ラリー遠田、岩崎夏海
【Guest】吉田正樹
【会場】新宿ロフトプラスワン
前売¥2000/当日¥2500(共に飲食代別)
※前売券は7/3(土)よりローソンチケットにて発売。(Lコード:38927)

人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ ~『笑う犬』プロデューサーの履歴書~

人生で大切なことはサイゾーで学べるのでしょうか?

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最終更新:2013/02/07 12:38
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