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【第11回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」(前編)

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モテない、金ない、華もない……負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第11回のゲストは、3月25日にDVD『社交辞令でハイタッチ』の「表ワースト編」「裏ベスト編」を2枚同時発売した孤高のピン芸人・鳥居みゆきさんです!

[今回のお悩み]
幸せになっちゃいけない気がして……

──ご無沙汰してます、お元気でしたか? 前に何度か他誌のインタビューでご一緒させていただいて……

 ……近いっすね、距離を置こう(椅子を離す)。

──あ、ひどい。

 あたし、ダメなんですよ。親しくなっても一定の距離は、ないとダメなんです。……『映画秘宝』の人だよね? どうしてここにいるの? クビになったの?

──あ、フリーなので、いろいろやってるんです。

 うん、だってなんか今日これ(「サイゾー」)もらって、「売れないアイドルのインタビュー」みたいに書いてあったの。で、もしかしてそうかなー? と思ったらさー、いるんだもん。

──えへへ。

 あんた、まだ売れてなかったか……。

──初めてお会いしたときから2年経ちましたけど、まだ一向に売れてないです。

 いいんですよ、それくらいで。2年かー、あたしはポップになったなぁ。

──ポップ……? 2年前は私が「パニック発作の抗不安剤がだんだん効かなくなってきて、奇行に出てしまう」みたいな話をして、「効かなくなれば量を増やせばいい、ダメならもっと薬を増やせ」っていう結論だったんです。

 そうですね、はい。

──最近も発作はないにしろ、夜中にモヤモヤすると突発的に走りだしたりする癖が抜けなくて。

 環八? 環七?

──いや、どっちも遠いんで、近所を。

 あたし環七! いいよ、環八は余ってるから、ゆずるよ。

──じゃあ環八はいただくとして、夜中に走ってたりするんですけど……。

 服は黒がいいよ、黒の服。

──ああ、保護色って感じですね。それで走って公園とかに行き着いて、ひとしきりブランコこいだらジャングルジムに登るじゃないですか。

 えー、こわくない? 一番上でしょ! あたし上から2番目のとこがいい。

──「一番上にのぼると、登りつめた感じがするので登らない。今はまだそのタイミングではない。てっぺんはもっと期が熟したときに」っていう。

 おおー、いいこと言ったね!

──それは前に鳥居さんが言ってたんですよ!

 そうなんですか? あたしはいいこと言った!

──それから2年経ちましたけど、どうですかね? まだてっぺんには……。

 シーソーにすれば?

──がっこんがっこんするじゃないですか。登っては落ちるから、楽しくなさそうだし。

 そう、登っても楽しくなさそうなものに、登ってみるのもいいことですよ。あのね、あたし一番やりたくないことは「やりたくない」って言ってたんだけど、一番やりたくないことだったら、むしろやりたいことだって思って、やる。

──えっと、たとえば……。

 たとえば、こういう取材とか。

──ぐは。

 だから、そういうこと。一回シーソーに乗ってみて!

──なるほど、確かに自分の中に何か強い思いみたいなのがあるから、「やりたくない」って思うんですもんね。

 そう、紙一重ってこと。

──じゃあ、すみませんがもう少しお付き合いいただくとして……新しいDVD『社交辞令でハイタッチ』では「人の話を聞いてたら、みじめになる。前は人の顔色をうかがって生きていた」っておっしゃってたんですけど、そういう時代もあったんですか?

 あります。人の顔色をうかがって生きてきたから、あたし、イラッとするとすぐ手が出ちゃってた。

──うかがい過ぎて嫌なところばかり目についちゃうんでしょうか。日常生活が大変そうですね。

 それで、バイトもすぐ首になってたんですけど、いっこ距離を置くようにして、ベルリンの壁を作って、一回、客観的に見られるようになったんです。「わたしが神だ」って思うようにして、その世界にそいつらを配置して、「こいつは杉並区に行かせよう」とか、そういうふうにイメージしてるんです。それでイラッとしてキレても「ここでキレさせる台本をわたしが自分でつくりました」って思ってるから、ぜんぜん、なんとも。

──気にならなくなりました?

