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出版業界震撼!「青少年育成条例」改正でロリマンガが消滅する!?

tokyotocho.jpg「すでに『成人指定』のものは従来通り」
と東京都庁。

 東京都が都議会に提出した「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(青少年育成条例)の改正案が、現在ネット上を中心に話題になっている。

 今回追加された条文は、青少年の健全な育成に配慮した携帯端末の推奨、不健全なWebサイトへのフィルタリング、児童ポルノ根絶への気運醸成。そして「非実在青少年」を対象とする性的描写の規制である。

 その中でも特に大きな波紋を呼んでいるのが、「非実在青少年」(マンガなどに出てくる青少年)への自主規制項目が追加されたという点についてだ。該当箇所である「第三章 不健全な図書類等の販売等の規制」の追加条文は以下の通りである。

「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」

 この文面だけを読めば、「18歳未満に見えるキャラクターをエロ目的で描写したらアウト」と判断できるが、実際のところはどうなのだろうか。東京都庁に問い合わせたところ、

「単純に未成年のように見えるからといって、全て規制するものではありません。例えば設定上は30歳だけど、セーラー服を着て、外見的に学生に見えるキャラクターの性描写だからダメだというわけではないです。ただし、年齢が18歳未満という明確な描写があれば自主規制対象となります」

 との答えが返ってきた。

 また、今回の条例改正案が通過する事で、ロリ系成人マンガや小説も一掃されるのか、という質問については、

「すでに『成人指定』マークが入っているものに関しては、従来通りの判断をしていきます。今回は、『成人指定』されていないものに関して、青少年に健全な育成を促すようにしてもらおうという意味での改正になります」

 との回答が得られた。

 その他、しばしばネット上で挙げられる例として、「ドラえもんのしずかちゃんのお風呂シーンもアウトだから、ドラえもんも規制対象になるのか」のような話題については、

「そのシーンがどういうものかは想像せずに答えますと、問題にはなりません。テレビなどで普通に放送されているようなものは問題ないと判断します」

 とのこと。そもそもテレビで放送するものなら問題ないという判断基準自体曖昧なものではないか? という疑問も残るが、条例が改正されたからといって即お色気シーンやロリ系成人コミックが消滅する、ということはなさそうだ。

 一方で今回の一件を笑って見過ごせないと思われるのが、当事者たる成人向け書籍を発行している出版社である。

 青少年と思しき登場人物による性交を描いている作品も少なくない中、さぞかし慌てふためいているかと思いきや、とある成人向けコミック誌編集者は、

「編集部も状況を注視しています。ただ、編集部内ではゾーニングされていない雑誌、マンガを規制することが今回の目的ではないかとの予測がされています。例えば成人指定されていない過激な性描写のある少女マンガや、暴力マンガの規制が主眼なのではないでしょうか。どちらかといえば、昨年の陵辱ものアダルトゲームへの圧力の方が、業界全体の危機感が強かったように感じます」

 と予想外に落ち着いた様子で語る。

 また、今回の条例改正が言論統制につながるという危機感をもっている議員や文化人も多く、様々な意見や議論がTwitterをはじめとするWebメディアを中心で交わされている。

 東京都条例に関する問題とはいえ、日本における出版社の大半が在京ということから、条例改正が実現した場合ほぼ日本全土が規制されるのと同義だ、という論調もある。このようにさまざまな立場で、さまざまな意見が飛び交っているのが現状である。一番の問題は、事象の一側面だけを捉えてヒステリックな判断をすることなのかもしれない。

 頻繁に話題にのぼっては沈静化していくこの手の表現の自由と規制の問題だが、今回の条例改正についてはこれまで以上に実現の可能性が高いと言われている。これを機会に、もう一度表現の自由とは何か。健全な社会とは何なのかを、考え直してみるのもいいかもしれない。
(文=有田シュン)

表現の自由と第三者機関

たまには、真面目に。

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最終更新:2010/03/11 18:00
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