トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
アンソニー・ウォン直撃インタビュー

熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』

anthony-01.jpgジョニー・トー監督作品と言えば、
やっぱりアンソニー・ウォン!

 男は、出された飯を美味そうに平らげなければならない。男は、拳銃の扱いに慣れていなければならない。男は、信頼できる友の前では少年のように笑って見せなければならない。そして男は、死んでも約束を守らなければならない──。『ザ・ミッション 非情の掟』(00)『エグザイル/絆』(06)で日本でもスマッシュヒットを飛ばした香港映画界の俊英、ジョニー・トー監督が描くのは、いつだってそんな男たちである。

 そんなトー監督の最新作が、現在公開中の『冷たい雨に撃て、悲しみの銃弾を』だ。従来の”トー組”キャストに加え、フランスからジョニー・アリディを主演に迎えた本作もまた、男たちの侠義に彩られた、暑苦しいまでに重厚な復讐譚に仕上がっている。

 『男たちの挽歌』シリーズに端を発した香港ノワールの正統な継承者でありながら、サム・ペキンパーばりのソリッドなガンアクションで魅せるトー作品、その主要キャストであり続ける俳優アンソニー・ウォンに話を聞いた。

──『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』拝見しました。ジョニー・トー監督『ザ・ミッション 非情の掟』『エグザイル/絆』から続く3部作という捉え方でよろしいでしょうか。

アンソニー・ウォン(以下、アンソニー) それは監督に聞いてください。僕は監督の希望通りに動くのが仕事なので、特に過去の作品を意識することはないよ。確かに、役名は続いているけどね。ジョニー・トーの作品にはあまりにも数多く出演させてもらっているし、(この作品の役名である)クワイのようなキャラクターを僕に根付かせてくれたのもトー監督だからね。彼には本当に感謝しているよ。

──今回はフランス人のジョニー・アリディがキャストに加わり、制作もフランス主導で行われたと聞いています。先に上げた2作と比べて、どんな印象を持たれましたか?

tsumetai0622jpg.jpg(c)2009 ARP – MEDIA ASIA ALL RIGHTS RESERVED.

アンソニー 僕にとっては、まったく今までの香港作品と変わりありません。僕は与えられた仕事にベストを尽くすだけ。この作品は、舞台も香港とマカオ、つまり地元だし、撮影もここ。アリディの参加はとても刺激的だったけど、彼が我々に馴染んでくれたと言ったほうがいいかもしれないね(笑)。

──監督の演出法についても聞かせてください。トー監督の撮影ではほとんどNGカットがなく、一発撮りで撮ったシーンはすべて使うという話を聞きました。そんな監督の撮影スタイルを、演者の側からはどう見ていますか?

アンソニー 確かに独特のスタイルだよね。だけど、僕自身は監督のイメージ通りに演技をすることが仕事なわけだから、何も問題はないよ。その代わりというわけじゃないけど、トー監督は細かい演技の仕方については僕らに自由を与えてくれるんだ。だって、その場の思いつきで台本を書き換えたりすることもあるくらいだからね(笑)。役者のイメージもちゃんと聞いてくれる監督だよ。まぁ、僕らの意見が反映されることはあまりないのだけれど(笑)。

──ジョニー・トー作品はバイオレンスの演出に長けた映画ですが、昨今、世界中でバイオレンス作品に対する風当たりが強くなっています。青少年に悪影響を与えるとして、表現が規制される例も。ウォンさんはそうした「映画のなかの暴力」が観客に与える影響、また「映画のなかで暴力を描くこと」の社会的な意味についてどのようにお考えでしょうか。過去の主演作では『八仙飯店之人肉饅頭』(92)という、ものすごいバイオレンス映画もありましたが……。

アンソニー その作品についてはあまり語りたくないんだ。申し訳ない。暴力シーンの影響についてだけど、青少年というくくりの正確なところにもよると思うよ。あくまで映画は映画だし、出来上がった物の与える影響も確かにあるとは思うけれど……僕らは作品が出来上がる過程の駒でしかないし、それが仕事だからね。

──では、ウォンさんの好きな映画を教えてください。

アンソニー うーん、ありすぎて困るね(笑)。ひとつ上げるとすれば『ベン・ハー』(59)かな……。それと、映画ではないけれど、最近香港で上演されたミュージカル『シカゴ』にすごく感動したよ。

──最後に。今作『復仇』(原題)は『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』というタイトルで日本公開されています。とても素敵なタイトルだと思いますが、ウォンさんの印象を聞かせてください。

アンソニー 素晴らしい名前だね。オリジナルの名前よりもいいと思うよ!
(取材・文=編集部)

●『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
監督:ジョニー・トー
脚本:ワイ・カーファイ
出演:ジョニー・アリディ/アンソニー・ウォン/ラム・カートン/ラム・シュー/サイモン・ヤム/シルヴィー・テステュー
提供:ファントム・フィルム/アスミック・エース エンタテインメント
配給:ファントム・フィルム
宣伝:スキップ
(c)2009 ARP – MEDIA ASIA ALL RIGHTS RESERVED
公開中
http://judan-movie.com/

ザ・ミッション 非情の掟

すべてはここから始まった。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】
下町育ちの”北野少年”が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』
担当判事が冤罪を訴える”袴田事件” 映画『BOX』は司法判決を覆せるか?
デビュー作『鉄男』の衝撃から20年! 塚本晋也監督の変わらない製作スタイル

最終更新:2010/06/22 18:00
ページ上部へ戻る

配給映画