「1試合もせず日本代表!?」迷走する新格闘技「パンクラチオン」と五輪利権の闇
#格闘技 #五輪
「1回も試合もしてないのに世界選手権の日本代表になっちゃったよ」
出場選手もビックリだ。FILA(国際レスリング連盟)の新格闘技パンクラチオンの第1回全日本選手権が、4月29日に都内会場で行われたのだが、7階級の出場者はたったの12名。うち4階級では参加者ひとりのため、不戦勝で初代チャンピオンとなってしまった。
優勝者は11月にブルガリアで開催される世界選手権に出場が決まっているが、人数が最も多かった階級でもわずか3名の参加。大半はパンクラチオン自体をやったことがない他競技の選手たちで、競技を一度もしたことがないまま世界大会に出ることになる。105キロ級で日本代表となった斉藤俊一も、モンゴルマンのリングネームを持つ元プロレスラーで、ルールで義務付けられているユニフォームすら所持していないという有様だ。
実際、この日は出場選手がみな空手着など別競技の格好で試合しており、公式ルールすら守られていなかった。貴賓席には、日本レスリング協会の福田富昭会長、日本ワールドゲームズ協会の玉利斉副会長、太田昭宏・元公明党代表の姿もあったが、何ともお粗末な全日本大会となった。
パンクラチオンは日本では一昨年に発足したばかりの競技で、昨年、日本レスリング協会の下部組織として発足した日本格闘競技連盟の傘下にある。同連盟が昨年開催した設立パーティーには朝青龍や吉田秀彦といった大物ゲストが出席し、総合格闘技など多くの格闘技種目の五輪競技化を目指すと表明していた。
「パンクラチオンはギリシャで生まれた競技で、アテネ五輪の開催が決まったとき慌てて発足させて五輪競技にしようとしましたが、競技人口が増えず失敗した”落ちこぼれ格闘技”。打撃と組み技を融合した総合格闘技に似たルールですが、アマ競技とあって規制が多く、見る側にとっても面白い攻防とは言えないので全く普及できていません。参加するのは柔術やレスリングなど他競技の無名選手ばかりで、世界中から集めてもパンクラチオンを専門にやっているのは1,000人もいないはず」(格闘技ライター)
それでも強引に形ばかりの日本代表を決めたのには理由があるという。
「日本国内で2,000人程度しかやっていないカーリングでも、五輪種目になれば国からスポーツ選手強化費など補助金などが出ましたから、それを狙う一種の五輪利権では」(同)
ただ、昨年の行政刷新会議の事業仕分けではソリ競技などが「普及していない競技に補助は必要か」と指摘され、約32億円の補助金を減額させる判定が出ており、そんな中で競技者ゼロに近いパンクラチオンに税金が使われるとあれば国民からの反発を招くだろう。
不戦勝で優勝したある選手は「知人に参加者がいなくて困っていると誘われ、1試合もしたことないのにブルガリアの世界大会に出られるのはラッキーですが、渡航費は自腹だと言われたので行くのをやめるかも」と語っている。
もはや競技の形すら成していない前代未聞のドマイナー格闘技に未来はあるか。
いろいろあるんですな。
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