ヤマダ電機の激安快進撃の裏に法令不遵守と社員の酷使アリ
#ヤマダ電機
「他店より1円でも高い場合はお申しつけください」を謳い文句にする家電量販店。中小の量販店が閉店する中、熾烈な顧客獲得合戦を勝ち上がり、業界の頂点に鎮座するのはヤマダ電機だ。だが、その安売り現場の裏側では、よからぬ噂が囁かれている。
家電量販店業界では初めて、全国47都道府県のすべてに出店を果たし、売上高は8年連続で業界トップを維持しているヤマダ電機。都市型店舗「LABI」、郊外型店舗「Tech.Land」により稼ぎ出される額は、1兆8700億円(09年3月期)と「DeODEO」などを有する2位エディオングループの8030億円にダブルスコアをつけ、量販店業界ではまさに”独走状態”だ。
特に、近年は都心への出店が目覚ましく、09年10月には売り場面積2万3000平方メートルを誇る「LABI1日本総本店 池袋」がオープン。池袋という地区は業界3位のビックカメラの牙城であり、多数の量販店がしのぎを削ることから、”池袋家電戦争”とも呼ばれている。
そんな徹底抗戦を展開する両店をよそに、池袋に本社を置き、首都圏を中心に展開する「さくらや」は、2月末に全店舗の撤退を親会社のベスト電器が表明した。
「07年にLABI池袋ができたときから、客足が遠のき始めました。さらに、日本総本店の影響は計り知れないものがあります」
こう語るのは、さくらや池袋店の店員。郊外を中心に出店、拡大してきたヤマダ電機が、より都心へと方針を変えたのはLABI1号店を大阪に出店した06年。08年には渋谷にも進出している。その戦略が奏功したのか、「額は言えないのですが、ヤマダさんが出店する前の半分くらいの売り上げになりました」(ビックカメラ渋谷店店員)という声も聞かれている。
ヤマダ電機の進出がさくらやを閉店に追いやった……とは言い切れないが、近隣競合店の売り上げを食いつぶすほどの影響力があるのは誰の目にも明らかだ。そんなヤマダ電機の最大の強みは、大量仕入れによる”安さ”にある。激戦区、池袋のビックカメラの店員はこう見る。
「”家電戦争”ですから、ウチもヤマダさんに合わせた価格にするか、さらに安くする方針です。でも、ヤマダさんの広告の目玉になるような安い商品は、ワンシーズン前のものが多いんです。それはウチに在庫がないこともあるので、すべてに対応しきれていない」
(取材・文=辻口美枝/「サイゾー」3月号より)
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