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東京地検特捜部、最強権力集団の正体【1】

日本版FBI──東京地検特捜部は本当に”正義の味方”なのか?

──2006年でいえばライブドア事件や村上ファンド事件、ここ最近でも、緑資源機構の談合事件、朝鮮総連本部をめぐる事件など、テレビのトップニュースや新聞の1面になる重大事件を手がけ続ける東京地検特捜部。マスコミには「最強の捜査機関」などと称され、彼ら自身「巨悪に次々にメスを入れる不偏不党の正義の機関」を自認しているという。ところが一方では、時の政権の意向を受けた「国策捜査」と揶揄されたり、およそ「最強」とは言い難い強引かつずさんな捜査な内容についても指摘されている。本当に東京地検特捜部は「正義」と言えるのか? 彼らは、一体いかなる組織なのだろうか?(本記事は「月刊サイゾー」2007年8月号に掲載されたものを、再構成したものです)

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 東京地検特捜部(以下、特捜部)の特異性を理解する前に、まずは特捜部が所属する検察の役割をおさらいしておこう。一般的に検察の仕事とは、警察から送られてきた刑事事件を裁判にかけること。

 刑事事件が発生した際、まず警察が捜査し、被疑者を検挙して取り調べを行う。その後警察は、被疑者、証拠や調書等の資料を検察に送る(これを送検という)。

 事件を受け取った検察は再度取り調べを行い、証拠やその他の資料を吟味した上で、起訴して裁判にかけるか、お咎めなしの不起訴処分や起訴猶予処分を下すかするのだ。

 この起訴する権限は、検察官にしかない。つまり、検察官が首を縦に振らない限り、法廷の場に持ち込むことすらできないのだ。

 以上が検察の一般的な役割だが、東京、大阪、名古屋の各地方検察庁にある特別捜査部、いわゆる特捜部の役割は、これとは異なる。政治犯や巨額経済犯罪などについて、警察を介することなく独自に捜査、摘発するのが役割だ。特に東京地検特捜部は、中央政界や財界へメスを入れ続けてきた。

 扱う案件の話題性や国民の関心度は抜群で、当然メディアの扱いも大きい。組織図上では単なる地方検察庁(上に高等検察庁、最高検察庁がある)の一部門にすぎない特捜部が「検察の顔」などといわれるのはこのためだ。

 次に組織の位置付けだ。検察庁は法務大臣の管轄だが、政治的圧力を受けないよう、ある程度独立が保障されてはいる。

 しかし、法務大臣は検察庁のトップである検事総長に対する指揮権を有している。1954年の造船疑獄事件(造船・海運業界による政界への贈収賄事件で、吉田茂内閣が失脚する契機となった)では、この指揮権発動により、当時自由党幹事長だった佐藤栄作ほか、大物政治家を追い詰めつつあった特捜部の捜査が頓挫した。指揮権の発動はこの時一回きりだが、依然、検察が法務省の強い影響下にあることは間違いない。

最終更新:2010/05/13 10:00
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