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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」(後編)
【第10回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」(後編)

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前編はこちらから

 寝床の近くにエアガンが置いてあって、弾は入ってないですけど「死にたい!」ってときにパッと手にとって、自分のこめかみにシュパパパパ!! とやるわけです。

──すごい! でも、気持ちは分かります! 街を歩いててふと虚無感に襲われたり夜中に「死にたい」ってなったとき、妄想で見えない銃口を自分にあてるんですよ、何回も……。

 はい、そこでお勧めしたいのがエアガンセラピーですね!

──エアガンセラピー?

 そんなときに自分をエアガンでパンパンパンッ! ってやるとですね、危険はないんですけど、やっぱりちゃんと少し怖いんですよ、(引き金を)引く瞬間。ちゃんとガスも入れてますから、撃つと強い空気がパッと当たる。そうすると意識が、ふぁ……ってなって、けっこうスッキリするんですねー。

──それ、良いですね!

 で、なおかつエアガンを置いておくと攻撃にも使えますからね。一人でテレビ観ながら突然こう、「なーに言ってんだよお前!」パーン! といけますし。

──爽快そうですね!

 スッキリできるんですよ。少なくとも「死にたい!」から脱する距離は短くなるし、けっこう健康的に発散できるんですよね。

──それは健康的と言い切れるかどうか分からないですけど、死にたい死にたいと思うよりはずっと健康的ですね。決めた! 私、やる! エアガン買います! やったー! 解決……じゃないや。えーと、アイドルの現役感を出すためと、アイドルとしての今後についての相談を……あの、宇多丸さんもお仕事でたくさんアイドルとお会いしてると思うので……。

 アイドルですか? 会わない会わない! ぜんぜん会わないです! Perfumeと小明さんくらいですよ!

──うわ、少ない! そしてすごい並び!

 でも、アイドルは大変ですよね。僕が風の噂で聞くアイドルたちは、「え!? そんな!! 梶原一騎の漫画みたいな芸能界って本当なの!?」っていう感じですよ。だから、小明さんはまだ幸せなルートじゃないですかね。小明さんのまま居場所を見つけてるわけですから。

──確かに騙されたりはしましたけど、そこまでハードボイルドな目にも遭ってないし、デビューしたとき下手にキャラを作って続かなくなってボロが出て面倒くさかったくらいです。

 そうそう。それに、小明さんに地上波の仕事がいっぱいあって忙しくって……みたいな状態って、多分良くないですよ。

──確かに、そんな自分は想像つかないし、絶対無理です……。

 まぁ、アルバム『マニフェスト』の中でも言ってますけど、やっぱり「ちょうどいい」ところがあるわけですよ、その人にとって。だから、小明さんのままで規模を少しづつ広げるという程度のことを考えたほうが良いんじゃないですか? 「BUBKA」や「サイゾー」で連載、TBSラジオ出演、着々と進んでるじゃないですか! 勝ち組ですよ!

──「BUBKA」と「サイゾー」で勝ち組! 私のこと勝ち組なんて言う人、宇多丸さんくらいですよ! でも、本当に無理して身分不相応なところにいるの、疲れちゃいますしね……。この間も、ひょんな流れで芸能人主催の華やかなパーティーに行ったんですよ。

 すごいじゃないですか!

──本当にたまたまだったんで観光気分だったんですけど、そこで会ったある有名アイドルグループ出身のタレントさんと、お会いするの2、3回目だったんで挨拶させてもらったんですけど、あまりに無表情で……。私はその場に浮かないように精一杯のニコニコなパーティーテンションで話しかけちゃっただけに辛かったです……。何て話しかけても「ああ、ハイ」「ハイ、ハイ」で、やっぱり自分なんかに話しかけられたら迷惑だったのか!? と、悲しかったですよ。

 すごい仕事量をこなしてると、基本的に雑になってくるのは否めないと思いますよ。でも、そういうところでの雑さはプロとして良くないですよね。

──口の片端あげて微笑むくらいタダなのに……。

 そうそう。だからそこで、魔法の言葉『す・い・ま・せ・ん』ですよ!

──あははは! なるほど!

 だから、実はロクに分かってなくても、こうやって「サーセン、サーセン!」って。無表情で「ハイ」の人と気持ちの中身はたいして変わってなくても、別に悪い感じがしない。

──それ、やっちゃいます! とりあえず「サーセン」!

 でも、それに対して敏感な人は「サーセン」に若干の不誠実さを感じるはずなんですよね。

──やっぱり同じタイプの人間にはバレるんですかね……。

 そうなんです。だから我々もあんまり人のこと言えないですよ。でも、やっぱりそういう場で感じ良くしとくのは大事です。だって、こうやってみんなに伝わってくわけだから。

──私なんて良い広告塔になりますよ! しょこたんとか安めぐみさんとかスザンヌちゃんとか、そういう忙しくて疲れてるのに感じの良かった人を悪く言う人は「お前はわかってない!」って論破しにかかりますもん。

 いいね! 広告塔だし、こういうとこで言うぞ! お前らランク的に下とか思ってるかもしんないけど、こっちは「BUBKA」執筆陣なだけに業界のルールとか関係ねーし、言うときゃ言うよ、この野郎! 意外と影響力あるところで陰口かくぞ! と。

──あはは! あまりに酷いことされたら、影響力あるところに書くぞ! ですね。どうせこっちは圧力かけられて干されるほど仕事してないですし!

 気をつけてほしいですよね。あんまナメてると、言うよ!!

──フリーの糞虫だと思ってたら意外と爆弾だぞ!!

 そうだ! そうだ! ……はい、こういうこと言ってっから、駄目なんでしょうね。

──ええ、駄目ですね……。もうちょっとしっかりとした人間になりたいな……

 ね……なんか、すいませんっした。

──あ、いえ、こちらこそすいま……じゃなくて、ありがとうございました。エアガン買ってきます!
(取材・構成=小明)

宇多丸(うたまる)
1969年生まれ。ヒップホップグループ「ライムスター」MC。また、ラジオDJ、評論執筆など、その活動は多岐に渡る。2月3日より、ライムスターとして4年ぶりのオリジナルアルバム『マニフェスト』(キューンレコード)が発売中。

小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著アイドル墜落日記(洋泉社)での自虐っぷりが一部で評判を呼んでいるとかいないとか。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/

マニフェスト

おかえり。

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最終更新:2018/12/19 15:05
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