のりピー夫”再犯”スクープの「フラッシュ」がその場で通報しなかった理由とは
#雑誌 #出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
●第36回(3月9日~3月15日発売号より)
第1位
「激撮スクープ! のりピー夫『高相祐一』シャブ購入現場!!」(「フラッシュ」3月30日号)
第2位
「ミシュラン超有名店元女将がザンゲ告白」(「週刊文春」3月18日号)
第3位
「ニッポンの時給格差」(「週刊プレイボーイ」(3月29日号)
「週刊朝日」と「サンデー毎日」が、発売日を金曜日にずらして、恒例の「東大・京大」入学者の高校別ランキングをやっている。同じような企画は、だいぶ前まで出版社系週刊誌でもやっていて、当時は、一人ひとり合格者の名前まで出していたと記憶している。
魂胆は、名前が出た学生はもちろん、親兄弟までもが買ってくれるだろうという浅ましいものである。しかし、労力のわりに部数がさばけなくなった。ええかっこしいでいうと、学歴偏重社会を批判している側が、その象徴である東大・京大入学者を誌面でもてはやすのはよくないとやめてしまったのだが、新聞社系はいまだに続けているのが不可思議でならない。
「毎日」の山田編集長は、「合格せずに落ち込んだ人は、今週号で紹介したような巨木を見上げてみてはどうだろうか。大学の合否のみが人生を決めることではないこと、それくらい人生は長いことをきっと気付かせてくれる」と編集長後記で書いている。ならば、なぜこんな学歴格差を助長するような記事を長年続けるのか。いい加減にやめたらどうだろう。
格差社会を上から目線ではなく、同じ視線で見る雑誌の代表格は「SPA!」と「プレイボーイ」だが、その「プレイボーイ」が居酒屋店長と店員、テレビ局社員と制作会社AD、歌舞伎町コンビニと青森コンビニなどの「時間給の格差」に切り込んだ。
某大手居酒屋チェーン店長、32歳の月収は29万でボーナスが60万。2年前から週休2日で、一日の労働時間は12時間だから、時給にすると1,400円。対して、別の有名チェーン店バイト店員27歳は時給900円で、週5で月収約20万円。
コンビニ対決では、新宿・歌舞伎町のコンビニバイト店員28歳は、週3,夜11時から朝8時まで働いて時給は1,250円。片方は、青森駅に近いコンビニ店長42歳、1時間に一人しか客が来ないこともあるそうだからか、時給600円だという。
聞くも涙なのは、AV男優とモザイク職人。モザイク職人20年の46歳は、AV業界のなかでも最下層の厳しい仕事だと話す。ものによって違うが、120分の作品に2カ月かかり、ギャラは3万円。時給なんと数十円。
34歳のAV男優は、ギャラは1出し(1回の射精をこうカウントする)で1,000円、フェラで1出し7,000円。女優との絡みで1万5,000円から2万円ぐらいが相場だというから、こちらもキビシ〜イ仕事ではある。
興味深いのは消防士と自衛官。22歳の消防士は、年収ボーナス込みで450万円。時給にすると1,500円程度だというが、陸上自衛官40歳は、同じく年収ボーナス込みで700万円ほど。しかし自衛隊は24時間勤務に近いから、時給はコンビニのバイトのほうがよっぽどいいと話している。
しかし、収入と幸福度、満足度は比例しないこというまでもない。東大や京大を卒業しても、人生の落ちこぼれは沢山いるし、コンビニや居酒屋でアルバイトしながら、自分の夢を実現する人もいるのだ。頑張れ! 格差社会の申し子たち。
私は日本のミシュランが大嫌いだ。高いカネを出せば美味いのは当たり前である。ワインが置いていないと印がつかないというのもおかしな話しだ。第一、わずかな人数で、1,2回食べただけで、星三つやるよと「下げ渡す」根性が気にくわない。
このところ、星印を授かった店が閉店したり、食中毒を起こしたりと、いやが上にもミシュラン星の評価は下がる一方だが、ダメ押しともいえる話しを「文春」が書いている。
この店は「麻布かどわき」で、主人は門脇俊哉氏、49歳。トリュフやフォアグラ、キャビアなどの高級洋食材を和食にふんだんに使って、コース値段は2万1千円から。ミシュラン東京版で、09年、10年と二つ星を獲得している。
その店がこともあろうに、木箱入りの丹波産マツタケの多くが中国産で、マツタケエッセンスを吹きかけていた。「海王」という焼酎が「魔王」に味が似ているからと移し替える。ヨーロッパ産白トリュフは1キロ百万円以上するからと、1キロ1万円の中国産で間に合わせ、これもトリュフオイルを使っていたのだ。
これは、昨年まで門脇氏の夫人で、店の女将をしていた女性の話だから、真実性抜群。私はこんな高い店に足を踏み込んだことはないから腹も立たないが、これまで高いカネを払い、「やはりフランス産の白トリュフは美味しゅうございますね」などと戯言を言っていた、川島なおみ美さんや秋元康さんらグルメ有名人の面目は丸潰れである。集団訴訟してカネを返してもらったらどうかね。
今朝、オフィスに行くと、友人からメールあり。「フラッシュがすごいスクープをやってるぞ」とのこと。
うっかりしていて、発売は明日だと思っていたので、慌てて近所のコンビニへ走った。「のりピー夫高相祐一シャブ購入現場!」とド派手なタイトルが目に飛び込んでくる。
早速読んでみる。人気バンド『JAYWALK』中村耕一容疑者(59)が逮捕された3月10日、東京青山のある駐車場で、白昼堂々とクスリの売買が行われていたというのだ。売人とおぼしき男の肩に、親しげに手を置く高相被告。どうやって撮影したのだろう。ピントもバッチリ合っている。
小さな紙に包まれたブツを高相に見せて話している。「フラッシュ」は、その人間に直撃もしているが、「記者を威嚇するように睨みつけ、逃げるようにその場を去っていった」という。
これは大変なスクープ写真である。彼を尾行し、撮影に成功した「フラッシュ」編集部の努力は称賛に値するが、こういう批判も出てくるに違いない。「なぜ、覚醒剤の売買だと知っていたら、現場で、その二人を取り押さえ、警察へ通報しなかったのだ」。だが、ジャーナリストには捜査権も逮捕権もない。地道に情報を集め、当人に気付かれないように尾行し、そうしたなかで偶然(タレコミかもしれないが)に、こうした場面に遭遇する。
写真を撮り、写真を検証し、高相側にコメントを求め、ほぼ覚せい剤入手現場に間違いないと判断して誌面に掲載し、読者の判断を仰ぐ。それがジャーナリズムの仕事で、それ以降が警察の出番である。
昨夜、たまたまDVDで『黄金の腕』という往年の名画を見ていた。フランク・シナトラ主演。「”黄金の腕”と言われる賭博カードディーラーが、献身的な女性の愛によって麻薬中毒から立ち直る姿を描いたサイコサスペンス」(「キネマ旬報社」データベースより)。一度麻薬中毒になった人間が、麻薬と手を切ることの難しさを、シナトラが迫真の演技で演じている。
高相と離婚しないのりピーこと酒井法子も、本人の余程の覚悟と、周囲の温かく厳しい見守りがないと、再び覚せい剤に手を出す確率は高いと言わざるを得ない。
この写真を、のりピーはどういう思いで見ているのだろうか。今週のダントツ1位はこれだ!
(文=元木昌彦)
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。
【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
どうせ買うなら、こっちの”ミシュラン”。
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