“シェー”は世界共通!? 赤塚不二夫も公認『世界のシェー!!』
#本
”シェー!”。それは、説明するまでもなく、故・赤塚不二夫先生が描いた『おそ松くん』に登場する、おフランス帰りのキャラクター「イヤミ」お得意のポーズだ。このポーズを世界中の人々にしてもらうと、どうなるか。
この本『世界のシェー!!』は、1992年1月、写真家の平沼正弘氏が東アフリカ・北マラウィーの小さな村を旅する途中、唐突にひらめいて、撮影がスタート。以来、旅行へ行く度にシェーのポーズを撮り続け、撮影した国の合計は、ゆうに100カ国を越える。訪れた先も、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどの有名どころを始め、イラク、パレスチナ、パプアニューギニア、サントメ・ブリンシベ、エルサルバドルなど、ちょっとディープな国まで、多岐に渡る。
本をパラパラとめくっているだけで、世界中を旅して、いろんな人に会ったような気分になり、高揚感を感じる。さらに、1点、1点、写真をじっくり見ていくと、お国柄や人柄によって、「シェー」というひとつのポーズに、これだけ個性が出るものかと、驚かされる。
例えば、メキシコで大きな麦わら帽子を被った男性は、手の曲げ具合にどこか情熱的なフラメンコのような踊りを感じさせるし、ナイロビのホテルマンは、優雅にポーズを決めながらも絶妙な角度に顔を傾け、目を閉じて口を大きく開け、歌声が聞こえてくるような気さえする。アジア圏の人は、全体的に動作が小さく、こじんまりとしたポーズが特徴で、ミャンマーに住む首長族の人々のポーズは、足を地面につけたまま交差させ、手の平は頭にそっと添えるだけ、という控え目な民族の性格が見事に表されている。
これらの写真を持ち、平沼氏は97年に故・赤塚不二夫先生の元へ訪れている。そして、それを見せると、赤塚先生は「シェーはいいねえ」と、ひとこと。
本書の写真を見ていると、だれもが楽しそうにポーズを決めていて、赤塚先生の感想通り、「シェーはいいねえ」。この一言に尽きる気がする。
ルワンダ人も、ザイール人も、マダガスカル人も、トルコ人も、スペイン人も、クロアチア人も、インド人も、中国人も、ベトナム人も、マサイ族も、赤塚先生も、シェーをするときは、みんな笑顔。
「シェー!」は、人を笑顔にする。モジモジしながら、控えめに笑いながらポーズする人、豪快に手と足を使い、ピカーッ晴れ渡るような笑顔でポーズを決める人、美しい笑顔で優雅なポーズをとる人など、世界にはいろんな人がいる。
ああ! この笑顔の元へ旅に出かけたい。なんだかどこかへ行きたくて、ムズムズしてきた。
(文=上浦未来)
●平沼正弘(ひらぬま・まさひろ)
北海道、冬は沖縄に滞在しつつ、世界を放浪。現在は「四国八十八ヵ所」巡礼のなかで、「シェー!」を撮りためている。ホームページは、<http://shayman.tamaliver.jp/>
特大・世界シェー地図、付いてます。
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