噂の新型デバイス! あらゆる産業に革命を巻き起こす『iPadショック』
#本 #iPad #電子書籍
日本に鉄道が登場したのは1872年(明治5年)、新橋‐横浜間に開通したのが始まりである。その後、昭和初期まで、およそ50年の歳月をかけて、日本全国に鉄道が敷設されていった。東西南北津々浦々、レールは延々と伸びてゆき、鉄道という画期的な機械は、人々の暮らしだけでなく、意識すらも変えていったのだ。もちろん、鉄道の開通に反対した町や村も少なからずあった。鉄道を開通しなかったそれらの町村は、現在、深刻な過疎化にある。
2010年5月7日、アップル社の開発したタブレット型メディアプレイヤー及びPC「iPad」が日本でも発売され、大きな話題となった。周知のとおり、タブレット型PCとは、タッチパネルディスプレイを搭載した手持ちでの運用に重点をおいたパソコンで、タッチパネルを指でなぞるだけでマウスの操作ができるスグレモノだ。iPadのサイズは縦24.28cm 横18.97cm、13.4mmの薄さで、重量はわずか730gほど。iPhoneの約6倍の大きさである。ネットユーザーの皆様には、長い説明は不要であろう。
そのiPadがあらゆる産業に革命を起こす!? 『iPadショック』は、ITジャーナリスト兼コンサルタントの林信行氏が『iPhoneショック』(日経BP社)に続いて上梓した、iPadの性能や魅力、iPadで変わる社会について記した本だ。製品情報やシステム、アップル社について、携帯電話業界のアレコレまで詳しく説明されており、インターネット業界に明るくない人でもわかりやすい内容だ。iPadを模した黒白の装丁も、シンプルでシビれるデザイン。
世間でもっぱら騒がれている電子書籍。iPadは画面が大きく、画質も美麗で、手軽に持ち運ぶことができる。まさに電子書籍にうってつけのツールなのだ。電子書籍の流行は、印刷、流通、販売、と書籍に関わる産業を大きく変えることを意味する。アップルは多くの専用アプリケーションを備え、書籍だけでなく、音楽も聴ける、映画も観られる、ゲームもできる、とiPadひとつで様々な情報や娯楽を享受することができる。電車内、皆一様にiPadを手に持って移動時間を過ごす、といった未来も遠くないように思えてくる。
鉄道敷設に反対した町や村は発展から取り残されたが、先祖代々の土地をそのまま残すという点においては成功したともいえる。昔ながらののどかな暮らしと文明の発達したにぎやかな暮らし、どちらが正しいとは一概には言えない。ただ、iPadは産業に少なからぬ衝撃を与えることは確かだ。『iPadショック』は、当分続きそうである。
(文=平野遼)
・林信行(はやし・のぶゆき)
ITジャーナリスト兼コンサルタント。1980年頃からアップルの動向に関心を抱き、90年から本格的な取材活動を始める。グーグルなどの検索市場の動向、ブログやSNSの動向などについても記事を執筆。主な著書に、『iPhoneショック』、『Twitterの衝撃』(共著・日経BP社)、『スティーブ・ジョブス 成功を導く言葉』(青春出版社)、『iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?』(アスペクト)などがある。ツイッターアカウントは@nobi。
iPhoneもiPadも持ってないけど、不自由ないです。
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