関係性に萌える『スラムダンク』~スポ根としての女子まんが序論(2)~
2009/12/05 17:00
『Slam dunk―完全版』(集英社)
――幼いころに夢中になって読んでいた少女まんが。一時期離れてしまったがゆえに、今さら読むべき作品すら分からないジプシーたちに、女子まんが研究家・小田真琴が”正しき女子まんが道”を指南します!
スポ根における読者サービスとして、たとえば「必殺技の快感」、そして「成長の快感」「勝利の快感」といった、いくつかの快感が挙げられます。
『スラムダンク』を女子まんがとして読み解くとき、そこにあるのは「関係性の快感」です。「関係性の萌え」と言ってもよいでしょう。それが証拠に、本作の最終話に描かれた最上級のカタルシスは「桜木と流川のハイタッチ」でありました。物語の当初からいがみ合い続けながら、その実心の中ではお互いを認め合っていて、それが遂に抑えきれず発露した瞬間の絶大な「萌え」たるや! 「最強の敵」である山王に勝利したことよりも、もしかしたら井上雄彦先生はこの見開きが描きたかったがために、『スラムダンク』という物語をつづってきたのではないか? とすら思えます。
最終更新:2009/12/05 17:00
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