天然実力派女優・仲里依紗が眩し過ぎる! ゼロ年代版『時をかける少女』
#映画 #仲里依紗 #邦画 #時をかける少女
1967年に筒井康隆が原作小説を発表してから、実に40年以上が経つ『時をかける少女』。その新たな映画版が公開中だ。
72年にNHKで『タイムトラベラー』の名でドラマ化、83年には主演・原田知世、監督・大林宣彦で初映画化され一世を風靡。その後も幾度となく映像化され、映画に限っても今回で4度目。近年では細田守監督のアニメーション版が各方面で絶賛されたことは、まだ記憶に新しい。
今回のヒロインは、原作の主人公・芳山和子の娘あかり。大学に合格して喜ぶ間もなく、母親が交通事故に遭い昏睡状態に。「過去に戻って、深町一夫に会わなくては……」という母の願いを聞いたあかりは、薬学者である和子が開発した薬品を使って72年4月へタイム・リープすることを決意するのだが、間違えて74年の2月へ。飛ぶべき時代から2年も経ってしまっていたが、それでもあかりは、偶然出会った大学生の涼太の助けを借り、深町一夫探しを始める。同時に、涼太の部屋に居候し、彼が手がけるアマチュア映画製作を手伝うことになったあかりは、涼太に恋心を抱き始め……。
主演は、細田監督のアニメ版でも主演声優を務めた仲里依沙。母・和子は安田成美、涼太に中尾明慶と芸達者が揃う。監督はこれまで篠原哲雄、根岸吉太郎、井筒和幸、滝田洋二郎といった名監督のもとで助監督などを務めてきた、谷口正晃が務めている。
『時かけ』映画化は83年、97年(角川春樹監督による実写リメイク)、06年と10年前後のスパンがあったが、傑作と名高い06年アニメ版から4年足らずでの映画化となる。まだアニメ版が人々の記憶に新しいからこそ、比較されてしまっても仕方がない。しかも、主演も同じ仲里依沙、さらに監督はまだ一般的な実績の少ない新人だ。本当に大丈夫か? と思う人も少なからずいるであろうが、観てみればそれは杞憂だったと思うはずだ。
『時かけ』の魅力は、本来出会わないはずの2人が出会い、惹かれあい、時空という超えられない壁(主人公はそれを超える能力を身につけるが、永続的ではないから、やがて必ず別れがくる)によって再び隔たれることによって切なさが生まれるところにある。今回も主人公あかりは未来から過去へ飛び、本来出会うはずのなかった涼太と出会う。原作では未来から来た深町に和子が恋をする設定が、今度は逆になっているのも面白いのだが、あかりが訪れる70年代の街並みや風俗も細かく再現されていて懐かしく、人々の温もりを感じさせる時代設定がより功を奏している。もちろん当時を知らない若者には、逆に新鮮にも映るはずだから、うまい設定と言える。
原作のキャラクターや設定を踏襲し、いわば「続編」とでも言える1作だが、オリジナルストーリーで新たな『時かけ』を生み出したみせた。もちろん、過去の映像作品や原作小説を知らなくても問題ない。むしろこれをきっかけに、過去の映像作品や原作小説に手を伸ばし、お好みの『時かけ』を見つけてみるのも面白いだろう。
映画のイベントで原作者の筒井は自ら、今後の映像化にも期待を寄せていた。06年アニメ版の主人公は芳山和子の姪が主人公で、今回は娘。いずれ和子の孫娘が活躍する『時をかける少女』が生まれても不思議ではないかも。文字通り”時をかけて”愛され続けるタイトルなだけに、いまこの機会にその魅力に触れてみたい。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)
・ 『時をかける少女』
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座ほかにて大ヒット上映中。
『時をかける少女』作品情報
<http://eiga.com/movie/55049/>
『時をかける少女』仲里依紗&中尾明慶 インタビュー
<http://eiga.com/movie/55049/special/>
里依紗に夢中!!!
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