大混戦! お笑い評論家・ラリー遠田の「R-1ぐらんぷり」展開予想
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2月11日、ピン芸日本一を決めるお笑いイベント「R-1ぐらんぷり2010」の決勝進出者が発表された。決勝にストレートに駒を進めたのは、Gたかし、我人祥太、いとうあさこ、川島明(麒麟)、なだぎ武(ザ・プラン9)、あべこうじ、エハラマサヒロ、バカリズムの8名。
そして、2月21日には、惜しくも準決勝で敗れた10名のピン芸人が、たった1つの敗者復活枠を懸けて争う「サバイバルステージ」が行われた。ここで見事に勝ち抜いたのは、フリップ芸の使い手として名高いCOWCOW山田與志。観客審査で圧倒的な得点を叩き出し、3年連続の決勝進出を決めた。彼を加えた計9名が、2月23日の決勝戦で優勝の栄冠と賞金500万円を目指して争うことになる。
今年のR-1の決勝進出者の顔ぶれを見ると、2つの傾向が浮かび上がってくる。1つは、イラストや文字の書かれたフリップを使って笑いを取る、いわゆる「フリップ芸」の増加である。今回決勝に進んだ芸人のうち約半数が、準決勝でフリップ芸を披露していた。決勝進出者のネタの傾向がここまで偏るのは珍しい。
フリップ芸は、フリップで情報を補足できるため、分かりやすくて万人受けしやすいという特徴がある。また、テレビでネタをやるときには、フリップそのものを大きく映すこともできるため、もともとテレビ向きの芸であるとも言えるのだ。
R-1ではこれまでにも、フリップ芸の達人が結果を残してきた。昨年の大会でも、COWCOW山田與志はテニスの得点表示を模したフリップを活用して爆笑を取っていたし、バカリズムの「地理バカ先生」という斬新な発想のフリップ芸も衝撃を与えた。恐らく、そんな過去の審査傾向も踏まえて、フリップを使って自分なりのスタイルを作り上げた芸人たちが決勝進出の切符をつかんだということなのだろう。
もう1つの傾向としては、「並列的なネタ」を演じる芸人が多い、ということが挙げられる。R-1では、ピン芸ならば何でもありで、ネタの内容には一切縛りがない。だが、今年の決勝進出者には、いわゆる正統派の漫談やコントを演じた人は少なく、単発の短いネタを重ねていくようなスタイルの芸人が多かった。
並列型のネタは、笑いどころの回数が多く、ネタ時間を調整しやすいというメリットがある。また、確実に一個一個の笑いを積み重ねることができるというのも魅力的だ。1分程度の短いネタを見せる番組が増えている中で、芸人たちもそれに対応したショートネタを作るようになっている。そんな中で、並列的なネタを作る技量が磨かれ、その中でもトップクラスの独創性と技術を持ったピン芸人たちが、今年は勝ち上がってきたのだ。
優勝予想はかなり難しいが、今年は決勝の上位3名はネタを2本やらなくてはいけない、というルールを考慮すると、持ちネタの種類の豊富さからバカリズムとエハラマサヒロが本命だと言えるかもしれない。ただ、勝負は水物。当日には何が起こってもおかしくはない。ピン芸頂上決戦にふさわしい熱い戦いを期待したいところだ。
(文=ラリー遠田)
今年こそ! 山田!!
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