37人の田中宏和! 今、田中宏和だらけの「田中宏和運動」が熱すぎる!?
#対談
「田中宏和運動」をご存じだろうか? ありふれた名字”田中”と、少なくはないだろうが決して多くもなさそうな”宏和”という名前。そんな”田中宏和”さんたちが、自分と同姓同名の”田中宏和”さんを集めよう! というのが「田中宏和運動」の正体だ。これまでに、書籍『田中宏和さん』(リーダーズノート)を出版したり、「田中宏和のうた」を着うたやiTunesなどの音楽配信サイトで販売したり、4月3日には東京カルチャーカルチャー(東京都港区)でイベント『田中宏和運動全国大会』を開催するなど、活動は精力的。一体彼らは何をもくろんでいるのか!? 4月某日、5人の田中宏和さんに集まってもらい、「田中宏和座談会」を開催した。
「はじめまして。ほぼ幹事の田中宏和です」
「どうも。作曲の田中宏和です」
「こんばんは! 理事長の田中宏和です」
「あ、エンジニアの田中宏和です」
「渋谷の田中宏和です」
当然ながら、田中宏和だらけの奇妙な自己紹介。それぞれ、職業や特徴などから”ほぼ幹事の”や”作曲の”といったあだ名を持っているそうだ。今から遡ること16年前、ひとりの田中宏和さん(=ほぼ幹事の田中宏和さん)の個人的活動からそれは始まった。
ほぼ幹事の田中宏和さん(以下、幹事) 1994年秋のドラフト会議で、近鉄バッファローズの第一位指名が”田中宏和”投手だったんですよ。それまで自分の名前は月並みだと思ってたのが、名前が同じというだけで、「小さい頃からの夢が叶った!」と(笑)。それで、95年の元旦に、いかにも自分がドラフト一位指名されたかのような年賀状を作ったんです。さらに94年の年末には、「文学界」(文藝春秋)の誌面で”田中宏和”さんが書いた本の広告を発見してもいたので、96年にはそのネタで年賀状を作りました(笑)。こんなに短期間で続くってことは、これは意外と同姓同名の人は多いのかも、と考えたわけです。
──その後も続々と”田中宏和”さんを見つける出来事が続いた、と(笑)。
幹事 ええ、毎年ひとりは必ず見つかりました。そして、地道に毎年”田中宏和”年賀状の作成を続け、03年に「ほぼ日刊イトイ新聞」の企画でこれまでの年賀状を紹介したら、田中宏和さんご本人、もしくは知人や家族が田中宏和だというメールが10通くらい来て。それがきっかけで初めて、見知らぬ”田中宏和”さんと対面を果たしました。
渋谷の田中宏和さん(以下、渋谷) それが僕です。たまたま『ほぼ日』を見ていたら、自分と同じ名前の人が出ていて、あろうことか同姓同名の人を募集してる! これはメール送らなきゃ、と(笑)。
幹事 ”渋谷の田中宏和さん”は、自宅も会社も渋谷にあった上に、僕と初めて会った場所も渋谷で、もう渋谷だらけだったので、じゃああだ名も”渋谷の”でいいよね、となった。その後に、朝日新聞の取材企画を通して会うことになったのが”作曲の田中宏和さん”です。
作曲の田中宏和さん(以下、作曲) 『ポケットモンスター』の歌や、ゲームの『MOTHER』の曲を作っていたことから、あだ名が”作曲の”になりました。
エンジニアの田中宏和さん(以下、エンジニア) 僕は、朝日新聞の記事を見て、ほぼ幹事さんのTwitterのアカウントを探してコンタクトを取りました。以前から、田中宏和を探す運動がある、というのはネットで見て知っていたのですが、なんかちょっと……怪しいなと思ってて(笑)。
一同 (笑)。
エンジニア だから、参加をためらってたんですが、朝日新聞を見て、面白そうだと思って連絡を取ってみました。
幹事 初めてTwitterで出会ったメンバーですね。Twitterでフォローされると『○○○さんがあなたをフォローしました』と通知メッセージが来ますが、『田中宏和さんがあなたをフォローしました』と通知が来たので、インパクトありましたね(笑)。
