お笑い評論家・ラリー遠田の『R-1ぐらんぷり』準決勝・東京 速報レポート!
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2月9日、新宿の全労済ホール/スペース・ゼロにて、ピン芸人日本一を決める「R-1ぐらんぷり2010」の準決勝・東京大会が行われた。この日は、予選を勝ち抜いた42人のピン芸人が会場に集結。テレビでおなじみの有名芸人からライブで活躍する若手まで、多彩な顔ぶれがそれぞれの持ちネタを披露していた。出場芸人のネタをジャンルごとに分けて、この日の模様を簡単に振り返ってみたい。
<フリップ芸>
やや広めの会場だったということもあり、フリップに描いたイラストで笑わせようとするスタイルの芸人は、全体的にやや苦戦している印象があった。描かれた絵が見づらいと笑えなかったり、見る側の集中力が削がれたりしてしまうからだ。
至高のフリップ芸で、昨年まで2年連続の決勝進出を果たしている山田與志(COWCOW)も例外ではなかった。彼が披露したのは、DJスタイルでリズムに合わせてフリップをめくっていろんなものを足し合わせていく、という独創的なネタ。毎年フリップ芸にさまざまなアレンジを加えていく手腕は見事だが、今年は会場の大きさが災いしたか、昨年の準決勝ほどの波を打つような大爆笑には至らなかった。
<漫談>
しゃべり一本の漫談でライブ序盤に客席を沸かせたのは、「R-1」ではすっかりおなじみのあべこうじ。話の構成と言葉の緩急のつけ方が絶妙で、会場中を自分の世界に引き込んでいた。また、妄想キャラでおなじみの鳥居みゆきも、今年は和服に身を包んで漫談を披露。「南アルプス鳥居」を名乗り、JAL再建問題などの時事ネタを縦横無尽に切って、新たな一面を見せていた。この日の最後に登場したのは、ハゲ漫談一筋のユリオカ超特Q。ハゲの悲哀をコミカルに訴える話芸で爆笑を起こし、見事にトリの大役をまっとうしていた。
<音楽ネタ>
音楽を使ったネタで印象的だったのが渡辺直美。今をときめく女性ミュージシャンたちの歌うときのクセを大げさに表現する物真似ネタを披露した。謎の怪芸人・ゴンゾーは、タンバリン片手に無言でひたすら踊り続けるという芸で大観衆の度肝を抜いた。また、昨年のファイナリストであるサイクロンZも、歌に合わせて動きをつける得意のネタで手堅く笑いを取っていた。
<すべり芸>
とにかく自信満々に堂々とすべり倒し、そんな自分の情けない姿を笑いに変える豪傑たち。この日はそんなすべり芸の達人たちの活躍も光っていた。代表的なのは、吉本の最終兵器・くまだまさし。宴会芸レベルの小技を迷いなくたたみかける怒濤の展開は、現代におけるすべり芸のお手本のような見事な出来だった。また、人力舎も負けてはいない。「アイドル目指して13年」のゆってぃが、ツカミの一言で「みんな、休憩だよ!」と言い放つ。最初から最後まで破壊力のある自虐ネタのオンパレードで観客を圧倒した。
<まとめ>
ここで取り上げた芸人は、出場芸人のうちのほんの一部である。決勝に上がりそうなほどの大爆笑を取った芸人に関しては、あえて取り上げなかったり、ネタの詳細に触れることは避けておいた。
誰が勝ち上がってもおかしくないと思えるくらい、かなりハイレベルな戦いが繰り広げられた東京の準決勝。10日の準決勝・大阪大会も、同じくらいの盛り上がりが期待できそうだ。
(取材・文=ラリー遠田)
●この日の参加者一覧・ネタ順
はいじぃ
井上マー
やまもとまさみ
こばやしけん太
渡辺直美
もう中学生
タッツィー
アナログタロウ
にしおかすみこ
あべこうじ
庄司智春(品川庄司)
友近
大重わたる(夜ふかしの会)
DJきーぽん
ウクレレえいじ
エハラマサヒロ
徳井義実(チュートリアル)
鳥居みゆき
Gたかし
長江もみ
メンソールライト
岸学
田上よしえ
長浜之人(キャン×キャン)
岩間よいこ(パルフェ)
井戸田潤(スピードワゴン)
鈴木つかさ
くまだまさし
天津木村
山田與志(COWCOW)
ゴンゾー
今泉
赤いプルトニウム
サイクロンZ
いとうあさこ
ゆってぃ
我人祥太
キャプテン渡辺
川島明(麒麟)
夙川アトム
天津向
ユリオカ超特Q
今年の栄冠は誰の手に?
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