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「鬱憤こそがアイディアに」元フジ名プロデューサーが語る『怒る企画術』

okoru.jpg『怒る企画術!』ベストセラーズ

 よく、上司に「アイディアを出せ!」と言われるけれど、どうしたらいいアイディアが出てくるか見当もつかない。企画を出しても出しても却下されるばかりで途方に暮れる。そんな経験、ありませんか?

 この『怒る企画術』(KKベストセラ-ズ)は、元・フジテレビのプロデューサーで、『笑う犬の生活』『トリビアの泉』『爆笑レッドカーペット』などの人気バラエティー番組を手がけてきた吉田正樹氏が、企画の挙げ方、企画の取り上げ方について記した新書だ。氏のテレビ業界での豊富な経験を元に、「あの番組では」「この番組の時は」と、ひとつひとつ事例を挙げながら、吉田流企画術を分かりやすく教えてくれる。上司、部下、両方の目線で語られているので、どちらの立場の人にも使える一冊だ。また、企画だけにとどまらず、マーケットの広げ方、仕事に対する姿勢、世の中を見る目など、吉田氏の考えをぎゅっと凝縮した内容となっている。テレビ業界の制作秘話も聞けて楽しい。

 ヒット番組を手がける一方、吉田氏は多くの失敗もしている。『笑う犬』ではウッチャンら芸人がコントをやる、というコンセプトであったが、視聴率が落ち込んできて番組後期にそこを曲げてしまった。結果、視聴率はさらに落ち、番組終了に至った。真正面からコントをやる、という番組の基本コンセプトがブレると、軸を失う。企画で一番大切なのは、軸、筋、コンセプトで、これらのないものはまず通らないし、問われたら説明できることが大切なのだという。

 また、『爆笑レッドカーペット』が生まれた背景には、”怒り”があったという。「出来レースなんじゃないか?」と疑うような、ある年の「M-1グランプリ」に対するアンチテーゼとして、「無名でも面白いヤツはいるんだぞ」という思いを『レッドカーペット』にぶつけた。腹立たしさ、怒りがアイディアを生む源泉となり、不満と憤りと嫉妬が人を育てるのだ、と吉田氏は語っている。変えたい、壊したいという思いを埋めるものこそアイディアなのだ。

 どんな仕事をしていても、企画がなければ新しいものは生まれない。現状に対して怒りを持っていたら、企画でぶつけてやろう。この『怒る企画術』はきっと、企画のことで頭を悩ませているあなたの前を照らしてくれることだろう。
(文=平野遼)

吉田正樹(よしだ・まさき)
1959年生まれ。東京大学法学部卒業後、フジテレビジョン入社。『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』のADを経て、『夢で逢えたら』『笑う犬の生活』『トリビアの泉』『爆笑レッドカーペット』などで企画、演出、プロデュースを行う。デジタルコンテンツ局業務時には、放送と通信の連携プロジェクトで『アイドリング!!!』のゼネラルプロデューサーやフジテレビのブログ事業の編集長を務めた。現在、ワタナベエンターテインメント会長、吉田正樹事務所社長。放送界だけでなく、ITベンチャーなどさまざまな分野でアドバイザーとして活躍中。

怒る企画術!

怒!

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最終更新:2010/01/28 18:00
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