作曲 でも、エンジニアさんは、Javaの本も出されてて、エンジニア界で有名だったので、元から知ってました。知人に、「いつの間にJavaの本出したの?」と勘違いされたこともありましたし(笑)。
理事長の田中宏和さん(以下、理事長) 僕は、『新知識階級クマグス』(TBS系)を観てた友達から電話がかかってきて、『今すぐTBS見ろ』って言われて。やっぱり僕もエンジニアさんと同じで、最初見たときはちょっと何がしたいのか分からなかったっていうか……(笑)。
一同 (笑)。
理事長 でも、ポケモンの曲を作った”田中宏和”さんの存在は知ってましたし、小学生だった当時、「この曲作ったの俺だぜ~」と自慢してたりもしたので(笑)。それで、連絡を取ることにしました。
幹事 理事長さんは大学生で、サークルで”理事長”をやっているからこういうあだ名に。ご飯をご馳走したときなんかに、『今日、理事長にご馳走した』と思うと気分がいいです(笑)。ここ最近、いろいろなメディアで取り上げられ、4月3日にはイベントも開催して、爆発的に増えました。今メンバーは37人いて、上は65歳、下は17歳の高校生、北は茨城、南は岡山まで揃っています。
──今後は「田中宏和運動」としてどんなことをしたいと考えてるのですか?
幹事 「田中宏和のうた」を着うたやPCのダウンロードサイトで配信してますが、今、ほかに3曲作っているので、ミニアルバムを発売できればとも考えています。
作曲 全然儲かんないけどね(笑)。間違ってビジネスになるくらい当たれば相当嬉しいけど。
幹事 趣味だから(笑)。楽しけりゃいいです。
理事長 僕は田中宏和っていうラベルの日本酒を作りたいです。これならできそうじゃないですか!?
渋谷 ”酒蔵の田中宏和さん”とかいればね。
作曲 ”ダッシュ村”みたいに、みんなで米作ってやるのもいいね。
幹事 あと、今”酪農業の田中宏和さん”からメールをいただいていて。牧場で”田中宏和チーズ”とかの乳製品を作りたいんですよ。”作曲の牛”とか、”エンジニアの牛”とか牛に名前をつけて、自分のアバターみたくするのもいいですね(笑)。
エンジニア 僕は田中宏和の皆さんと野球をやりたいですね。
作曲 相手チームもみんな田中宏和でね。
エンジニア 『田中宏和に変わりまして、田中宏和』っていうアナウンスを入れたいです(笑)。
渋谷 僕はmixiアプリなんかで、同姓同名を集めるゲームを作りたいですね。
作曲 俺はみんなで写真集作りたい。制服、野球のユニフォーム、看護師、警察官とかのコスプレをして。もちろん水着もね(笑)。
幹事 ちょうど先日、カメラマンの田中宏和さんもメンバーに加わりましたしね。
作曲 あとは……そうだ。健康診断で採血して、どれがどの田中宏和の血か混乱させたいな(笑)。
渋谷 選挙に全員で出て、選挙ポスターを田中宏和で埋め尽くすのもいいですねぇ。
幹事 いいですね。この運動は、田中宏和という名前の価値をあげる活動ですから(笑)。
4月3日のイベント『田中宏和運動全国大会』に33人(欠席者が4人いたため、メンバーは現在37人)の”田中宏和”が集まったことから、「同姓同名の人が最も多く集まったパーティー」として、現在ギネスにも申請中だそう。また、「僕たちの活動に魅力を感じてもらって、生まれてくる子どもに”宏和”という名前をつけてもらいたい」と、次世代の田中宏和を増やしていくのも野望のひとつだとのこと。全国の田中夫妻さん、お子さんの名前を”宏和”にした際にはぜひご一報を!
(取材・文=朝井麻由美)
「田中宏和.com」
<http://www.tanakahirokazu.com/>
ほぼ幹事の田中宏和さんのTwitterアカウント
<http://Twitter.com/tanakahirokaz>
山田太郎さんより、多そうです。
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