「週刊誌が不況を救う!?」デフレ時代を生き抜く激裏情報を暴き出す!
#雑誌 #出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
●第22回(11月25日~12月1日発売号より)
第1位
「円高1ドル=84円デフレで得する裏情報術」(「週刊朝日」12月11日号)
第2位
「発表! 今年いちばんうまかった店」(「週刊現代」12月12日号)
第3位
「東京高裁貴乃花判決はジャーナリズムへの弾圧だ!」(「フライデー」12月11日号)
言論表現の自由を脅かす判決が続いている。
「政党のビラを配布するために東京都葛飾区のマンションに立ち入ったことで、住居侵入罪に問われた住職の荒川庸生(ようせい)被告(62)の上告審判決が30日に行われた。最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は『表現の自由の行使のためとはいっても、管理組合の意思に反して立ち入ることは管理権を侵害する』と述べて弁護側の上告を棄却した。一審・東京地裁の無罪判決を破棄して罰金5万円を言い渡した二審・東京高裁判決が確定する」(アサヒ・コム11月30日より)
政党のビラを配るためマンションに入っただけで逮捕され、23日間も身柄拘束されるという「理不尽」な警察による言論弾圧を、最高裁は「表現の自由は無制限に保障されるものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける」といういつもの論法で、問題なしとお墨付きを与えてしまったのだ。
もうひとつは、今週の「フライデー」が、誌面を使って猛烈に抗議している東京高裁の判決である。貴乃花親方夫妻が遺産相続争いの渦中にあったとき、「フライデー」が報じた内容の一部が名誉毀損に、路上や新幹線の中で撮られた写真がプライバシー侵害に当たると、貴乃花側が訴えていたのだ。その裁判で、11月18日、「損害賠償を払え」という判決とともに、写真を撮ったことを「本人の承諾を得ず、秘密裏に撮影したもので、社会生活上、受忍すべき限度を超えたものであって、人格的利益を侵害するもの」と断じられたことへの反論である。
「これを拡大解釈しすぎるとメディアの取材はほとんど許されなくなり、ひいては社会が崩壊する危険があることを認識するべきです。その意味で、今回の判決は行きすぎだと思います」(田原総一朗氏)
公人・私人の区別はなかなか厄介だが、貴乃花に関しては、多くの人が公人だと認めるに違いない。ましてや撮影場所も公共の場である。
こうした一部メディアを弾圧する判決を見逃せば、近い将来必ず、メディア全体に波及してくることは間違いない。新聞は、写真誌限定の判決だとたかをくくっているようだが、司法のメディアバッシングをメディア全体が一緒になって批判していかないと、この危険な流れをせき止めることはできない。
それにしても、このままいくと芸能人のツーショット隠し撮り写真まで掲載できなくなる心配がある。頑張れ「フライデー」!
第2位は、どこでもやっている企画だが、思わず切り取ってしまったほどバラエティーに富んでいる。グルメライターたちが、今年一番の味を推薦しているのだが、中でも、今年はB級グルメの当たり年らしく、安くてうまい店が多くあるのが嬉しい。
本郷三丁目の中華料理店「いっしょもりてい」の「石焼きあんかけチャーハン」は、読んでいるだけで腹が鳴る。予算は1,500円。タイ北部出身のシェフが腕をふるう歌舞伎町「オイノイ・ランナー」。ここのカレーラーメン「カオイソ」は絶品だという。予算4,000円。
私がいちばん信用しているグルメライター横川潤氏のお薦めは、目黒区上目黒にあるイタリアレストラン「ICARO(いかろ)」。本格的な北イタリア料理が堪能できて6,000円。どこから行ってみようかとワクワクさせる店が満載である。
さて、政府までが正式に認めた大デフレである。円は高くなり、日経平均株価は下がり続け、この冬のボーナスは私がかつて在籍した講談社で、社員3割カット、役員はゼロだそうだ。
収入は減り続けるが、必要なものは買わなくてはいけないし、たまには旅行にも行きたい。そこで、朝日はデフレを利用してワンランク上の生活をしようと「裏技」をいくつも紹介している。
通常価格の5割から8割引で、有名レストランで食事ができる携帯サイト「試食会.jp」。東芝の42型フルハイビジョン液晶テレビが、量販店では14万9,800円。HISの格安旅行プラン「ミステリーツアー」は、3泊4日で2万円のものもあるそうだ。
紹介制ファミリーセールサイト「ギルト」では、有名ブランドの洋服が最大70%オフで買えるし、定額制のエステでは、月6,000円でフェイシャルエステが6回まで受けられる店も増えている。
1泊5万円を超す超高級ホテルでも、当日、予約サイトで申し込めば1万円でおつりがくる値段で泊まれる。不動産、自動車なども安く手に入る時代だそうだ。100円ショップには生活必需品のほとんどが揃えられ、牛丼屋も60円値引きすると発表した。
収入も下がったが、物価も下がった。デフレスパイラルを心配するよりも、我々庶民は、安くてよいものが手に入ることを喜ぶべきなのか。
(文=元木昌彦)
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。
【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
基本、だよね?
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