アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』
#サブカルチャー #小明 #突撃取材野郎
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第1回は、サブカルアイドルの小明ちゃんと一緒に濃厚マニアスポット・中野ブロードウェイに突撃!
「まんだらけ」をはじめとして、アニメ、アイドル、映画、エロ……等々サブカルかつマニアックな店舗がしこたま入っている複合商業施設・中野ブロードウェイ。同じオタク系スポットでも、秋葉原が「クールジャパン」なんつって比較的ポップな存在になっていってるのに対し、中野ブロードウェイは依然アングラ感ビンビン。ニート、童貞、バンドマン、劇団員……歩いている人の半分は社会不適応者という、とってもハードコアな、まさにサブカル魔窟と呼ぶにふさわしい場所なのだ!?
そんな中野ブロードウェイにはボクもしょっちゅう行ってるのだけれど、今回はもっと詳しい人と一緒に行ってグッと立派なサブカル人に近づきたい。……ということで、『のせすぎ!中野ブロードウェイ』(辰巳出版)というガイドブックの執筆に参加している中野ブロードウェイ通にしてサブカルアイドルの小明ちゃんと共に NBW(中野ブロードウェイのことをこう略すとナウいらしいぞ)を徘徊してみたいと思う。
■中野どころか日本でも随一のカルト書店「タコシェ」
「えーっと、小明ちゃんオススメのお店ってどこなの?」
「タコシェ! タコシェ!」
「ああー……」
タコシェとは、自主制作の本や、普通の本屋が完全スルーするであろうマニアックな本しか置いていないというハードエッジな本屋さん。しかもそのラインナップは、いわゆるサブカル系の書籍から死体写真集、食糞マニア向け漫画、ホモ・ミニコミ誌……と、すさまじい偏り方をしているNBWの中でも随一のカルト・スポットなのだ。
「ほれほれ、私の本も置いてあるんですよ!」
ゲイとスカトロに挟まれた自らの著書『アイドル墜落日記』を嬉しそうに指さす小明ちゃん。普通のアイドルだったらリストカットしかねない状況だと思うけど……。それがサブカル・アイドルってヤツなのかい?
「私、タコシェさんにはとにかくすごく通っていて……。アイドル活動をするに当たっても『タコシェで一日店長をする』というのが目標だったんです! それが今年実現出来てホント嬉しかったですね」
アイドルの目標ってもっとこう……あんでしょ、紅白出るとかオリコン1位取るとかさぁ。そんなことをモーレツに思いつつも、横山まさみち先生のお色気漫画『やる気まんまん』ピンバッジを嬉々としながら選んでいるアイドルを前にして何も言い出せないボクであった。
■中野ブロードウェイはある意味パワースポットだよね
さて、NBWのすごいところは、「タコシェ」や「まんだらけ」のように分かりやすいサブカル・オタク系だけではなく、ちょいとうさんくさいスピリチュアルやオカルト方面までカバーしているということ。占いとUFO、UMA関係の書籍のみを取り扱う古本屋「大予言」なんてモロそうだし、自分のオーラが写り込んだ写真(Photoshopがあれば3秒で作れそう)を一枚3,000円也~で撮れる写真館なんかもある。そんな中、ものすごく気になったのがこのパワーストーンのお店。
なんつっても入口にいきなり安達祐実の母ちゃんの写真が飾られているのだ。なんでもこのお店では、著名人たちがストーンを組み合わせて自らデザインしたアクセサリーも売られているんだとか。
「安達有里さん(安達祐実の母ちゃん)も自分でアクセサリーを作って、直接お店まで持ってこられてるんですよ」
制作ばかりか納品まで自分でやっているとは……超DIY! マメだなぁ、母ちゃん。
「このストーンを買ったら子供を芸能界に入れて大儲け出来そうですね!」と、一流芸能人の母パワーにあやかろうと少々テンション高めな小明ちゃん。確かにある意味パワーありそうだけど……。その後、自分が整形しまくってAVに出るハメになるかもしれないけどねぇ。
■中野ブロードウェイはサブカル人間交差点だ……
「ちょっと聞きたいんですけど、北村さんって私のことアイドル扱いしてないですよね?」
「え……えーっと、えーっと……(はい、ちょっとイカレた女子だと思ってます)」
「ちょっと待ってて下さい。私がアイドルだって証拠を見せてあげますから!」
そう言うと、意気揚々とアイドルグッズ屋・TRIOに駆け込んでいく小明ちゃん。ここはレアな写真集から、アイドル雑誌のバックナンバーまで揃いまくっているマニア垂涎のショップ。どうやら自分が過去に載ったアイドル雑誌を探してボクに見せつけようという魂胆らしい。そう言われてみれば、小明ちゃんのブリブリなアイドル時代の写真なんて見たことないからちょっと見てみたいかも。
「この辺の雑誌に載ってた記憶があるんですけどねぇ……」
はりきって自分のグラビア探しをはじめたものの、マイナーなアイドルの悲しさか、表紙にズドーンと載っているわけではないので捜索にかなり手こずっている様子。そうこうしている内にさすがアイドル・マニアが集うTRIOの客、目ざとく小明ちゃんの存在に気づいたらしい。
「あ、あれ小明じゃねえ?」
「まっさかー。なんでアイドルがこんなところでアイドル雑誌漁ってるんだよ」
……うん、まあファンからしたら、こんなところで地べたに座り込んで雑誌を漁っているアイドルなんてUMA級に信じられない存在でしょうな。もういいよ、小明ちゃん! 恥ずかしいから帰ろう。タイツ真っ黒になっちゃってるし……。
「いや、確かこの号に載ってるハズなんですよ。もうちょっと待って下さい」
異様な雰囲気を放ちながら古雑誌をディグりまくるアイドル。ざわつきながらそれを取り巻く客。そしてなんだかもう居たたまれない気持ちになっちゃってるボク。そんなサブカル地獄無間地獄に巻き込まれながら、あまりにもディープな中野ブロードウェイの世界を思い知ったのであった。
(文・イラスト=北村ヂン)
小明さんはボイラー室をレポートしています。
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