ついにあのアキバ系ライブハウスからメジャーアーティストが誕生!!
#アキバ
去る1月12日、東京・高円寺のライブハウスで、あるアーティストのメジャーデビューが発表された。彼女の名は、黒崎真音(くろさき・まおん)。東京・秋葉原にあるアキバ系ライブハウス「秋葉原ディアステージ」(以下、ディアステ)に所属する女性歌手である。
秋葉原の”オタク観光スポット”の一つにさえなっているこのディアステは、ただのライブハウスではない。併設されたカフェバーでは、所属アイドルたちがヲタク系のコスチュームに身を包み、日々ウエイトレスとして勤務、一旦ライブがスタートすると、彼女たち自らが1階にあるステージに立ってパフォーマンスを繰り広げるのだ。多くのファンが駆けつけ、いまやアイドルライブの定番ともなった「ヲタ芸」なども披露されるこのディアステは、いわば”総合萌えエンターテインメント・スポット”なのである。
「ディアステ・アイドル」=ディアガールの何人かは、インディーズではあるが、すでにCDデビューを果たしている。例えば、2人組ユニット「ピヨラビ」のデビュー曲「光のキャンベル」は、オリコンランキングの総合でデイリー15位、インディーズではウィークリー1位を記録、また、「うさぎのなみ平」のソロ曲「神様クレヨン」は、総合でデイリー9位を記録した。
つまりディアステージは、単なるオタクスポットにとどまらない、「アイドル登竜門」としての存在感を発揮しつつあるともいえる。
そんなディアガールのひとりが、上述した黒崎真音。
以前よりディアステで活動していた彼女は、モデル並のルックスとスタイルを持ち、およそアキバ系アイドルのイメージからは程遠い。しかも愛読書は「小悪魔ageha」(インフォレスト)だという、生粋のギャル。しかし、その一方でギャルゲー、乙女ゲームといった「濃い」オタク趣味を持つことを公言もしており、いわば彼女は、イマドキのハイブリッドなオタクだといえよう。
そして、そんな彼女のライブもまた、非常にハイブリッドなものとなった。
このライブはそもそも、黒崎のバースデーに合わせた形で開催されたワンマン・ライブ。彼女はダンス、アコースティック、バンドスタイルとさまざまなスタイルの曲を自在に歌いこなし、駆けつけたファンも、オタ芸と、パンク系のライブで見られるダイブ、モッシュが混在するという、これまた大盛り上がりを見せた。
「会場にいるファンのみなさんが楽しそうだと、私もさらにヒートアップするんです。そうすると、またみんなのテンションもどんどん上がっていく、その相乗効果がとても心地良くて」
と語る黒崎。いわば黒崎真音のライブは、彼女のパフォーマンスとファンの盛り上がりとが渾然一体となってこそ成立するものなのだ。
このライブのクライマックスに、「スク水社長」としてメディアに取り上げられることも多いディアステの名物女社長・喪服ちゃんによって発表されたのが、黒崎のメジャーデビュー。
いきなりのサプライズに、どよめくファン、泣き崩れる黒崎、そして「おめでとう!」というファンからの温かい声援。この構図は、ディアステにおけるアイドルのあり方を暗示している。つまり、ディアステのアイドルとファンは、感動も成功もすべてを共有するということ。ディアガールは、ファンと共に二人三脚で前進していく存在なのだ。
今後のディアステの展開について前述の喪服社長は、「黒崎以外にも、たくさんの女の子がディアステを通して面白い形でデビューしていく年になると思います。期待していてください」と語る。
昨今のAKB48やアイドル声優躍進の裏には、下積み時代から彼女たちを支えてきた熱心なファンの存在がある。レコード会社のゴリ押しと話題作りばかりが先行し、人気の実態がないアーティストも多い現在の音楽シーンにおいて、そのような根強いファンがいるというのは、それだけでも強力な武器。
ファンと共に旧態依然としたシーンに殴り込みをかけるアキバ系アイドルたちは、新たな市場を形成しうる開拓者となるのであろうか?
(取材・文=有田シュン)
●くろさき・まおん
1月13日、東京都生まれ。A型。ギャル雑誌「BETTY」(笠倉出版社)などのレギュラーモデルを務めると共に、力強い歌声とバンドサウンドを中心とした本人作詞・作曲による楽曲を引っさげ、ディアステのみならず都内各地で精力的にライブ活動を行っている。ジェネオン・ユニバーサルよりメジャーデビューが決定した。
500円です。
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