格闘技バブル本格崩壊の序章なのか……栄華を極めた「格闘技通信」に休刊の噂
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格闘技専門誌の顔として長年、業界をリードしてきた「格闘技通信」が、2月で休刊になるという話が持ち上がっている。複数の格闘技関係者が、同誌に関わるスタッフから耳にしたという。
同誌は86年に月刊誌として創刊、90年代には当時の編集長、谷川貞治氏(現K-1代表)がK-1人気を後押しする形で月2回の発行となったが、一昨年からは部数の大幅減少で月刊誌に戻っていた。
就任した編集長の意向が雑誌の方向性に大きく反映される雑誌で、格闘技経験者の朝岡秀樹氏が編集長に就任した際は、やたらと選手サイドに向けたマニアックな内容に変わり、その延長で八百長試合を挑発する「ノーフェイク」を標榜して、PRIDEから取材拒否を受けたこともあった。
その後、PRIDEの崩壊とともに近年の格闘技ブームが下降線を辿り、ライバル誌が次々に休刊となる中でビジュアル重視のリニューアルで生き残ろうとしたが、部数の減少は止まらず、関係者によると「さらに広告もなかなか入らなくなって、最低限の採算も厳しい様子」だという。
同誌の繁栄期に記者デビューしたフリーライターによると、「格闘技ブームのときは僕らの収入も凄まじかった」と回顧する。
「何しろ、格闘技の仕事だけで月100万円近くになったんですから。その中で最も『格通』からの仕事が多かったんです。ページあたりの原稿料は一般誌と比べても良かったですし、それに格闘技団体からこっそり渡される謝礼もバンバンあったんですよ。ぶっちゃけ、ワイロですね。それを貯めて数年で家が建った記者もいた時代。特に『格通』で書かれることは団体側にとっても魅力的だったんで、記者の間ではいかに美味しい思いのできる団体に可愛がられるか、がポイントでした。正直、ひどい試合内容でも褒めまくった記事を書いたこともありました(笑)」(前同)
しかし、そんな天国も長くは続かなかったわけだ。
「フリーライターに依頼する仕事量が激減して原稿料も下がり、そのうちに『格通』からの仕事依頼はほとんどなくなりました。今では妻の収入がないと食えない状態で、昔、選手からもらったお宝グッズもネットオークションで売りました。もちろん団体からの謝礼なんて皆無。それでも、大好きな格闘技をいくらでも無料観戦できるんで、記者は辞めたくないんですけどね……」(前同)
格闘技バブルが弾けたという印象だろうか。最近では、編集者も社員ではなくアルバイト採用された者が多いと聞く。実際のところ休刊は本当なのか、同誌の編集部に問い合わせてみたが「上の者がいないので分からない」と頼りない応答しかなかった。しかし、ベースボール・マガジン社によると「現時点でそのような予定はない」と、現在のところ公式には休刊を否定している。
これでひと安心できるかどうかは微妙だが、いまも愛読し続ける格闘技マニアたちにとっては気になるところではある。
(文=小田美代)
出るか、3月号。
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