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「アイマスMAD」わかむらPインタビュー

トップクリエイターが語る「ニコニコ動画」と「商業」の未来(後編)

wakap.jpg残念ながら顔出しはNGでした。

■前編はこちらから

――業界が崩壊したあとじゃ遅い。

わかむらP そう。それに業界が崩壊しなくても、ニコニコ上がりの新人はその価格でいいんだ、という暫定レベルになったとしても、その人たちがいつちゃんとした給料をもらえるようになるの? という、結局は自分のクビを締めることになりますよね。だから音楽を本気でやりたいと思ってるんだったら、本当にちゃんとした金額を請求しないとダメなんです。最初は新人金額でもいいんだけど、いつまでもニコニコ価格とか、タダでいいや、とかやっていると、本当に痛い目を見ると思うし、どんなに売れてもバイトしながらじゃなきゃ音楽できなくなるとか、そういう悲惨なことになるので。

――音楽でも映像でも、ギャラの相場ってみんな知らないんですね。


わかむらP ググっても分からないし、知らないですよね。「ギャラっていくらで請求すればいいんですかね」って相談をされたことがあって、「こんなもんじゃない?」と先方に下げられる前提の価格を言ったら、「やばい、ケタが1つ違う」とか言っていて。「ダメだよ、そんなケタ1つ違う額なんかで請求しちゃ」と。

──それはわかむらさんが言った額より下だったということですよね。

わかむらP そう。特に買い取り(権利移譲)でその金額だったら尚のこと、それはちょっと……と。買い取りじゃなくて印税だったら、また別なんですけどね。それにしてもマスタリングもレコーディングも自分ですることもあるわけだから、そこはしっかり取らないといけないんですよ。

●プロが「ニコニコ動画」で作品を発表する理由

――わかむらさんは本職と趣味で、同じようなことをされてますが、飽きませんか?

わかむらP 中毒なところがあって、Adobeのソフトの立ち上げ画面を見てるだけで気持ちが安らぐんですよね(笑)。常にモノ作りはしていたいというか、自分の中で1人でいる時間、空白の時間が何かしら生産に結び付かないと枯れていくんじゃないかと思うようになって。アイマスMADもその欲求のはけ口なんですね。だから仕事も趣味も辛くないんですよ。むしろ手を止めていることが怖くて。

──実際のアイドルのPVを作りたいと思ったりは。

わかむらP やってみたいとは思うし、実際ちょっと携わらせてもらったこともあったんですけど。お金が発生しちゃうと急に冷めた商業的な目線になってしまって。「その予算内だとコレしかできない」とか、すごく厳しいことを言ってしまったりするんですよ。だから楽しくなくなっちゃうんですよね。

──では、今後も「ニコニコ動画」でMADを作り続けていく。

わかむらP 今はニコニコ動画でやれることを追い求めている状態なんですよね。これまではお金をもらってしまったら出来ないことを、アイマスでやっていたわけですよ。でも、「WAKAMURA RECYCLE VOL.03」でそれをやりつくしてしまったところがあるんです。ただすごい動画だけを作るのでは、満足できないし……。今は、次に何やろうかなって、それを模索しているところなんです。持ってる技術と時間と手間を惜しみなく注いで、何かありえないものをやりたいんですよね。

──まさに、才能のムダ遣いですね。

わかむらP それです、それ! でも最近のニコ動は「ムダ遣い」じゃなくなってきちゃったんですよ。それがちょっとイヤですね(笑)。
(取材・文=ノトフ)

●関連リンク
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最終更新:2010/01/09 15:00
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