洋画不況も世界不況もデップが救う!? 伝説の銀行強盗逃亡劇『パブリック・エネミーズ』
#映画 #洋画 #ジョニー・デップ
洋画不況が続き、今や貴重な存在になった”名前で観客が呼べるスター”のひとり、ジョニー・デップ。彼の主演最新作『パブリック・エネミーズ』が公開中だ。公開直前の12月8日~10日、デップは2年ぶり6度目の来日を果たし、空港到着の模様や記者会見、プレミアイベントの様子も大きく報じられた。
映画ファンにはるか以前から知られていたデップだが、日本でもこうして広く浸透したのは、やはり『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)以降だろうか。同作が興行収入68億円の大ヒットを記録し、デップ自身もアカデミー主演男優賞にノミネートされた後は、『チャーリーとチョコレート工場』(05)が53.5億円、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(06)で大台突破の100.2億円、『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(07)は109億円、そして『スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師』(08)もR-15指定というハンデがありながらも20.5億円と、きっちりと合格ラインをクリア。
良質な作品でも、市場ではなかなかウケにくい人間ドラマの『ネバーランド』(04)も11.0億円と、まずまずの成果を上げ続けている。デップのスター性は、今や洋画配給会社にとってはありがたいもの。今回もやや渋めな作品で、一連の『パイレーツ』シリーズやティム・バートン作品のような派手さはないが、そんななかでデップのスターパワーがどれだけ通じるか期待したいところ(もちろん、映画の評価は興行成績だけで決まるものではないのだが)。
本作でデップが演じるのは、アメリカの伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャー。1933年、大恐慌に揺れるアメリカで銀行から次々と金を盗み出し、逮捕されても刑務所から鮮やかに脱獄してみせた彼は、設立間もないFBIから”社会の敵(パブリック・エネミー)No.1″と認定された犯罪者。しかし、国民生活の崩壊の要因となった銀行から”奪われたものを奪い返す”デリンジャーの姿は、不況に苦しむ米国民にとっては、半ばヒーロー視され、喝采を浴びた。デリンジャーはまた、「汚れた金しか奪わない」「仲間は決して裏切らない」「愛した女は最後まで守る」といった彼なりのルールを持ち、常にそのルールに基づいて行動した。その”信念の男”としての姿も、多くの人々を魅了した。
デリンジャーはやがて神秘的な美女ビリーに出会い、彼女を一生愛し続けると誓う。ビリーもまた、会ったばかりの自分を信用し、銀行強盗という正体を正直に告白してくれたデリンジャーに惹かれ、2人は強い愛情と信頼で結ばれていく。しかし、デリンジャー逮捕に威信を賭けるFBIの追及は日に日に強まり、デリンジャーとビリーの逃避行は続いていく。
監督はマイケル・マン。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの対決が熱い『ヒート』(95)、再びアル・パチーノを起用し、ラッセル・クロウと対決させた『インサイダー』(99)、ウィル・スミスがモハメド・アリを熱演した『ALI アリ』(01)、トム・クルーズが非情な悪役に徹した『コラテラル』(04)など、筋の通った男の生き様やドラマを撮り続けてきた名匠で、今回もデップはもちろん、彼を追うFBI捜査官役に『ダークナイト』(08)『ターミネーター4』(09)のクリスチャン・ベールを配役し、見ごたえのある男のドラマを展開。また、ヒロインのビリー役には『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(07)でアカデミー主演女優賞を受賞したマリオン・コティヤールが出演。どんな苦難にあっても「守り続ける」と誓った男と、その男を「信じ続ける」という女の逃避行は、女性もグッとくるに違いない。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)
『パブリック・エネミーズ』
<http://eiga.com/movie/53851/>
『パブリック・エネミーズ』ジョニー・デップ、クリスチャン・ベール、マイケル・マン監督インタビュー
<http://eiga.com/movie/53851/special/>
個人的にはこれが好き
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