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不良の格闘技【THE OUTSIDER 第9戦】レポ(前編)

100万円争奪トーナメント 優勝は魔璃闇薔薇元総長”格闘彫師”吉永啓之輔!!

tos09_01.jpg今回も、ヤバイやつらが勢ぞろい!

 勝つのはどいつだ!?──リングス・前田日明が主催する不良系アマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER(ジ・アウトサイダー)第9戦」が師走の東京・ディファ有明で開催され、65-70kgトーナメントの準決勝と決勝が行われた。その詳しい経過と結果は他媒体の報道にお任せして、日刊サイゾーではトーナメント決勝の舞台裏ならびに、他のワンマッチで目立っていた選手の動向をレポートしたい。

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●65-70kgトーナメント決勝戦

“第4回大会MVP リアル神代ユウ”
佐野哲也(静岡・27歳)
 vs
“北関東最強暴走族 魔璃闇薔薇元総長 格闘彫師”
吉永啓之輔(栃木・26歳)

 因縁の対決が、決勝戦で実現した。この二人、約1年前の初顔合わせでは、佐野が試合終了1秒前に劇的なTKO勝ち。「プロアマ含め、この5年ぐらい見た中で一番いい試合だった」と前田日明に言わしめた。その両者がトーナメントを勝ち抜いて、大トリの決勝という最高の舞台で再戦することに。

 結果は吉永のTKO勝ち。ダウンを二度奪う完勝で、1年越しのリベンジを果たした。

 試合後の両者に話を聞く。まずは、敗れた佐野から。

──1年ぶりに戦った吉永選手の印象を。

「強かったですね。確実に強くなってました。スタンドで差がありましたね。グランドはいけると思いましたが、打撃がとにかく的確でした」

──気持ちで押された部分は?

「ヒザ蹴りでダウン食らった後に、心が折れてしまいました。情けない。ホントに情けない」

tos09_04.jpg決め手となったヒザでのダウン。このダメージから
立ち上がった佐野にも大きな拍手が送られた。

──これまでダウンをしたことは?

「たぶん初めてですね。試合では」

──試合後、吉永選手とどのような会話を?

「僕が言ったのは『ヒザが効きましたよ』と。彼が言ったのは『今度は俺が勝った』と」

──またやろう、とは言わなかった?

「それはまだ言えないですね……。1勝1敗といっても、今度は完璧に負けましたからね。完全に差があったので、今はそれを認めるしかないですよ」

──今後、アウトサイダーへの参戦は?

「ダウンしちゃったし、仕事も忙しいので、次回は休みます」

──疲れましたか?

「そりゃ、疲れますよ。1日2試合やってみてくださいよ! まあ無理でしょうけど」

──結果は残念でしたが、面白い試合でした。

「ありがとうございます! その言葉が一番うれしいですよ」

 かねてから「勝ち負けよりも、お客さんが喜ぶ試合をやりたい」と語っていた佐野。厳しいトーナメントを勝ち上がり、宿敵・吉永との決勝を実現させただけでも、その命題は十二分に果たしたと言っていいだろう。

tos09_05.jpg勝ち名乗りを受けても表情を崩さない吉永。渋いです。

 さて、そのころ優勝した吉永は、控え室で大勢の記者に取り囲まれ、インタビューを受けていた。勝って当然との思いがあるのか、はたまた喜びを噛み殺しているのか、その受け答えは終始淡々としていた。

──決勝戦は完勝でしたが、何か特別な佐野対策を?

「トーナメントだから、誰と当たるか分からないじゃないですか。だから、特に」

──佐野選手と決勝でやりたいと思っていた?

「向こうが挑発してくれていたんで、モチベーションが高くなったというのはありますね」

──去年の佐野戦の敗北がバネになった?

tos09_06.jpg吉永には賞金100万円が贈られた。

「佐野君に負けたのだけが悔しいと思ってやってないんで。秀虎君にも負けてるし。とりあえず、誰にも負けたくない、って思いでこのトーナメントに賭けてましたね」

──佐野選手は「最初のダウンで心が折れた」と言ってました。

「僕の気持ちが勝っていたから、試合に勝てたと思ってます」

──優勝賞金100万円の使い道は?

