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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ヴァーチャル監督視線体験ムービー『テレビばかり見てると馬鹿になる』
アイドル映画専門映画監督・梶野竜太郎の【アイドル映画評】第17幕

ヴァーチャル監督視線体験ムービー『テレビばかり見てると馬鹿になる』

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アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。

●今回のお題
ヴァーチャル監督視線体験ムービー
『テレビばかり見てると馬鹿になる』
監督:亀井亨 女性主演:穂花

 まずはこの映画、あまりにも新しいことにチャレンジしているので、解説&物語を知らずにタイトルだけで想像しちゃうと、”PTAのおばちゃんたちがデジカメムービーで撮った自演自作のヘッポコ映像”かと誤解を招くので(招かねーよ)、まずは解説&物語から。

baka_jk.jpg『テレビばかり見てると馬鹿になる』
ゴミだらけの狭いワンルームで、テレ
ビばかり見て過ごしている友紀。そん
な彼女の部屋にやってくる伊藤と山崎。
友紀とインターネット上で知り合った
伊藤は、彼女の部屋にカメラを仕掛け、
ネット上に配信している。そんなある
日、友紀の母親から社会的に復帰させ
ようと送られて来た支援センターの馬戸
が現れ、外に連れ出すためにある提
案をする……。R-15作品。
(Amazonより引用)DVD発売中/
3,559円(税込)/ 販売元:AMGエン
タテインメント

 高校を卒業後、一度は就職したものの、すぐに辞めてしまった引きこもりの女性。

 彼女の生活は、寝る→テレビ見る→食う→風呂→寝る→テレビ見る……の繰り返し。

 今は物凄いゴミだらけの狭いワンルームで暮らしている。そんな彼女の部屋に、インターネットで知り合った伊藤恵二が訪ねてくる。実は彼、彼女の部屋にカメラを設置し、その映像をネットで配信しているのだ。

 彼女の部屋に来るのは、その男と、身体だけが目当てのチンピラのみ。次の日、彼女を社会復帰させようと母の依頼で支援センターのカウンセラーのおじさんがやって来た……。

 というように、要は24時間ライブチャットを舞台にしたお話。しかもこの映画、総カット数3カット!! 分かります? 3つのシーンしかないんです。

 その分、1つのシーンが長い! 彼女を穴があくほど、見まくる! 見まくれる! この映画だからこそのものすごい挑戦と演出です!

 私生活を覗き見するような映画、ジャンルで言えば”ピーピング・ムービー”は、結構あります。普通、その覗きカメラの中身を見たいし、見せたいし、それが売りの映画にしますよね? それがこの映画の場合、「覗き側からの視点がまったくない!」というのが何より変わっています。みんな女の子が部屋で何をしているのかを知りたかったり、勝手に想像しちゃったり~なんていう欲求を満たすためのピーピング・ムービーのはずなのに、その貴重な映像がまったくない。それはまるで映画『大怪獣、東京に現る』で、結局、大怪獣がまったく出てこなかったよ~んっていうのと、ほぼ同じ。

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 その貴重な映像をまったく見せないというその根拠はっ!? ズバり、この映画、それ以上の魅力、つまり、”貴重な映像”より貴重な”超貴重な映像”が存在するからなのです! その”超貴重な映像”とは!!??

 ロマンポルノ、Vシネのエッチィ~なシーンを思い出して下さい。

 これらの映像、一番楽しい場所はどこか。いわゆる「モザイクもなく、チラリズムもない、そこの葉っぱでちょうど隠れやがった!」みたいなことがない場所、そんな邪魔が一切ない楽園のポジション。桃源郷のアリーナ席。そこはどこか……それは撮影現場です! 監督の位置です!

 つまりこの映画、監督の”位置”で観れる映画なのです! その”位置”を、監督は撮影部が撮ってるモニターを見て判断します。「これは、主人公視点だ」とか「これは第三者視点だ」とか。たま~に面白い画角なのにどこからの視線でもない場合、「うーむ、神の視点だ」なんていう言い訳があったり(笑)。その視点とは要はお客さんが観る画であるわけで、この映画の場合はその視点ではなく、ディレクターズチェアーに座っている監督からの視点なのです。ある意味、超レア!

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 画的に面白いのにどこから見ているか隠しカメラからの画像ではなく、もう1つの視点から描いている。隠しカメラを隠すところも見られるし、濡れ場のシーンも、「隠しカメラからじゃあ、コタツがジャマでつまらんじゃろ~うしゃしゃしゃ」って感じで、真のVIPポジションで堪能することができるのです!

 主役は元・人気AV女優の穂花ちゃんだから、そりゃもう、モロおっぱい堪能をS席からどうぞ~って感じだ。しかも、もっと”監督気分”を堪能できるポイントは、この撮影さん、監督が現場で女優を覗きこむような動きをする。

「……よ~~~っしよしよし! もうちょい右ぃ~~~そこだ!! よしっ!」と、気分は名監督さん~~♪

 動きがね、リアルなんですよ♪ ここが特にお勧めです。

「あ~~~女優の裸を監督目線で舐められるなんて……ヴァーチャル監督でもうれしい♪」

 この作品みたいに、監督画角シリーズとか出たら売れるかも!!……あ、AVはダメですよ、AVは視聴者が一番のVIP席ですから。
(文=梶野竜太郎)

テレビばかり見てると馬鹿になる

馬鹿になっても構わない。

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●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。
短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。第2回したまちコメディ映画祭 in 台東にて、新作『魚介類 山岡マイコ』を上映。2010年に長編版として劇場上映が予定されている。現在、ニコニコ動画チャンネル『魚介類TV』(毎週日曜日20時~)に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/

●アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】INDEX
【第16回】メイキングDVD希望! アイドル映画の死角”鎖骨”全開の『笑う大天使(ミカエル)』
【第15回】女子高生の体育の時間を、遠くから眺めていたあの頃……『平凡ポンチ』
【第14回】「君はどうしてダメ男ばかり好きになる!?」堕ちてゆく女の美学『ララピポ』
【第13回】あの堀越のりだからできた変身願望映画の傑作!!『特命女子アナ 並野容子』
【第12回】セルフアフレコの美学『カンフーシェフ』加護亜依フォーエヴァー!
【第11回】鈴木美生ちゃんの真の萌声(もえごえ)が男の脳髄直撃!『机のなかみ』
【第10回】バカエロ映画の極×2『まぼろしパンティ VS へんちんポコイダー』
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【第2回】『妄想少女オタク系』──初心者歓迎!? BLの世界へご案内
【第1回】『すんドめ』──オナニー禁止とチラリズムの限界点

最終更新:2010/06/16 11:38
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