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イルカ映画監督「イルカは愛しているが、イワシは食べる!」

『ザ・コーヴ』狂想曲 海外メディア・関係者・監督を直撃!(後編)

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■前編はこちらから。

 昨秋、『ザ・コーヴ』が東京国際映画祭で上映された際、来日して会見を行ったルイ・セホイヤス監督。公式会見を終えた後、サイゾー取材班はセホイヤス監督の宿泊先を訪れ、独自にインタビュー取材を行っていた。

 その際、監督から語られた制作意図や自身の食生活、撮影者としての倫理観などを、ここに公開する。(20分という限られた時間の中で会話が終始噛みあわずに進んだことをご了承ください)

――映画の制作意図についてお聞かせいただきたい。

監督 私は世界を変えたいと思ってこの映画を作った。10ドル払って楽しむだけの映画ではない。この映画によって日本人とイルカの双方が幸せになれるのだ。

――あなたはイルカを食べない。では他の魚も食べないのか?


監督 食べない期間があった。しかし、動物も魚も食べないと体に元気が出ないので、今は少し食べている。

――元気が出るために人は動物や魚を食べる必要があるのではないか?

監督 私が食べている魚はサーディン(マイワシ類に属する小魚の総称)などの非常に小さく短命な魚。食物連鎖では下位にいる魚だ。長く生きる魚には食物連鎖の中で水銀が貯まる。

――水銀の問題ではなくて動物や魚を食べる必要性と食文化について聞いている。

監督 理想をいえばベジタリアンになりたいが、私は意志がそこまで強くない。

――イルカの知能が高いというがその根拠はどこにあるのか?

監督 イルカの脳の大きさをあなたは知らないのか。

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――脳の大きさが知能の高さに比例すると科学的にいえるのか?

監督 イルカの脳は大きいだけでなく非常に複雑だ。センサー能力もレーダー能力もある。自己認識もできるし遊び方を観察しても非常に高度だ。「イルカの知能がなぜ高いのか」と聞かれない日が来ることを私は望みたい。

――イルカをかわいそうと言うが、牛や豚は食べないのか?

監督 86年に屠殺場を見た経験から牛や豚を食べられなくなった。妻や子どもには食べるなとは言わないし、日本人にもそれを要求しない。

――かわいそうだからではなく、気持ち悪いから食べられなくなったということか。

監督 私は基本的に菜食主義者だ。基本的に歩く動物を食べることはしない。

――牛や豚に興味がないのは彼らの知能が低いからか?

監督 興味も関心もあるが、我々は海洋問題を考える団体。分野が異なる。

――映画の中で、日本政府が魚に含まれている水銀情報を隠蔽していると何度も繰り返しているが、厚生労働省は60種の魚別にわけてデータを公開しているし、妊婦にも影響が出る可能性があるとまで書いている。そのことは報道されて話題にもなった。

監督 しかし、あの数値を正しいとは思えない。我々の調査ではより数値は高いと考えている。

――数値の正誤ではなく、隠していると表現していることについてだが。

監督 たしかに政府は公開しているが、ネットでは見ない人もいるし、数値も正しくない。

――映画の中で太地町民の顔が露出している。一般の日本人があのような形で世界中に晒されることに躊躇はなかったのか?(注:日本公開では配給会社の判断でモザイクが入る)

監督 これはドキュメンタリー映画なので、信憑性に疑問をもたれないためにも顔を隠さない方法を選んだ。

――撮影のために立ち入り禁止区域に侵入し、警察との対話を隠し撮りして公開している。日本国の法律や条例に対する遵法精神はないのか。

監督 もし、アウシュビッツで残虐な行為が繰り返されているところへ私がカメラを持ち込んだら、はたして非難されるだろうか。

――アウシュビッツのことではなく太地町のことで聞いている。

監督 私は同じ程度の人類に対する犯罪行為であると考えている。このことは世界中の多くの人が知らなければならない。

――これからも太地町へやってくるのか?

監督 私自身、何度も来て訴えたくはない。本来、日本人自身が自分の問題として取り組んで欲しいと思っている。次に来たときは、私もポランスキー監督のように拘束されてしまうかもしれない(笑)。それは冗談だが。いずれにしても、映画の上映が決まったのは日本の政権交代が行なわれたから。自民党がすべてをコントロールしていた時代では無理だっただろう。
(構成=浮島さとし)

ディスカバリーチャンネル The Ultimate Guide イルカ

イルカのスベテ。

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最終更新:2010/03/15 11:30
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