 気にならなくなった。何かあったら洪水起こせばいいと思ってるから。

──なるほど! もうキレなくなったってDVDでもおっしゃってましたけど……。

 はい。

──今もわりとキレますよね。

 いや!! キレたことないだろ!!!(自分の足を殴りながら)……あたし地球が、地球の終わりが見えたんですよ、昨日。

──えー!

 だから一回終わってるはずなんですよ、わたしたちは魂だけでいま、動いてます。でも気づいてないの、一瞬で終わったから。

──地球が終わっても気づかずに中身だけが生きてるっていうか……。

 うん、生きてる、同じ感覚。だから、みてみて? おなかすいてないでしょ?

──いや、さっきたらふく食べたんで……。

 わたしもさっきサンドイッチ食べたの。

──ですよね。

 だからおなかすいてない。

──じゃあ、ありがちですけど、明日もし地球が終わるとした場合……。

 昨日ですけど! 昨日終わったの!

──じゃ昨日終わりましたけど、明日また終わるとしたら今日はどうしますか?

 明日終わるなら、いつもは環七を全力疾走してたんで、環八にしてみよっかな。

──あ、私の環八!

 環八いつも、排気ガスが多いっていうか、煙っぽいから嫌だなぁ。

──さっき、そんな道を私にくれたんですね。

 うん。

──(気を取り直して)今まで出されるDVDは作りこんだものが多かったと思うんですけど、今回みたいに、メインMCを務めた番組のDVDは初ですねー。ずっと誰かと一緒にやるっていうのはどうでしたか? フリートークとか。

 これはね、ガチガチにもう、ぜんぶ台本。それでまぁ、憶えるのがちょっとたいへんだったなっていう感じでしたね。

──あはは! そうなんですか、なんか、そんなふうには見えなかったです!

 あ、自然に見えましたか? やっぱり、わたしも劇団上がりなんで。

──あはは! Gyaoジョッキー、終わってみてどうですか? 何か得たものとか……。

 そうですね、あれ以降、毎月木曜日に、あのスタジオがある六本木のミッドタウンに行ってるんですけど、やってなくて。いつになったら再開するんですかね。

──うーん、もうYahoo!に買収されちゃったんで……。実は私もGyaoジョッキーで月に一回ペースで番組やってたんですけど、はじめは木曜日で、急に「小明ちゃん、月曜日に移動できる?」って聞かれて。別に暇なんで快諾したんです。

 あ、回されたんですね。

──ええ、そしたらハッピーマンデー制度で、毎月あった番組がしょっちゅう休みになって、季節ごとに一回放送があるかないかになっちゃて……それで、私がやってた木曜日に鳥居さんの放送が始まったんですよ。

 ぎゃはは! ハッピーマンデーですねー!

──ぜんぜんハッピーじゃない! すごい生活に困りましたよ! でも鳥居さんのGyaoジョッキーは危ういテンションで面白かったです。

 あたし、ダメなんですよ。ちょうど人といたくない時間なんです、これ録ったの。

──あー、夜中の、一番ひとりで浸れる、テンションの微妙な時間。

 うん。だからそういう人がネットで見てるから、ネットの人もそれだけ拠り所にしてくるっていうか、気が入っちゃってるから、それがめんどくさい。
中編につづく/取材・構成=小明)

●鳥居みゆき(とりい・みゆき)
1981年、秋田県生まれ。07年前後に、白いパジャマでテディベアを抱えた「マサコ」キャラでブレイク。以降、テレビ、映画、ラジオなど幅広い活動を続けている。3月25日にDVD『鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ「表ワースト」編』『鳥居みゆきの社交辞令でハイタッチ「裏ベスト」編』(Contents League)発売。

●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/

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最終更新:2018/12/19 15:05
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