現場に急行せよ! 最新の警察車両を徹底網羅『警察車両パーフェクトブック』
#本 #警察
20年以上前だろうか、『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ系)内で「はたらくくるま」という歌があり、毎日、楽しみにしていたものだ。テンポの良い曲調と、走る”はたらくくるま”の映像に、全国のチビッコたちは心躍されたことだろう。『ミニ四駆』『トランスフォーマー』『パトレイバー』と、振り返れば、80年代は車の時代だったように思う。
はたらくくるまと言えば、やっぱりパトカーは外せないところ。『最新 警察車両パーフェクトブック』は、白黒パトカー、覆面パトカー、その他特殊車両と、2010年最新の警察車両を網羅した通好みのムックだ。警視庁配備の白黒・覆面パトの車種はもちろん、警備犬搬送車、騒音測定用マイクを設置した騒音測定車、待機中の警察官のためのトイレカー(!?)まで、さまざまな用途の車両がある。「アリオン(トヨタ)を見たら覆面と思え」とささやかれるほど、アリオンは多く配備されているという。現場に覆面パトカーがズラーッと並んでいる写真は、普段見ることが出来ない超レアな光景。「ニューヨーク市警の警察車両」「機動車両から読み解く所属の見分け方」「SIT(特殊犯捜査係)とSAT(特殊急襲部隊)の違い」など、コラムも充実していて楽しい。
既存のパトカー本との大きな違いは、後方支援車両に多くのページを割いているという点。テロ対策のイカつい装甲車や、映画『ハート・ロッカー』を思わせる爆発物処理筒車を眺めていると、大事件の現場に居合わせたような緊張感すら走る。一方、前述のトイレカーや、現場の警察官に食料を提供するキッチンカーなどが、生活感をにおわせる。首都防衛の精鋭たる機動隊が、ジェラルミンの盾を片手にメシかっこんでいる姿を想像するとなんとなく滑稽でもある。
極めてマニアックな内容だが、初めて知ることばかりで実に発見が多い。秘された世界だからこそより好奇心を刺激されるのか、熱狂的な警察車両ファンが数多く存在するという話もうなずける。車好きの男子が少なくなったと言われる昨今だが、この本を一読すれば、眠っていたメカ好き魂を揺り起こされるに相違ないのである。
(文=平野遼)
・真田創一郎(さなだ・そういちろう)
東京生まれ。大学卒業後は、出版社・新聞社で記者クラブ所属の記者経験を経て、現在のフリーフォトジャーナリストに至る。近年は警察・消防・自衛隊と国内の有事に対処する官公庁取材を専門に行い、24時間365日昼夜を問わず取材活動を続けている。座右の銘は「一気呵成」。
ピーポーピーポー
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