「みんなに恩返ししなくちゃいけない。いろいろサポートしてもらったんで」

 浮かれたそぶりはほとんど見せず、会場を後にした吉永。この晩、東京には留まらず、地元・栃木の祝勝会へ直行したというから、そこで喜びを爆発させたのかもしれない。

IMG_7757.jpgTHE OUTSIDER 第9戦 ポートレート【01】
吉永啓之輔選手(撮影/水野嘉之)

IMG_7757.jpgTHE OUTSIDER 第9戦 ポートレート【02】
佐野哲也選手(撮影/水野嘉之)

tos09_07.jpg宿命の対決となった土橋(左)と渋谷(右)

“リアル刃牙”
渋谷莉孔(東京・24歳)
 vs
“ヨコハマ・メタルシティ 陵辱のバッドチューニング”
土橋政春(神奈川・27歳)

 これまた因縁の一戦だ。シングルマッチで対戦することになった渋谷と土橋は、かつては親友同士だった。だが、何かのきっかけで関係がこじれてしまったようだ。9月12日付の土橋のブログには「やっぱり渋谷くんとは仲良く出来ねぇ。一回思い切りやり合わないとスッキリしない」との記述。いったい何があったのか? 試合前、土橋に話を聞いた。

──なぜ渋谷選手と仲違いしたのでしょう?

「具体的には言えないけど、彼のことは嫌いじゃないですよ。好きだから、殺すんです」

──渋谷選手からの指名試合だが。

「僕もビックリしましたよ。しばらく連絡取ってなかったのに、いきなり彼がブログ上で対戦要求してきたから」

──「なぜ俺と?」と聞きました?

「ええ。でも、教えてくれなかったんです。なんかうまく濁されちゃったんで、今日の試合が終わったあと、じっくり聞こうと思います。とにかくお互いのモヤモヤしたものを試合で全部出し切って、早くスッキリしたいですね。アナルセックス!」

tos09_08.jpg土橋のバックブローが空を切るたびに会場からは
どよめきも。

 しかし、試合は不完全燃焼に見えた。ともに持ち味を出し切れず、ドローの判定。客席からは落胆のため息も漏れた。

 試合後の土橋に話を聞く。

──スッキリしましたか?

「まあ、一応は。向こうはもう一回やりたいみたいですけど、僕はここ2カ月ぐらい、あいつのことが頭の7割ぐらいを占めていて、ホモみたいになってたんで……。しばらくは渋谷の『し』の字も考えたくないかな」

 一方の渋谷にも話を聞く。

──モヤモヤは晴れましたか?

「スッキリはしてないっす。1年後またやるつもりっすよ」

──そもそも、何の因縁があるのか?

tos09_09.jpgドロー判定に両者とも浮かない顔。

「それは言わないほうがいい。向こうも分かってるはずだし」

──試合の反省点を。

「自分からもっといけばよかった。何を迷っていたんだろう、って。スタミナも残っていたのに、相手を見ちゃった。怖かった部分も多少はあった」

──1年後に再戦が実現したら?

「次は相手にならないんじゃないすか」

──向こうが上、という意味ですか?

「いや、俺のほうが上にいってるに決まってるでしょ!」

 ルックス、言動、演出力は、プロ顔負けと言えるふたり。残された課題は、勝負師としての「決定力」か。
(後編につづく/取材・文=岡林敬太)

IMG_7757.jpgTHE OUTSIDER 第9戦 ポートレート【03】
渋谷莉孔選手(撮影/水野嘉之)

IMG_7757.jpgTHE OUTSIDER 第9戦 ポートレート【04】
土橋政春選手(撮影/水野嘉之)

ジ・アウトサイダー 第六戦

今一番面白い格闘技

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最終更新:2009/12/25 18:00
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