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「違法DLもプロモーション利用!」知的財産権無法国家・中国のしたたかな実情

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 知的財産の概念の稀薄さゆえに横行する、コピー商品や不正ダウンロードに国際社会からの批判も高まっている中国。しかし国内では、そんな無法状態でもたくましく生き抜くビジネスモデルが次々と登場している。

 マイクロソフト社の「office」の互換ソフトで知られるキングソフト社は、同社のセキュリティソフトを無償で提供。但し、同製品をインストールしたパソコンには、バナー広告がポップアップ表示されることとなる。

 まともにソフトを発売したところで不正コピー商品が氾濫したり、ファイル共有サイトで不正ダウンロードされるのがオチ。それならば、ソフトは無償で提供し、広告料でしっかり収益をあげようという新たなビジネスモデルだ。

 一方、音楽業界では、不正ダウンロードを逆手に取るような戦略も行われている。中国のレコード会社、モダンスカイ社は、不正ダウンロードに悩まされて来たCDやDVDの販売による収益を度外視。逆に不正ダウンロードを、ライブに誘導するための無料のプロモーションとして位置づけ、積極的にネット上に音源や映像を流出させているという。同社を支えるのは、売上げの6割を占めるライブ収入だ。

 こんな過激な例もある。2月、中国で活動するモデル、獣獣(本名:ジャイ・リン)のわいせつ動画が流出。当局はネット上の動画の取締りにすぐさま乗り出したが、ファイル共有サイトなどを介して密かに広がり、中国全土、さらに世界中の人の目に触れるところとなった。

 ところがその後、このわいせつ動画流出が、映画のプロモーションだったという疑惑が浮上した。中国の国内メディアによると、獣獣は香港の映画監督バリー・ウォンと映画出演の契約を交わしており、動画流出はバリー・ウォン演出による、話題作りのための陰謀だったというものだ。

 まさかそこまで、と思うかも知れない。しかし過去にはさらに大掛かりな”プロモーション”も行われている。

 昨年11月16日、中国を訪問したオバマ米大統領が、上海で大学生と対話集会を行った際に、テレビカメラに映った参加者の女性が「美人すぎる女子大生」として、一躍インターネットの動画サイト上で話題となった。しかしこれはすべて彼女が仕組んだ売名行為だったのだ。芸能界での成功を夢見るタレントの卵だった彼女は、この集会に出席する権利と、カメラに映りやすい座席を獲得。さらに、現場のカメラマンも買収し、自らのアップを撮影させたという。さらに、その映像がネット上に広がるようIT企業に依頼。ここまでに約270万円を要したという。

 ネットの力をまんまと利用して名を売った彼女だが、ネットの力は彼女の予想を遥かに越えていた。ネット上で、ユーザーが結束して個人の特定を行う『人肉捜査』が行われると、彼女の素性やこうした策略がすべて露見したのだ。ついにはこの女性も「全プロセスは私が仕組んだもの。どうぞ好きなだけ罵って」と自白。果てには猛烈なバッシングを受けてノイローゼに陥り、芸能界を諦めたという。

 不正ダウンロードを逆手にとる新ビジネスも、一筋縄ではいかないようで……。
(文=高田信人)

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最終更新:2010/03/26 21:00
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