ハイカラ、ビークル……続々解散に追い込まれる中堅バンドの経済学
#音楽
このところ、中堅バンドの解散が相次いでいる。HIGH and MIGHTY COLORは先日、8月11日発表のシングル「Re:ache」を持って解散すると表明。初代ボーカルのマーキーがDREAMS COME TRUEの中村正人と結婚してバンドを離れた後、オーディションによって新ボーカルにHALCAを選んでから1年足らずでの電撃解散となる。同バンドの事務所関係者によれば「メンバー間の不和が主な解散理由」とのこと。さらに、ソニーとのメジャー契約が切れ、バンド運営を支える資金繰りが苦しくなったという背景もあるようだ。
1996年から活動してきたSURFACEも、6月13日の東京国際フォーラムAでのライブをもって解散した。今後、ボーカルの椎名はソロ活動へ、ギターの永谷は裏方へ回るという。解散理由は「CDセールスのジリ貧を打開すべく、椎名ソロで仕切り直しを図る」(事務所関係者)。
覆面バンドとして有名なBEAT CRUSADERSは、9月4日に「散開」することを自身のホームページ上で発表。「一言で理由を説明するのはヒジョ~に難しいのですが、ざっくり言うと現状5人で演れることは演り切ったからドS☆」とユーモア溢れるコメントを発しているが、あるレコード会社関係者は「ライブ活動とグッズ販売でそれなりに収益を上げていると見られるが、CDの売り上げが落ちる中、彼らのような人気ライブバンドでさえも、メンバー全員が十分な給与を得るのは難しい」と、金銭的な背景を示唆した。
一連の解散劇に共通するのは、一定数のファンを抱える中堅バンドでありながらも、全盛期の人気を失っていること。昨今の音楽業界では、CDの売り上げ低下によってレコード会社から事務所に支払われる契約料が年々減少しており、「作詞作曲を行っていないメンバーの場合、メジャーデビューしていても、年収が200万以下という場合も多い」(前出のレコード会社関係者)との証言もある。
今後、有名バンドであっても、将来の生活不安から解散に踏み切るケースは増えそうだ。
(文=石山博美)
覆面にも限界があったんだね。
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