「検察による言論弾圧か!?」週刊朝日編集長”検察から出頭命令”騒動の裏側
#事件 #週刊誌 #検察
先週、「『週刊朝日』の山口一臣編集長に東京地検から、(事情聴取のための)出頭要請があった」「捜査妨害で逮捕されるらしい……」といった情報がインターネット上を駆け巡り、大変な騒ぎになった。
ことの発端は、「週刊朝日」2月12日号でジャーナリストの上杉隆氏が書いた「検察の暴走ここまで 子ども”人質”に『恫喝』10時間」という記事。
そこには、東京地検特捜部の民野(たみの)健治検事が、逮捕された石川知裕議員の若い女性秘書に「押収品の返還があるから」とウソをついて呼び出し、夜の10時過ぎまで大声で怒鳴ったり、なじり続けたとある。女性秘書は子育て中で2人の子どもを保育園に預けている。そのお迎えの時刻になっても、民野検事は電話1本させず、秘書はパニック状態になり、精神に不安定をきたしてしまったのだという。
しかも、この女性秘書は被疑者でもなんでもない、事件とはまったく無関係の人であるにもかかわらず、民野検事は執拗に、「なんでもいいから、認めればいいんだよ」「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」などと罵声を浴びせ、女性が子どものお迎えがあるので、せめて電話させてほしいと懇願すると、「なに言っちゃってんの。そんなに人生、甘くないでしょ」などと言い放った、というのである。
この記事に対して、東京地検の谷川恒太次席検事が2月3日午前に、事実と違うことが書いてあるので抗議したいという理由で、「山口編集長にこちら(東京地検)へ来ていただけますか?」と「週刊朝日」編集部に電話をしてきた。しかし、山口編集長は、たまたま地方出張中で顔を出すことができなかった。代わりに、極めて独善的な「抗議書」がファックスで届いたのだった。
山口編集長は次のように言う。
「谷川次席検事は女性秘書を恫喝した民野検事の上司にあたる人物です。抗議書は、上杉さんの記事を『まったくの虚偽』だと断定していますが、谷川氏の抗議書の方こそ、まったくの虚偽であり、『ウソ』で塗り固められたものでした。なぜ、あんなウソの抗議をしてくるのか、あとで検察内部から聞いた話では、上杉さんの記事を読んだ一般読者から検察庁へ抗議の電話が殺到し、上級庁から『なんとかしろ』と言われ、わたしを呼びつけようということになったようです。ところが、その情報がツイッターを通じて爆発的に広がったため、『これは言論弾圧ではないか!』といった内容の抗議が、さらに数倍になって東京地検に返ってくることになったといいます。わたしは出張先で別の取材をこなしていましたが、東京の編集部には激励、応援の電話やメールなどが殺到し、部下は対応に追われて仕事にならなかったと言っています」
その後、東京に帰った山口編集長は、改めて東京地検の谷川次席検事に面会の電話をしたところ、こんなメッセージが返ってきたという。
「山口編集長に来庁していただきたいと連絡させていただきましたが、山口編集長が所用で来られないということでした。そのため抗議の意を速やかにお伝えするために、2月3日に抗議書をファックスで送らせていただきました。抗議書はすでにお送りしていますので、現時点でご足労いただく必要はありません」(東京地検)
さすがに、”鬼の東京地検”も懲りたようだ……。
(文=佐々木奎一)
やりすぎ!!
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