読後の二日酔いにご注意!? 生粋の飲兵衛編集長が出した酔っ払い本
#本
酒好きにとって、一人で落ち着いて飲める店が一軒増えるだけで人生が幸せになるものである。その一方で「最近の若いやつらは、酒飲まない、車に興味ない、風俗に行かない。何が楽しいんだ?」と、居酒屋の隣席から中年男のぼやきが聞こえてくるご時世。
そんな中、酒飲みの酒飲みによる酒飲みのためだけの本『大竹聡の酔人伝』(双葉社)が出た。大竹聡氏といえば、早大を卒業後、出版社や広告代理店、編集プロダクションなどを経て、2002年に酒とつまみについて酒好きが好き勝手書き散らすミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊。まんまのタイトルと内容が業界人の間で話題になり、深夜番組の『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)で紹介されてプチブレイク。現在発売中の12月号はミニコミとしては異例の1万部を発行し、もはや月刊「サイゾー」の発行部数のウン分の一にまで肉薄(?)する非常事態となっている。
今回の『酔人伝』は、「週刊大衆」(双葉社)に連載された日々の酒飲みコラム「飲めよ歌えよ酔人伝」を加筆修正して一冊にまとめたもの。それにしても、メジャー週刊誌が、なぜミニコミ誌編集長の「飲んだくれ日誌」を掲載していたのか?
「『週刊大衆』編集部に『酒とつまみ』を読んでくれている奇特な若手編集者がいて、その人から、何か書いて欲しいという話をいただいたんです。最初は、日々酒を飲む中でうまかったつまみ一品を紹介するコラムを書かせてもらい、その連載が1年を迎えたとき、1ページもののエッセイに衣替えしていただきました。焦りましたね。オレに務まるのかと。でも、だからこそ、それ以前にも増して、頭おかしいんじゃないかと思われるくらい飲みました」(大竹氏)
それゆえ、本書には飲みに飲んだからこその収穫が満載。バーでの飲み方を教えてくれた銀座の名物バーテンダーとの別れや、若きバーテンダーが故郷へ帰る前に一緒に飲み歩いた下町酒場巡り、中学の恩師と飲み屋で語り合った32年前の青春の思い出など、酒飲みであれば「あるある!」と言いたくなるような、飲兵衛の琴線を揺さぶる酒にまつわる深イイ話が軽妙なテンポで綴られている。
「酔って記憶がすっ飛んだ状態で乗る電車を、”ブラックアウトエキスプレス”と呼んでいるのですが、そのエピソードについて書いた2話は自分でも気に入っていますし、人に話してもウケがいいような。”笑ってくれているのは、バカにされている”ということかもしれませんけど。まぁ、この本は、『酒とつまみ』同様、決して誰かの役に立つ本じゃないですが、好きで飲む、というそれだけのために、これだけのエネルギーを費やしているというバカバカしさに共感していただけますと幸いです」(同)
酒を飲むのと同様、本書を読むのに意味を求めてはいけない。忘年会や新年会シーズンにおすすめの、バカになるほど酔っ払うための本なのである。
(文=浮島さとし)
飲んで飲んで飲みまくれ!!
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