人間が”格闘を愛する”仏教的理由とは? 苫米地英人×須藤元気 超次元トークが実現!
#インタビュー #苫米地英人 #須藤元気
「月刊サイゾー」でおなじみ、時代と格闘する脳機能学者・苫米地英人氏と、”IQ格闘家”として名を馳せ、現在は作家・タレントとして活躍中の須藤元気氏の異色(?)対談が実現。これは苫米地氏のエッセンスが凝縮された会員専用サイト「クラブ苫米地(有料。http://www.club-tomabechi.jp/)」の企画で実現したものだが、格闘技、政治から精神世界まで、縦横無尽な高次元トークを展開し、野次馬的には興味津々な対談となった模様。そこで、めくるめく「苫米地宇宙」と「須藤ワールド」の融合、その一部を特別にお見せいたします!
苫米地英人(以下、苫) そもそも、どうして格闘技の世界に入ろうと思ったの?
須藤元気(以下、須) 僕が格闘技を始めたのは、自分の精神的な弱さを自覚していたからなんです。精神を強くするために、まずは肉体を鍛えようと思ったんですね。でも、いざ筋肉がつくと、やたらと肩で風を切って歩くようになったんです。意気がってケンカばっかりしているけど、でも本当はびびっている自分がいて。結局のところ、肉体的な強さと精神的な強さは必ずしも比例するわけでもないんだ、ということに気づき始めました。
苫 それで、精神世界の方に接近したの?
須 そうです。でもその反面、「中途半端な筋肉のつけた方だったからダメなんだ。よし、俺は格闘家になるぞ」とも思って。それで、プロの世界に入ることに決めました。
苫 今回、ゲストとして須藤さんに来てもらったのは、須藤さんの本を読ませてもらって、「ああ、この人は俺が常々言っている、人としての生き方を体現してくれているな」と思ったからなんだよね。
須 体現ですか?
苫 そう。実は、うちの実家が武道家の家だったんだよ。じいちゃんは講道館を始めた嘉納治五郎の最初の弟子だから。格闘も含め、もっと大きな枠組で「武術」をやる人というのを、今までにかなり見てきたの。おかげで武道家という人種のメンタリティーはよく分かるようになった。
須 と、言いますと?
苫 端的にいうと、「寺の坊さんがなぜ武術をやるのか?」って話。宗教者っていうのは、例えばマハトマ・ガンディのように、攻めてくる人間に対して「どうぞ殺してください」という態度を示さなければならない。つまり、非暴力主義者であることが本来の姿のはずだろ? だけど実際はというと、中国には少林寺があるし、日本の比叡山にもかつては僧兵がいた。そこが大きな矛盾だから、当然「じゃあ、なんでそんなことになるんだ?」っていう疑問が出てくる。武道家は、特にそれを実感するんじゃない?
須 はい、その疑問はあります。
苫 それには、すごく単純な答えがある。あのね、仏教にはこんな話が伝わっているの。釈迦が菩提樹の下で悟りを開いてしばらく経った時、近くの村にいた子どもたちを集めて、一緒にミカンを食べたんだ。釈迦は彼らと一緒に、一つずつ丁寧に皮をむき、房を分け、匂いをかぎながら、ゆっくりと味わって食べたわけ。しかも、ただ食べるだけでなく、「このミカンはどこのお百姓さんが作って、どこの誰が持ってきてくれた」なんてことを伝えながら食べたのね。その「どこの」とか「誰が」が仏教で言うところの「縁起」なわけで、つまりお釈迦さんは縁起を考えながらミカンを食べることを教えたの。手にしたミカンの一個一個をよく見て、よく味わって、そしてそのミカンを誰が作ってくれたのかまで考えながら食べる。そうして、ミカンは口に入って、喉に通って、胃に収まるわけだけど、それら一連の動作が「ミカンを食べる」ということなわけ。その全ての過程の一つ一つに意識を払って、観察しながら行うのが「止観」。
須 なるほど。
苫 同じ食べるにしても、テレビでバラエティー番組を見ながら、漫然と手と口を動かしているだけで、何個食べたかも覚えていないようならば、それはミカンを食べたことにはならない、と釈迦は言っているの。それどころか、そんな場合、その人にとってミカンは存在すらしていない。心を落ち着けて、あるがままに見る、つまり止観しながら食べることで、初めてミカンが存在することになる。実は、このミカンこそ人間の生き方そのものなのね。
須 生き方そのもの、ですか。
苫 簡単にいうと、なんだか毎日忙しく過ごして、ワイワイするばかりで自分の行為をなんら意識することなく生きていたら、それは自分を見ていないことでしょ? それじゃあ、自分は存在していないのと同じだよねって話。スリランカ上座部仏教に伝わるヴィパッサナー、つまり釈迦が実践していたという瞑想方法では、息の仕方や歩き方まで、一つ一つの動作に全意識を注ぐの。そして、実はこの修行の究極の姿が武術なんだよ。だって、当然じゃん。戦っている人間は自分のことも、相手のことも、全身全霊を込めて見ているわけでしょ? ほんのちょっとでも、自分の心に映る全ての存在から意識をそらしたら、その瞬間死んでるぜ(笑)。
須 それは確かに。
苫 一瞬でも、自分の世界から離れてはいけないのね。0.001秒さえも自分から離れちゃいけない。それを徹底的にやるから、武術は人殺しの技術なんじゃなくて、「生きる術(すべ)」になるの。
須 そういうことですか。
苫 そこまで徹底的にやって、今の自分を見る、気づく。これを突き詰めていくことが本当に「生きる」ことになるんですよ、っていうのが僕がずっと教えていることなんだ。須藤さんは、まさにそれを体現してくれているから、おもしろい人だなあと思ったわけ。
須 釈迦の話から僕につなげていただいて、ありがとうございます! ちょっと菩薩になったような気分です(笑)。
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●苫米地英人(とまべち・ひでと)
1959年、東京都生まれ。脳機能学者、カーネギーメロン大学博士。祖父は元国会議員の故・苫米地英俊。脱洗脳のエキスパートして、オウム真理教事件の捜査に貢献。研究のかたわら、日本語入力ソフト「ことえり」の開発、「奇跡の着メロ」の開発、格闘技大会「THE OUTSIDER」の主催など、多方面で事業を展開。近著に『すべての仕事がやりたいことに変わる』『営業は「洗脳」』(小社刊)など。
【苫米地英人公式ブログ】<http://www.tomabechi.jp/>
●須藤元気(すどう・げんき)
1978年、東京都生まれ。99年にプロ格闘家としてデビュー、06年に引退するまでK-1を中心に活躍する。引退後は、拓殖大学レスリング部の監督に就任するなど後進の指導にあたる一方、作家やタレントとしても活躍、マルチな才能を発揮している。06年に刊行した『風の谷のあの人と結婚する方法』(ベースボール・マガジン社)は、19万部を超えるベストセラーに。
【須藤元気公式HP】<http://crnavi.jp/sudogenki/blog/>
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