テレビシリーズに残された数々の謎が明らかに! 劇場版『東のエデン』
#映画 #アニメ #邦画 #ノイタミナ #東のエデン
『ハチミツとクローバー』や『のだめカンタービレ』『もやしもん』『墓場鬼太郎』などを放送して人気のフジテレビ木曜深夜アニメ枠”ノイタミナ”で、今年4月~6月に放送された『東のエデン』の劇場版『東のエデン 劇場版I The King of Eden』が、現在公開中だ。
メイン館の東京・テアトル新宿の初日は全回満席、立ち見も出る盛況ぶりで、同館の初日動員記録を更新した。今年は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』が興行収入40億円を超える大ヒット、また『時をかける少女』の細田守監督3年ぶりの新作『サマーウォーズ』も動員100万人を超え、4カ月に及ぶロングランを実現して存在感を見せつけたが、まだまだ面白いアニメはある。新しいアニメをお探しなら『東のエデン』がオススメだ。
今回の劇場版(2部作)は、テレビシリーズ全11話の続編。テレビシリーズはテレビシリーズで完結しているが多くの謎を残しており、それらの謎が劇場版で解明されるという。
そもそも『東のエデン』とはなんぞや? という人に、まずはテレビシリーズの紹介から。舞台は現代の日本。2010年11月22日(月)、日本各地に10発のミサイルが落ちたものの、一人も死傷者が出なかった謎のテロ事件”迂闊な月曜日”が起こってから3カ月後。卒業旅行でアメリカにやって来た大学生・森美咲は、ワシントンD.C.のホワイトハウス前で、全裸に銃と82億円の電子マネーがチャージされた携帯電話だけを手にした記憶喪失の青年・滝沢朗と出会う。
やがて滝沢の持つ携帯電話が、”ノブレス携帯”と呼ばれる特殊なものであることが判明。もともとは100億円がチャージされていたノブレス携帯は、”Mr. OUTSIDE”なる謎の人物が選んだ12人の”セレソン”と呼ばれる人々に託されたもので、ノブレス携帯を手にした各セレソンは「この国(日本)を正しき方向へ導く」という任務を強制的に課せられている。任務を果たせず100億円を使い切ってしまった場合や、任務を果たそうとしていないとみなされたセレソンは、12人の中に1人だけ紛れ込んでいる正体不明の”サポーター”に消滅させられてしまう。
自分がセレソンの1人であることを知った滝沢は、なぜ自分が記憶を失ったのか? 自分は日本を救うために何をしようとしていたのか? また”セレソンゲーム”と関連している”迂闊な月曜日”の真相は? それらの謎を求めて動き出すが……。
『劇場版I』はテレビシリーズ終了から半年後が舞台。テレビシリーズで一部の記憶を取り戻した滝沢が再び記憶を消し、咲の前から姿を消す。そもそも「滝沢朗とは何者なのか?」という主人公の出生の謎にも迫りつつ、セレソン同士のゲームのあがりを賭けた駆け引きが次々と展開する。テレビシリーズからの伏線が解かれたと思えば、また新たな謎が謎を呼ぶという展開で目が離せない。物語の大半がニューヨークで繰り広げられるという点でも、テレビ版からのスケールアップも図られている。
監督は、テレビシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』などで知られる神山健治。脚本を綿密に練り上げることで知られる神山監督は、『攻殻』シリーズでも薬害訴訟や難民問題、高齢化社会など現実の社会問題を巧みに脚本に取り込み、骨太なストーリーを展開した。『東のエデン』はテレビシリーズ、劇場版を通して「この国の”空気”に戦いを挑んだひとりの男の子と、 彼を見守った女の子のたった11日間の物語」とされており(テレビシリーズで8日間が描かれ、残りの3日間が劇場版)、現在の日本が抱えるニート問題も取り入れて、不要なものを切り捨てようとする日本に対する疑問を投げかける。また、コミックや小説の映像化ではなく、オリジナル作品であることも注目に値する作品だ。
まずはテレビシリーズを見ていることが前提となってしまうが、1話が正味20分の全11話なので、年末の休暇の娯楽にもちょうどよい。キャラクターデザインを『ハチクロ』『3月のライオン』の羽海野チカが担当しているから、女性でもとっつきやすいはずだ。配給するアスミック・エースによれば、劇場には女性、カップルの客層も多いという。上映劇場数がまだまだ少なく、『ヱヴァ』や『サマーウォーズ』ほどとは言わずとも、今後の広がりを期待したい。完結編の『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』は2010年3月に公開される。
(文=eiga.com編集部・浅香義明)
『東のエデン 劇場版I The King of Eden』
<http://eiga.com/movie/54525/>
『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』
<http://eiga.com/movie/54697/>
『東のエデン』第2部は公開延期も、第1部に観客は納得の拍手
<http://eiga.com/buzz/20091130/11/>
全ての謎を解く鍵が詰まった、第1話と第2話を収録
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