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詐欺、窃盗、脱獄……ノンストップ・ボーイズラブ『フィリップ、きみを愛している!』

iloveyou_main.jpgPhotos:Patti Perret (C)2009 EUROPACORP

 実話をベースにした映画の面白いところと言えば、「本当にこんなことが?」という驚きが味わえる点。今月8日(日本時間)に発表された本年度アカデミー賞で作品賞ほか6冠を達成した『ハート・ロッカー』にしても、脚本はイラクの戦場を取材したジャーナリストによるもので、彼が実際に現地で目にした事実を盛り込んだストーリー。登場人物や物語こそフィクションだが、現代の戦場ではこんなことが起こっているのかと息を飲む、実話系映画と言える。そんな中、登場人物や出来事まで含めて実話を基にした驚きの映画『フィリップ、きみを愛してる!』が、3月13日から公開される。

 主人公は、現在も懲役167年の刑を受けてテキサスの刑務所に収監されている、スティーブン・ラッセル。IQ169の天才で、元は警察官だったが、交通事故に遭って生死の境をさまよったことで、「自分に正直に生きる」ことを決意。よりによって詐欺師へと華麗な転身を遂げ、クレジットカード詐欺や高級腕時計の窃盗・転売、弁護士に成りすまして大手企業に潜り込み、財務最高責任者として億単位の巨額を横領するなどやりたい放題。逮捕されても投獄されても、華麗な手口で脱獄すること計4回と、まさに波乱万丈な人生を送った。そして、何より驚きなのが、彼が脱獄を繰り返す目的。それは、愛する人に「愛してる!」と伝えたかったからなのだ。

 それほどまでに追い求めた人物は、さぞや麗しの美女なのではと思いきや……お相手はスティーブンが1995年に収監されていたハリス郡刑務所で出会った、フィリップ・モリスという青年。そう、スティーブンは警察官として真面目に生きていた頃までは、自分がゲイであることを隠し、結婚して妻子とともに普通に暮らしていたのだが、「自分に正直に生きる」と決めたときからカミングアウト。かくして、はかなげで心優しいフィリップにも果敢にアタックし、その心をつなぎとめるためなら、どんなウソだってつくし、脱獄だって繰り返してみせる波乱の人生に突入していったのだった。

 一途な恋心のために我が身すら顧みないスティーブンの姿は、相手が同性であろうが異性であろうが、恋に身を焦がす想いをしたことのある人なら、(詐欺や脱獄はもちろん悪いことだが)共感を覚えてしまうはず。そんなスティーブンを演じるジム・キャリーも、得意の体を張った演技に加えて、 『トゥルーマン・ショー』(98)『エターナル・サンシャイン』(04)などで見せた繊細さも披露。自分に正直に生きると決めたはずが、いつしかウソで塗り固めた人生を送っていた詐欺師の悲哀を体現して泣かせる。さらに、相手役のフィリップを演じたユアン・マクレガーにも注目。『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービなどで知られる男前なマクレガーが、自分を一途に想ってくれるスティーブンに胸をときめかせ、ウソを見抜いて怒れば「最低!」と涙ぐんで平手打ち。見事に乙女心が満載な”オトメン”になりきっていて必見なのだ。

 男同士の恋愛と言えど、映画は爽やかで、笑いあり涙あり。そしてスティーブンの観客をもあざむく一世一代の大博打に、思わず「やられた!」とうなること請け合いな、誰もが楽しめる娯楽作。見終わったあとは「事実は小説よりも奇なり」と思わずうなってしまう作品なのだ。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)

・『フィリップ、きみを愛してる!』
3月13日(土)より新宿ピカデリー他、全国ロードショー
公式サイト <http://iloveyou.asmik-ace.co.jp>
配給:アスミック・エース

『フィリップ、きみを愛してる!』作品情報
<http://eiga.com/movie/54568/>

『フィリップ、きみを愛してる!』特集
<http://eiga.com/movie/54568/special/>

きのう何食べた?(1)

こういう関係も、悪くない。

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最終更新:2010/03/12 21:00
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