すべてが自然体！　一緒にプライベートを過ごしたい「フォンチーの《しぐさ》」

撮影／尾藤能暢

アイドルたちは、ほかのアイドルをどう観ているんだろう……？　そんな疑問にお答えする連載コーナー「アイドル的アイドル思考法」。自他共に認める業界一の「アイドル通アイドル」木嶋のりこが、アイドルの魅力のすべてを語り尽くします！

　「アイドルのイメージDVDは、早送りで観る」

　これに共感する人は、そう少なくないと思います。私も今まで、早送りで観ながら、気に入ったシーンを普通に再生してイメージDVDを楽しんでいました。

　最初に彼女を観たのは、アイドリング!!!　3rd single「告白」（ポニーキャニオン）のジャケット。この時までは、正直特に気には留めていませんでした。

　しかし次に観た、彼女の1stDVD『Cam On～だいじな時間～』で、私は画面にくぎ付けになってしまったのです。

　あどけない笑顔を見せていたかと思えば、17歳（DVD発売当時）とは思えない大人な眼差しを向ける。そこからの視線の外し方、歩き方、体の揺らし方、ジュースの飲み方、話し方、全てが自然体で愛らしい……。

　よく、アイドルのファーストイメージDVDでありがちなのが、第三者の存在が観えてしまうこと。ほんの一瞬でも、他のスタッフを見たり、意識したりすれば、観る側にとっては、せっかくのアイドルとの二人の時間がそうではなくなってしまいます。

　そこが逆に、初々しかったり、頑張っている姿に観えたりする場合もありますが、現実に引き戻されてしまう瞬間でもあります。

『フォンチー Cam On~だいじな時間~ 』
ビデオメーカー

　しかし彼女は、終始その自然体なスタイルでいてくれるので、その時間は二人だけのもののように感じられ、気づけばこっちまで笑顔になっているくらい、引き込まれてしまうのです。

　私は、その素直で愛らしい《しぐさ》が、彼女の最大の魅力だと思っています。

　もしも彼女と一日一緒にいられるとしたら、是非、一日中家でDVD鑑賞をしたいです。彼女が好きだというホラー映画を一緒に観たら、映画の内容よりも彼女のリアクションに目を奪われてしまうでしょう。自らの性格を、「喜怒哀楽が激しい」と言っていますが、笑ったり泣いたりを、表情だけでなく、手や足も使って表現する姿が簡単に想像できます。あくまで想像ですが、でもそうやって想像させてしまう彼女のしぐさは、素晴らしいと思います。

　人は誰しも、想像をします。その想像の幅は人それぞれですが……、例えば夜寝る前など、好きなアイドルのことを想像する人は大勢いるでしょう。そんな時、そのアイドルが普段見せている姿が、自然体であればあるほど、想像の中のアイドルも、リアルに感じられるのではないでしょうか。

　そんな点でも、彼女のしぐさは、プライベートな部分をリアルに想像させる力があると思うのです。

　2008年11月に公開された、映画『ピョコタン・プロファイル』の舞台挨拶では、主題歌を歌ってくれたアイドリング!!!が出演し、そこには彼女の姿もありました。

撮影／尾藤能暢

　舞台袖で彼女は、ピョコタンというキャラクターに話しかけていました。しかしそれは、中に入っている人間とではなく、そこにいる一つのキャラクターに話しかけていたのです。もちろん、舞台袖に来るまでに、その着ぐるみの中に入っている人とは挨拶を済ませています。しかし、舞台袖という、観客には全く見えない場所で、中の人とではなく、着ぐるみに向かって、まるで小さな子どものように、無邪気に話しかけていたのです。

　その姿はあまりにも真っすぐで、他のアイドリング!!!メンバーの口からも、思わず「可愛い～……」とこぼれるほどでした。

　そう、彼女はカメラの前でも裏でも関係なく、ありのままの姿でいられるのです。作ろうとはしない、純粋な姿がそのまま彼女の作品にも出ている……。そんな姿でいられる彼女だからこそ、そのしぐさも純粋で自然体なものなのでしょう。

　そんなしぐさの一つ一つを、ずっと観ていたくなったからなのか、初めて最後まで普通に再生して見たDVDは、早送りで見るよりもあっという間の時間でした。
（文＝木嶋のりこ）

フォンチー Cam On~だいじな時間~

しぐさに集中！

●きじま・のりこ

1988年、長野県生まれ。05年「制コレ」７テイルズ獲得。女優として『片腕マシンガール』（07）、『ピョコタン・プロファイル』（08＝主演）。舞台『月葬（げっそう）』（09）。
ブログ「木嶋のりこのハッピーオムライス」
http://ameblo.jp/noriko-kijima/
公式HP「木嶋食堂」
http://mentaiman.com/attraction/kijima/index.html

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