“3D映画元年” 巨匠キャメロンが満を持して挑むSF大作『アバター』
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『タイタニック』でアカデミー賞の作品賞を含む史上最多11部門受賞(『ベン・ハー』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』が同様に11部門でタイ記録保持)、全米興行収入6億ドル、全世界興行収入18億ドルでともに史上最高記録を打ち立てたジェームズ・キャメロン監督が、同作以来12年ぶりに手がけた劇場長編作『アバター』が12月23日に公開された。おそらく、これほど”満を持して”という表現がぴったりな映画はなく、世界中が固唾を呑んで待ち構えたその出来栄えを、映画館で確かめない手はない。
舞台は22世紀、地球から5光年離れた神秘の星パンドラ。下半身不随の元海兵隊員の青年ジェイク(サム・ワーシントン)は、事故で急死した一卵性双生児の兄が携わっていた<アバター・プロジェクト>に代わって参加するため、パンドラへやってくる。パンドラには有毒な大気がたちこめているため、人類は星の先住民族ナヴィと人間との遺伝子を融合させた分身<アバター>を作り出し、その肉体に意識をリンクさせて遠隔操作することで、その星での活動を可能にした。ジェイクは遺伝子情報が兄と近いために、兄のアバターを操作することになったのだ。
パンドラの地中には、地球に持ち帰れば膨大な富を生む特殊な鉱石アンオブタニムが眠っており、その鉱石を求めて資源開発企業RDAと彼らを護衛する軍隊が駐留。ジェイクは先住民を立ち退かせるために、彼らの信頼を得ることを命じられる。アバターを操作することで不自由だった肉体から解放され、自らの脚で歩く喜びを噛みしめるジェイク。任務に成功すれば、報酬として高い手術費が必要とされる脚の治療も受けられる約束だったが、ナヴィ族と交流し、パンドラの神秘に触れるにつれ星を守ることの大切さを認識していき、さらに運命的な出会いを果たしたナヴィ族の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋に落ちたことで、ジェイクは地球とパンドラとの間で苦悩する……。
キャメロン監督といえば、『タイタニック』撮影時は原寸大のタイタニック号を建造し、船室の様子までも詳細に調べ上げて再現したというのは有名な話。製作費は膨大な額になり、製作中から「こんな映画は”沈没”する」と揶揄されたが、結果は史上空前の大ヒットとなった。そんなこだわりまくりの巨匠キャメロンが、今度は船どころか「星」を丸々創ってみせたのが、この『アバター』だ。14年前から構想し、天文学者や地質学、植物学、動物学、文化人類学、言語学などあらゆる知識人から意見を求め、独自の生態系を創出。ナヴィ族の言語まで新たに作り上げた。映画本編からも、その”パンドラ愛”はひしひしと伝わる。ジェイクが目にする見たこともない生物や光景、ナヴィ族の文化、文明……次々と現れるパンドラの神秘的な姿に圧倒され、魅了されていく主人公ジェイクの姿は、そのまま観客のそれと重なる。観客は主人公を通して、パンドラという未知の星を発見していくのだ。
その発見の旅を助けるのが、最新のデジタル3D技術。『アバター』は本格実写3D映画として製作されており、通常の2D版での上映もあるが、やはりその真髄は3D版を見て楽しみたい。2009年は「3D映画元年」と言われ、多数の3D映画が登場したが、『アバター』は、これまたキャメロンが本作のために独自に開発した新技術を導入。格段に向上した”奥行き感”が圧倒的で、スクリーンに引き込まれる感覚が味わえる。この『アバター』の登場によって、ハリウッド映画の3D化が加速していくことは既定路線で、スティーブン・スピルバーグやピーター・ジャクソンといった大物監督たちも、今後、キャメロンの3D技術を使った新作を製作予定だ。
これまでの3D映画は、ファミリー向けアニメやティーン向けのホラーなどが大半だった。まだ3D映画を見たことがないという大人の観客に、『アバター』で”3D映画初体験”をしてもらいたいもの。ちなみに映画館で前方寄り、後方寄りなど座る位置の好みは人それぞれだが、3D効果をもっともよく受けるためには、心持ち前方寄り、そして通路側よりも中央寄りに座席を確保したほうがいいかもしれない。スクリーンに近いほど、その中に”入り込む”感覚が如実に生まれるはずだ。
『アバター』
<http://eiga.com/movie/53184/>
『アバター』特集
<http://eiga.com/official/avatar/>
あれから12年……
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